階堂龍馬と織田判斗の奥行きの話というか役者髙橋海人に惚れてる話
10月にまだ暑さが残る季節がおかしな時期、海人くんの出演作品が気になって、見てしまった。
「アキラとあきら」と「Dr.コトー診療所」
優秀な兄に対するコンプレックスの塊で、親族にそれを利用されて追い詰められ苦悩する若社長と、孤島に派遣され、「1人で島民全員を救うなんて無理だ」と叫ぶ若医師。
ざっと調べてみて、めちゃくちゃオイシイ役所じゃないかと、俄然興味が湧いた。
生活環境の変化で、かつて趣味だった映画鑑賞から遠のいて久しいけれど、絶対に海人くんのいいシーンがある、いい演技が見れると確信して、無理矢理時間を作って数年ぶりに映画を観た。
その感想というか…いつも通りただ「好き」を叫ぶ記録である。
今回はネタバレもあるので、ネタバレが許せないタイプの未見の方はご遠慮頂いた方が良いかもしれない。
ちなみに、海人くん目的で見るなら「Dr.コトー診療所」で間違いないけれど、現時点では海人くんの映画シリーズのラスボスでもあると思う。
なので、海人くんの出演作全部を観るつもりなら、最後に取っておきたいところだ。
映画としては「アキラとあきら」の方が私の好みであったし、出番は少ないながら海人くんの名シーンもあったので、私としてはどちらもおすすめできる。
結局のところ海人くんの仕事ぶりには間違いはないので、結論としては両作品ともおすすめである。
アキラとあきら
映画の感想を言うと、よく2時間でまとめたな、と思う。
原作は未読だが、元が1冊の小説であることを考えると、かなり削った部分はあったんじゃなかろうかと予想する。
けれど、そんな感触もないわかりやすい展開だったし、絵としても好きな角度が多くて、テンポも良く、見やすくて、個人的には映画として良かったと思った。
物語には、心底の悪人がいるわけでもなく、一人ひとりに人生があって、信念があって、守りたいものがあって。
そういうそれぞれの人生を感じさせてくれる描き方は好きだったりする。
業界を知る人からしたら、甘いと言われそうな部分は多そうだけれど、映画として大衆性のあるところまで落とし込んで、多くの人を楽しませるにはいいラインだったんじゃないだろうか。
個人的には物語にしっかり入り込めたし、おかげで結構泣かされた。
私にとって、映画として物語を楽しむのとは別にした今回のメインは海人くんの階堂龍馬だった。
その立ち位置からの欲を言えば、兄弟のあれこれについて、もう少し描写が欲しかったとは思う。
けれど、それだと軸がずれるし、大幅に時間をとってしまうことを考えると、あれがギリギリだったのかなと思わざるを得ない、納得感はある。
ただ、逆にいうと、あの子の背景を知りたいと、興味をそそられる人物に仕上がっていたとも取れる。
そういうことのできる役者さんがとても好きなので嬉しかった。
もちろん、だが情で十二分に予感はあったけれど。
(無理をして社長室でおかしくなってぶっ倒れるシーンは相変わらず私の癖のど真ん中をついてくれて最高であった)
もちろん脚本の良し悪しもある。
けれど、そこに生きていることを、その人に背景があることを、その役者さんが見ている方に感じさせてくれるかどうかは、とても大きいと思うのだ。
どんな時にどんなことで兄との差を感じたのか、両親に、兄に、親族に、友に、一体何を言われ、どんな扱いをされたのか、それをどう感じ、どう生きてきたのか。
出番は少ないけれど、反射的に出てくるあの態度から、あの子を中心にもう一つの物語が出来そうなくらい「人」としての存在を感じて、その奥行きに驚いた。
表面的な、技術的な、計算された演技の良し悪し、セリフ回しの上手さ、みたいなものとはまた違った、内面ごと滲み出るような、そういう人がそこに存在しているかのような厚み、圧倒的なリアルさを出してくる表現力。
たぶん、海人くんの演じる役が私の感情の深くまで刺さるのはこれじゃなかろうかと思った。
昔からそういう役者さんが好きなのだ。
そして、その勢いで「Dr.コトー診療所」にも手を出し、さらにそれを確信した。
ちなみに日本の役者さんを知らなさすぎて、主演2人も全く知らなかったのだが、そうか、こんな若手のいい役者はいるのか、と改めて自分の偏見を反省するくらい良かったし、中堅の俳優さんたちの存在感もとても良かったと感じたことは残しておきたい。
Dr.コトー診療所
ドラマも全く未見だったため、なんとなく「Dr.コトー診療所」を後回しにしたのだけれど、残念ながらこちらは映画としては若干モヤってしまった。
ストーリー設定、つまり脚本だと思うのだが、そこに説得力が弱く、途中から心が置いて行かれてしまって、残念さが残った。
