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バレンタインと呼ばれる前

まだ、バレンタインなんて言われていなかった頃。
いや、僕の小さな町だけがそうだったのかも知れない。
小学生の時、私は2月14日にチョコレートを貰った。
くれた女の子は入学の時から何時も隣の席の「小友ちゃん」だ。
彼女は何も言わずにチョコレートをくれた。
私の幼い回路は理解するには知識が無さ過ぎた。
その日の夕方同級生達に話す。
「お菓子の日?」
「この間風邪で学校休んだからか?」
「??????????」
「なんとかで~じゃないの」と
「うちの姉ちゃん言ってたよ」
「次の14日にお返しするんだってさ」
「お返しってなにさ」
「マシュマロ?」だって

私たちは翌月に近所のスーパーに行って
レジのお姉さんに「ましょまろ?ください」
「・・・・あっ。マシュマロね」
お姉さんはお菓子コーナーにいって
「これはね、マシュマロだけじゃないんだけど
中に入っているから大丈夫だと思う」
「プレゼント?」
「はい!」
5個入りのエンジェルパイ箱にスーパーの名入りの
包み紙に上からリボンをかけて
もらい。
小友ちゃんに「これお返し・・」
彼女は受取ながら・・・
「ママが言ってたけどお返しはケーキを貰えるんだって」
私は座菓子をあげたことや何も知らない恥ずかしさで
何も言えなくなった。
翌日彼女のお宅に呼ばれた私はバツ悪く
居間に座っていると
「タロちゃん昨日はありがとうね」
「はいどうぞ」

小友ちゃんのママは私のパイを崩してケーキに変えてくれた。
「おいしいね、タロちゃんありがとう」
私は恥ずかしいやら嬉しいやらで
まだバレンタイン day と呼ばれていない頃の想い出。
#ハッピーバレンタイン #がっかりバレンタイン #小説#スイーツ

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