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一年前、私はあなたに励まされました
仰々しいタイトルになってしまったけれど、簡単にいうと、推しのアイドルに元気をもらった一年前のある日のお話。
しかし、舐めてもらっちゃ困る。いっぱいいっぱいだったそのとき、私は確実に、頑張る彼からエネルギーをもらったのだ。
一年前の3月、私は仕事に忙殺されていた。
世の中にはもっと残業したり休日出勤したり、生活を犠牲にして仕事している人がたくさんいるだろうから、世間的には大したことないのかもしれない。でも、心身ともに追い詰められていたのだ。それは実拘束時間というより、誰も助けてくれない同僚への失望や一人であることへの虚しさによってもたらされたものだったと思う。
部署対抗の社内プレゼンコンテストが開催されることになった。企画〜資料作成〜プレゼンまですべて部署全体で協力して進めるというルールだったが、進行リーダー兼プレゼン担当に指名され、ほぼ私一人に丸投げ。さらにその頃部署内で欠員が出て、その人の仕事は丸々私が引き継いでいたので、通常業務もかつてないハードさだった。
完全にダブルパンチ状態。でも誰もが知らんぷり。「任せとけばやってくれる」って思われてたんだろうな。
もう一つ追い詰められた理由としては、チーム力もコンテストの採点項目だったこともあり、”協力して準備しました感”を出さなくてはいけなかったこと。悔しかった。「私一人でここまでやりました」って言えたらどれだけいいかと、寝る前のベッドの中でもそんな考えが頭から離れなかった。
コンテストを翌日に控えた日の夜、私は好きなアイドルが出演するバラエティ番組を見ていた。その番組は『プレバト!』。春の俳句タイトル戦である春光戦決勝の放送日だった。
私が応援しているアイドル・Kis-My-Ft2のメンバーには、俳句の名人や特待生(俳人・夏井いつき先生による査定を通して番組内で段位認定されるシステム)がいる。推しである横尾渉さんもそのうちの一人だ。
単に勉強すれば上手く詠めるようになるわけでもない。かといって、センスだけで勝負できる世界でもない。技術力、想像力、感性を併せ持って初めて、タイトル戦で戦えるような読み手にきちんと伝わる俳句が詠める。
横尾さんは、春光戦で優勝を果たした。
春らしいまぶしい俳句だった。
本業とはかけ離れた世界。好きで始めたわけではないから、努力し続けないと今の立ち位置を保てないという不安やプレッシャーもある。そんな中、結果を出すということ。それがどれだけすごいことなのか、私には計り知れない。
ただひたすら、その努力に感動した。そして励まされた。「横尾さんもこんなに頑張ってるんだから、私も明日のプレゼン頑張ろう」そう思えた。
プレバトを見る前まではただひたすら憂鬱で、腹いせにめちゃめちゃなプレゼンしてやろうか、くらいの投げやりな気持ちになっていた。それが、今日までせっかく頑張ったのだからプレゼンまでしっかりやり切ろう、と切り替えて挑めたおかげで、すっきりと帰宅し、夜はぐっすりと寝られた。
先週の木曜、プレバト春光戦2022の放送があり、横尾さんは4位で優勝は叶わなかった。でもやっぱり、彼のまじめに勉強する姿勢に心打たれる。
一年前を思い出した。一年越しにまた、私はあなたに励まされました。