何度も楽しめる映画~「ユージュアル・サスペクツ」
映画には大どんでん返しモノというものがある。
本作もその妙がうまくハマり、アカデミー脚本賞を受賞した作品である。
1995年公開「ユージュアル・サスペクツ」
大どんでん返しと言って思いつくのは、ビリー・ワイルダーの「情婦」。これはもはや古典の域に達する。何度見ても見飽きないからだ。
この「ユージュアル・サスペクツ」は、別の意味で何度も観たくなる映画だ。
この作品は、現在と過去とを行きつ戻りつしながら進行していく。最初どちらがどちらなのかが分かりにくかったり、犯罪の予備知識がないと頭に入りにくかったりするセリフなどがあったりして、見ている側も緊張感を強いられる。
そしてその大どんでん返しと言われるラストであるが、今の時代から見ればそれほど意外な形ではないと思う。でも改めてその前提だとすると、それまでの物語の展開がまた違った見方もできるわけである。
よくネタバレに対して過敏になる人も見受けられるが、それでつまらなくなるようであればもともと面白くない作品なのだ。真に面白い作品は決してネタを知ったからといってその魅力を損なうことはないのだと思う。