第10話 一杯のコーヒー
コウジは、エリーと連絡をとり続けていた。
エリーは仕事で世界中の路線に乗務していた為、時差もあったりなど1日1通のメール程度だった。
それでもコウジはエリーからくるメールを楽しみにしていた。
仕事の後、いつも立ち寄るバーがあった。そこはトレーダーホテル内にあるバーだ。
そこにいくと、いつものようにやってくる人物がいた。
コウジと同い年のツカサだ。
コウジ:ツカサ、お疲れ!
ツカサ:へい、コウジ お疲れ様。 最近何か面白いことあったか?
ツカサは、飄々とした性格だが、一風変わった話や人物に興味をもつタイプだった。
コウジはカタールの街の話をした。
ツカサは うんうん と頷きながら話を聞いていた。
それから機内で知り合ったエリーの話になると、ツカサの顔はどんどんとにやけていった。
コウジ:(コーヒーの話をし)それから、連絡先を渡してね。 いや、本当にドーハに知り合いが欲しくてね・・・
ツカサ:ほう、ほう(笑) 言い訳はいいから、それで?
コウジ:ロンドン滞在中に連絡はなかったけど、先日メールが彼女から来たんだよ。それで今 連絡をとりあっていて、次、ドーハにいくときに会おうと思っている。
ツカサ:ほぇーー! ドラマみたいな話だねぇ。コウジはさぁ、エリーさんのことどう思ってるの?
コウジ:うーん、少し気になるかなという感じかな。機内で知り合ったというのも少し特別感があったというか。
ツカサ:そうかぁ、エリーさんの写真とかないの?
コウジは、数日前にエリーのメールアドレスからfacebook検索をした。
1名ヒットした。でもまだフレンドリクエストをできないままでいた。
顔写真はあったので、ツカサに見せた。
コウジ:ツカサ、この子だよ。
ツカサ:(写真を数枚見て)・・・可愛いじゃないか(笑)ごちそうさまです。
ツカサは冗談混じりに、コウジの携帯を胸元にしまおうとする仕草を見せた。
ツカサは既婚者で1児のパパでもあった。
女遊びをするようなタイプではなく、子煩悩であるが人の恋愛に興味津々だった。
ツカサ:いやーこれから始まるコウジの恋愛ストーリー楽しみになって来たな〜
コウジ:まだそう決まったわけじゃなくて、本当に知り合いが欲しかったんだよ!
娯楽の少ないミャンマーではあったが、一人の駐在員にとって、エリーとのやり取りは幸せな時間であり、
もう一人の駐在員にとっては、これからの展開が全く読めない人間ドラマを観ているようであった。
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