ファンタジーの世界を作り上げるにしても、現実世界にあり得ないことを力技で持ってくるにしても、それ相応の説得力が必要だと思うのだけれども、それが甘かった気がしてならない、というのが正直な感想で。
途中までは良かった。
映画から入る人のためだったり、開いた数年だったりを割とテンポ良く見せてくれて、島の景色の広大さも見せてくれて、映画らしい描写が続いて、良作を予感させてくれていたのに、途中から雲行きが怪しくなった。
後半からのクライマックス。
本来ならハンカチで目元を押さえながら見るような怒涛の山場であろうけれど、残念ながら私の心は取り残されてしまった。
もちろん吉岡さんや海人くんはじめ、役者陣の仕事ぶりはみなさんお見事であった。
役者さん達のおかげで涙はした。
けれど…
製作陣の、常識を押し潰してでも人情で感動させたいという思惑の圧を、やたら感じてしまい…
冷めた感情がどうしても拭えず、映画としては、諸手を挙げて大絶賛、とも言えぬもやもやが残ってしまった。
もちろん、これは私の好みの問題であるので、このお話でとても感動された人も多くいたと思う。
映画も個々の好みの幅がめちゃくちゃ広い。
だからこそ様々な映画が生まれるんだと思っているので、本当に映画の感想としては一個人の意見としてスルーしていただけたらと思う。
そんな中、この映画で私の救いになったのが海人くん演じる織田判斗先生である。
コトー先生の病気が発覚して島民と話し合うこのシーンは本当にお見事だった。
比較的淡々としたシーンではあったけれど、すごくいいシーンだったと思う。
静かながらあれは判斗先生の、海人くんの見せ場の一つだった気がしている。
あれだけのベテラン勢を相手取って全く引けを取っていなかったし、「判斗先生」がどういう人なのかを見事に模っていた。
個人的にはすごく好きな、魅力的なシーンだった。
「そもそも1人の医者が云々」
「いつまで綱渡りを云々」
全部正論でしかない。
冷たいも何もない、冷たさはどこにもない。
自分の力量も鑑み、その上で、島への愛情ははっきりと見える、落ち着いた口調で語っていたではないか。
愛情と冷静さをバランスよく持ち合わせた人だと感じさせてくれた。
どうにもならんのもわかる、わかるけれど、思わず判斗先生全面援護の心情で見ていた。
あのシーンの海人くんの判斗先生がいたから、なんとか最後まであの世界にとどまれた気がする。
私を繋ぎ止めてくれてありがとう…。
それにしても、織田判斗先生、とんでもなく魅了的な人であった。
あれはやばい。
普通に惚れる。
これについては、ここを見に来てくれている人がほぼお仲間だと信じているので、大声ではっきり二回言う。
髙橋海人演じる織田判斗、とんでもなく魅了的な人であった。
普通に惚れる。
そして、やっぱりあの出演時間で見せてきた海人くんの奥行きがすごい。
贔屓目でもなく、誰もが次に見たいのは判斗先生の物語ではないだろうか。
製作陣にもその意図があるような気がして仕方がなかった。
セリフの端々にヒントがあって、ものすごく背景を想像させるし、今後を期待させてくる設定が散りばめられていた。
そこだけは脚本に拍手だった。
登場シーンから鷲掴みで、早々に駆け込みで緊急オペに即対応するし、大学では落ちこぼれ的だったことを自分で口にしていたけれど、その割に外科的処置は何やらせても手際がいいし、空き時間にはしっかりカルテを読み込んでいて。
おおらかで人当たりも良く、可愛げもあり、女の子好きっぽい軽いチャラさもいい塩梅で。
かと思えば物事を俯瞰して冷静に見ているし、相当肝も据わってる。
その上、都会の病院長の息子で、島では禁酒すると決めてたなんてセリフまでねじ込まれてる。
なんだこの盛りだくさんな設定。
短い時間で示された背景と人間性に想像が膨らむ。
出演時間に対してこれでもかと情報を詰め込まれた29歳後期研修医を見事な奥行きを持って存在させた23歳の海人くんに心から拍手だった。
特に先に出した話し合いのシーン、切羽詰まったギリギリの状態で心マを続けながら悲痛に叫ぶシーン、そして色々なものが詰まった後姿で魅せる一礼。
ついでにオペ中や処置中の手元はじめ、外科医的ないちいちの所作。
全私が盛大な拍手とスタンディングオベーションであった。
もしも私に続編を作る権利があるなら100%織田判斗で撮る。
と、
実はこのノート、上記あたりまで書いていたのを放置していた。
今になって投稿した理由
何となく手が止まっていたのだけれど、なんと2024年1月3日夜9時にこの映画の地上波が決まったという報道が出た。
