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好きな短歌厳選

好きな短歌を厳選して載せます。
以下の形式で記載しています。

短歌

作者名/歌集
(歌集が手に入らない場合、その歌が読める本)

本当は別に書き留めてる手書きのノートに一冊分くらいあるんですが、涙を呑んで一人の歌人につき一首に絞りました。
詩的でかっこよくて情熱的で寂しい短歌が好きです。

金口きんぐちの露西亜煙草のけむりよりなほゆるやかに燃ゆるわが恋

北原白秋 /桐の花

白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ

若山牧水/海の声
(若山牧水全集)

ラスールのことばを愛す”わたくしはあらゆる風に載りて種蒔く”

篠弘/昨日の絵
(ここからはじめる短歌)

フォルテとは遠く離れてゆく友に「またね」と叫ぶくらいの強さ

千葉聡/そこにある光と傷と忘れもの

風になるまえに教えてくれないか風になったらどこを吹くのか

木下龍也/玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ

僕はいまブックエンドを失った本かなしみの方へ倒れる

だっち
(短歌ください 双子でも片方はなく夜もある篇より)

ふせられた帽子の闇に蝶たちは互いの翅でぼろぼろになる

高柳蕗子/ユモレスク
短歌のガシャポン 穂村弘)

祝福を  花野にいるということは去るときすらも花を踏むこと

榊原紘/悪友

3、2、1、ぱちんでぜんぶ忘れるよって今のは説明だから泣くなよ

岡本真帆/水上バス浅草行き

森のうへにほかりと白い雲があるあなたを支配してはならない

真中明久/エウラキロン
(ここからはじめる短歌)

薔薇の芽を摘むほどの悪事しか知らぬ君を利口にしてあげようか

黒瀬珂瀾 /黒耀宮

人生はただ一問の質問にすぎぬと書けば二月のかもめ

寺山修司
寺山修司の百首 藤原龍一郎

白金のピアノにふれているゆびが、どうしようどこまでも未来だ

笹井宏之/えーえんとくちから

harassとは猟犬をけしかける声  その鹿がつかれはてて死ぬまで

川野芽生/Lilith

酸漿 ほおずきのひとつひとつを指さしてあれはともし火  すべて標的

服部真里子/行け広野へと

こんなにも架空のさびしさ散りばめて街とはつねに鳥の背景

大森静佳/てのひらを燃やす

青空文庫で読めるものはそちらへのリンクを、購入できるものはそちらへのリンクを貼っています。
歌集、普通の本と比べて買えない率がとても高い。悲しい。

もし何か一冊歌集を買いたいと思っている方で、
この短歌が好きで気になるけど、一首読んだだけでは歌集全体の作風が好きか判断がつかないな、と迷われている人がいましたらこの本がよかったです。いわゆるアソートもの、素敵な短歌を集めて紹介している本の中で一番よかった本。

何がいいって一人の歌人の歌が10首以上まとめて読める。教科書のような無機質さではなく、短歌が好きな人が書いていると分かる静かな熱い文章で、歌人の経歴と作風についての解説文も載っています。数首読めたら自分が好きな作風だと判断がつくので、私はその方が歌集を買いやすいんですよね。
歌人、山田航さんのブログの現代歌人ファイルというシリーズを一冊の本にまとめられたものです。ブログの方を読んでもいい。
現代短歌特化型で、私は木下龍也、服部真里子、笹井宏之、大森静佳(敬称略)をこの本で知って歌集を読みました。
今回、好きな短歌に挙げた中で言うと、上記以外に黒瀬珂瀾も取り上げられています。

私が歌集丸ごと特に大好きなのは、Lilith、行け広野へと、黒耀宮、あと白秋の桐の花と雲母集。それぞれの歌集の好きな短歌をたくさん並べてのろける記事も書きたいです。
好きな俳句は今まとめているところ。


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