風を食む
「おかあさん!風、食べてみて!!」
保育園へ向かう途中の歩道橋で、3歳の息子が楽しそうに私を見上げる。
「う、うん。」
周りには人気がまばらで、久々に外でマスクを外した。
口を開くと、風に乗ってぶわっと清冽な空気が入ってきて、一気に頭がシャキンとした。
マスクを付けることが当たり前で、もう一年近く外の新鮮な空気を味わっていなかったことに気づく。
こんなに外で深呼吸することが感慨深いとは。
息子は自分の言った通りに大きく口を開けて風を食べた私を見て満足したようで、隣から満面の笑顔を向けている。
ありがとう、おいしかったよ、風。
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