第37回東京国際映画祭 前半の感想 その1
2024年10月28日より行われている第37回東京国際映画祭の映画を観てきました。
今年もどれも素敵な作品でとても充実した映画ライフを過ごしています。
祭りって楽しいですね。
ぼくは前半の10/28〜11/1の期間に計7本鑑賞しました。
今回は、そのうちの3本の作品と感想をざっくりご紹介。
1本目 「フー・バイ・ファイヤー」
監督:フィリップ・ルサージュ
部門:ユースTIFFティーンズ
今回の映画祭、僕はこの作品を1本目に観ました。
この映画、
作中通してずーっとギスギスしてます
時間がゆったりと流れる、自然の中でのひと時。
憧れの人たちと過ごす休暇。
大人たちの衝突やうまくいかない恋路。
思い描いていた主人公の幻想は、ことごとく打ち砕かれていきます。
大人になる過程で、誰しもが味わったことがあるであろう、現実や大人に対してどうしようもない無力感、思い通りにならない苛立ち。
この映画は「若者の成長映画」という位置付けですが、一本の映画にぎゅっと幻想が打ち砕かれていく様子が詰まっていて、
めちゃくちゃグロテスクでした!!!
かなりゆったりとした作品ながら、会話の応酬が面白く、飽きない映画でした。
ゆったりした自然の中で、ギスギスした関係に打ち砕かれる幻想。
その対比がとても興味深かったです。
また終始、「追うもの」と「追われるもの」という描写が目立った本作。
この対比もまた面白かったです!
2本目 「スターターピストル」
監督:チュー・ヨウジャ
部門:ユースTIFFティーンズ
洗練されてる…!!!
とにかくこれに尽きると思います。
あまりにも映像や演出が素敵で、めちゃくちゃ好みでした。
ふわふわとあてもなく宙を浮く赤いビニール袋、
体育館に響き渡る銃声と白煙。
劇伴。
どれも素敵でした…
ビニール袋のように、ふわふわと予測のできない行動を起こすジュアンがあまりにも子供で、陸上部なのにピストルの音が苦手なモンは大人なようで、
一見勝手に想像する中国の国民性を煮詰めた人物像のようだけど、でもそんなの関係なくて、日本でもどこでも当たり前にどこにでもいるような、どこにでもあるような青春で、答えの出ない日々の様子、アンバランスな感覚がとてもエモーショナルでした。
めちゃくちゃ好き…。
雰囲気映画と言われればそれまでだけど、そうじゃない、グッとくる部分がこの映画にはあると思いました。
3本目 「煙突の中の雀」
監督:ラモン・チュルヒャー
部門:ユースTIFFティーンズ
ねっとりと、じわじわ広がっていく不気味さ…
明るい日差しの入る、自然あふれるお家。
手入れが行き届いているようで、足りてない、明らかにおかしい部分が存在する生活。
家族それぞれの闇。
「家族」という共同体として、徐々に機能していかなくなるその様子は、とても奇妙で不気味で、目が離せませんでした。
カレンがおかしいのかな?それとも家族の誰かがおかしいのかな?と思って見始めたら、
みんなおかしいんだもん!!!
怖い!!!
みんながみんな、澄ました顔で、「家族」を遂行しようとしてるようにも見えて、壊そうとしてるようにも見えて、
安心できる存在であるはずの「家族」がいつ壊れるのか分からないハラハラ感。
そしてそれがいつ起きるのか分からない宙ぶらりん感。
いやーなサスペンス映画ですよこりゃあ!!
音楽とか光の演出も独特で、すごく頭に残る描写が多かったです!
面白かった!
【総括】
上記の作品、全て1日目に観たのですが、ユース部門初日で制覇しました。
楽しかった。
ぼくは23歳なんですが、「この年齢で見れたから刺さったのかな?」と思う部分と、「これから先観たらどう思うのかな?」が湧いてきて、とてもワクワクする鑑賞タイムでした。
明日は何観ようかな?
9時のクジラでした。