そんなタイミングにこの書きかけnoteを思い出し、勢いでUPした。
この報道の前日、壮大な匂わせが来た瞬間、単純な私は、ついに来た、と思った。
完全に織田判斗主軸にした続編のお知らせとしか思わなかったくらい盲目だった。
そのくらい、判斗先生は魅力的だと思ったし、海人くんのあの内側から人となりが滲み出るような演技はやっぱり私の好みであった。
ゆえに、まだ続編への布石ではないかという疑いも捨てきれていない。
元がドラマである以上、続編をやるなら映画(お金を払った人しか見れない媒体)で登場したキャラは、テレビ(誰でも見れる媒体)で紹介し、お茶の間ファンにお知らせする必要がある。
これじゃないかと。
そんな私の勝手な希望的観測はさておき。
いまだ海人くんの新しい演技のお仕事について動きがないのは寂しいところだけれど、このところの出演作における海人くんを見て使いたいと思う人がいないわけがないと思うので、オトナな諸事情が重なって色々とあるのだろうと、やっぱり勝手に予想している。
良い作品、良い役との出会いが既に目の前にあることを、本当に、心から、真剣に、祈る日々である。
ひとまずは2024年1月3日夜、髙橋海人演じる織田判斗に落ちる人々の嬉々とした悲鳴が大量に溢れかえるのを、沼の底からにやにやしながら眺めたいと思っている。
楽しみだ。
追記
2024年1月3日夜、無事にテレビ放送されて、Xでも大賑わいであったようだ。
諸事情あってリアタイできていない上に、それほど深くXでも掘れていないけれど、ざっとみただけでも、海人くんの演技がたくさんの人を魅了しているのが垣間見れて、ほくほく気分であった。
急な出会いから不本意に惹かれてしまったような人たちを両手を広げて迎え入れ、「気持ちはわかるよ」とその肩を抱き、慰めのごとく「あれは仕方ない、仕方ないよ、魅力が過ぎただけであなたは間違ってない」とその涙を拭い、沼の底へご案内差し上げたい気分である。
(一足先に鑑賞した、たった2ヶ月先輩なだけなのだが)
今回流れてきたポストで知ったのだけれども、私が海人くんの見せ場の一つだと認識していた、あの島の方々と話をするシーン。
何十テイクも撮り直しをしたという、海人くん的にはかなりきついシーンだったそうで、驚いた。
でも、それを重ねた意義のあるシーンに仕上がっていたと思う。
1映画好きとしては、あそこは素晴らしいシーンだったと思っている。
監督さんの粘りと、それに応えた俳優さんたちの結晶だった。
ついでに嬉しかったのが、私と同じく、海人くんの外科医的な仕草を絶賛している医療従事者の方々がいらして、ですよねぇ!!!ってなったことと、判斗先生がちゃんと言ってくれてなかったらテレビ消してる、くらいの勢いな人や、災害時の行動として判斗先生は間違ってない勢がいらしたこと。
つまりは、海人くんの演技が、外科的手技やら何やらを身につけた努力もひっくるめて本職な方々にまで評価されたのが嬉しく、それと同時に、海人くんの演技力で判斗先生が物語の中とはいえ、息をする生身の人間として捉えられ、感情的になってくれる人も多く、かつ、その判斗先生の考えに賛同する人も多かった、という2面で同時に嬉しかったわけだ。
そりゃあほくほくだ。
そして、判斗先生を軸にした続編を連想した人、希望する人もちらほら見受けたのも嬉しかった。
個人的には、都会の病院に戻った編でも、孤島に残った編でもいいのだけれど、あのリアリストさ加減はしっかり残しつつ、あの経験をした、という、あの映画の時間軸のままの判斗先生のその後がとても見たいと思っている。
そして、海人くんが「外科医を演じる」という美味しさを存分に味わいたい。
(ご本人はセリフや手技が普通の役よりめちゃくちゃ大変だろうけれど…)
密かに、もっと言ってしまうと、極論判斗先生でなくてもいいとも思うくらい、海人くんのあの演技力は医療モノと相性がいいと思っていて、医者役来ないかなと願っている。
あの小粋な仕草を見ているとやっぱりそれを生かした外科医、救急医あたりをやってほしい気もするけど、内科系ならではの葛藤を演じるのもいいかもしれない…などと妄想は広がる。
私なら「どう?この子、すごくない?」くらいの勢いで本人とわかる角度でオペの手元撮りまくりたいし、スクラブやオペ着の脱着シーンも絶対入れるし、「どう?いい役者でしょ?」くらいな感じで苦難に直面し葛藤する若医師の涙と震える背中を撮り納めたい。
(癖がすごいのは分かってる)
妄想は自由で楽しい。
何度感謝しても足りないけれど、楽しみを本当にありがとう。
リアタイすらしてないくせに何だけれど、今回もこれに尽きた。
人生における楽しみをありがとう。