『リモート面接/Web面接』のススメ ~利便性の「外」にあるもの~
大学時代、私は哲学科を専攻していたのですが、所属していたゼミの教授がこんなことを言ったんです。
「有用性に駆り立てられた状態から距離を取るのが哲学なんです」
当時は「何言ってんだこのおじさん」状態でしたが、日々発展するAI技術やネット世界、理解の追い付かない電子社会を目の当たりにすると、確かに「有用性に駆り立てられているなあ」と思います。
私たちは「役に立つ」ものに頼って、それ以外のことを考えないようにしている。利便性のみを取り込み、その本質を見ないようにしている。それが恐ろしい、と教授は言うのです。
今年の流行語ノミネート間違いなしの『テレワーク/リモートワーク』は、全国各地で急速な広がりを見せています。
今では企業内での会議やミーティングもWebツールを使った動きが主流になっていますし、朝の報道番組やお昼の情報番組なんかでも芸能人が各自宅からリモートで出演していますよね。ラジオでもパーソナリティがスタジオ入りしないでリモートで出演したり(声だけだから言わなきゃバレないんじゃないかってくらい自然です)、リモートの応用編で『オンライン飲み会』なる動きも話題になっています(やってみたい)。
今まで「人対人」だったことが、今では「画面対画面」となっているわけですが、このリモートの動きは社内会議や報道スタジオだけのものではありません。
このリモート、実は「採用面接」にも活用できるんです!
ただ今は、接触8割減を実現するための「便利なもの」として主に注目されていますが、なにも新型コロナウイルスありきじゃなくても、『リモート面接/Web面接』は企業の(広い意味での)採用力を向上させる、オススメの手法なんです!
<リモート面接/Web面接のメリット> ※実際の導入企業の声
★面接担当者が当日に予定をあけるなどの負担を軽減できた。
→PCとネット環境さえあればどこでもできますから、いちいちオフィスにいなくても、外出先・自宅からだってできますよね。
★面接をするために必要な工数が減った。
→企業によっては、会議室を借りたりするわけですが、その手間もなし!
★面接場所や時間の制限がないので、複数担当者で選考できるようになった。
→複数担当者の場合でも、わざわざ同じ部屋に集まる必要がありません。それぞれの画面でリンクさせれば、どこにいたって同じ空間を共有できます。
★面接当日の応募者のドタキャンが少なくなった。
→これは憶測ですが…「急に行くのだるくなったなあ」なんてことも回避できるかもしれません。求職者も場所を選ばずに面接できるので、むしろドタキャンする理由がないですね笑
<求職者が持つイメージ>
★求職者の約8割が『リモート面接/Web面接』を受けても良いと感じています!
→ただ現状、アルバイト・パート領域での導入率は3割と低いんです…。
★年代別だと、『リモート面接/Web面接』を希望する割合が一番高いのは10代~30代。
→40代~60代に関しては、リモート面接の中でも『電話面接』を希望する方が多く、Webツールを使用すること自体には少し懸念があるようです…。
<リモート面接/Web面接に使えるツール一例>
★Zoom ※無料、有料どちらもあり。
★Skype ※無料、有料どちらもあり。
★Googleハングアウト ※Gmailアカウントさえあれば利用可能。
★LINE ※スマホにインストールしていれば無料で利用可能。PC版もあり。
調べてみると、他にもいろいろあります。有料だったり、無料だったり、ツールによって使える機能も違うようです。
またこのご時世なので、本来は有料サービスであるものを「無料提供」しているものもあります。
これを機に、各企業にあったWebツールを探してみるのもいいかもしれません。
※個人情報の取り扱いだけには注意してください。無料サービスのツールはセキュリティの安定が不安視されているのも事実ですので、導入の際は慎重に。
ということで、断片的ではありますが、今回はこれからの時代に便利な『リモート面接/Web面接』についてお話しました。
働き方改革が叫ばれる昨今、どの企業においても、業務効率の向上につながるような手法の導入は日々検討されていると思います。
ただここでひとつ。
「便利そうだから」という理由だけで様々なツールを使い始めると、意外とどれも使いこなせないまま中途半端に終わっていきます…。
発展が続くこの世の中、大半のものは便利です。だからこそ、利便性の「外」のところにも目を向けてみることで、思わぬ発見ができると思います。
この利便性がどういうメリットをもたらすのか。
そのメリットによって私たちはどう豊かになるのか。
その豊かさは何を生むのかーー。
「便利だから」ではなく、「〇〇だから」便利なものを取り込む。この「〇〇」こそが本来見失ってはいけない本質であり、成長の要素なのだと思います。
この事態が収束するまでは、人以外とも、「距離を取って」、接してみるといいかもしれません。