常連さんいらっしゃい~「改組 新 第11回日展」
自分としては通い出して5回目の日展。
眼にとまる作品が、だいぶ固定化されつつあるのだが、新たな作家の作品に出会えるだろうか。。
こうしてみるとチラシも微妙に変わってきているのが分かる・・・
日本画部門
桜と柳を対峙させた、古典的なモチーフを画面いっぱいに描きこんだ作品。一見清々しさを感じるのではあるが、よくよく見ると柳の枝のうねりがなんとも禍々しくも映る。
こう見えても日本画だという。。改めて日本画・洋画の垣根とは何だろうと思ってしまう。
本作は、上半分いっぱいに窓と向こうには水平線、下半分はやや上からの視点でテーブルと花を描く。二つの視点を組み合わせているところも洋画そのもの。
この方は前回までも同様のモチーフで出品していたらしいが、目に留まったのは今回が初めて。他には舞妓を描いた作品もあるようで、伊藤深水や横山大観の系譜に連なるように思う。この迷いのない筆致は、公募展にあっては圧倒的な存在感を生み出している。
この方、過去何回か紹介しているが、モチーフが秋→冬と来ていて次は春?と思っていたらやっぱり!しかも黄色の鶴とは。
この方も存在感が並みではない。
洋画部門
一目見て、ブーダンみたいと思ってしまった。。
でも、その偉大なる先達をひたむきになぞっていくという姿勢は、今の時代にあっては却って新鮮さが増しているようにも思う。もちろんそれはそれを成し得るほどの技量があってのこと。
こんな爽やかな夏、それは遠い昔のことなのだろうか。
なんて力強い色使いだろう。それでいて迷いもてらいもない。
調べてみるとこの方も長きにわたり活躍されているプロの方だとか。なるほど。。これは実物をぜひご覧いただきたい。
過去にも特選を受賞されていて、今回も見事特選となった作品。
あえて平面的に色をベタ塗りしているようで、遠方は丁寧に描かれている。そして空の青さ。いろいろと世知辛いことばかり見聞きしていると、こういう空高く青が突き抜けるような画面は、胸を打つものがある。
ミニ特集 ~肖像画コーナー
洋画部門ではいくつかの肖像画を紹介したい。
もちろんモデルにポーズをとってもらっている訳なのではあるが、静でも動でもない。そして漂う気品。素早い筆致でありながら簡潔にまとめられている。何よりモデルの人物の軽快な気持ちも画面から伝わってくるのが素晴らしい。
以前に紹介した方が特選を取られるとこっちも嬉しくなってしまう。
この方の作品も前の森本氏と同じく、生き生きしている作品である。何というか絵のための絵ではないんだよなあ。
巨匠中山氏の最後の出品作。近年の写実画ブームを初期からけん引されてきた中山氏は最後まで実にぶれずに作品をものしてきたと思う。
一瞬中山氏の作品かと見間違えてしまった。ポスト中山か!と思ったら、どうもキャリアはだいぶ長いようで。。
ただそのためか、その伝統的なモチーフに対するゆるぎない自信がうかがえる。
マイ・フェイバリット
前回までは黒を基調とした作品が続いたが、今回はついに白!
しかも写真だと分かりにくいが、雪の結晶や花のかたちをエンボスのように散りばめている。妖艶さの黒に対し、白はやはり純真・無垢といった印象。
自分が日展にハマったきっかけの画家のひとり。今回も安定の作品である。ただ、背景に描かれた風景(古墳?)は珍しい。相変わらず着物の柄の美しさに目を引かれる。
公募展で観ると、ついこういう落ち着いた画風を見過ごしてしまいがちなのだが、この何気ない描き方にこそ計算と経験が詰め込まれているのだな、と改めて感じさせられる。こういう絵を描く方が一人でも増えてくれると愛好家としては嬉しい限りなのだ。
モチーフやタイトルからして、フェルメールっぽい(笑)
でもフェルメールのように謎めいたところもなく明快な画面で、どれだけ観ていても飽きがこない。
今回は、過去にチェックした方についてもどんな作品で出されているかを、ひとりひとり追ってみた。これがとても楽しくて、ほぼ同じモチーフの人もいれば、がらりと変わったモチーフにされた方もあり(古道の硬派な作品からニャンコに変わっていた方もあった・・・)、いろんな発見があった。
しかし、冒頭にも書いた通り、自分がいいなと思った作品はやはり過去にもチェックしていた人が多く、そろそろ別の公募展に足を向けてみる潮時かなとも思ってしまった。