宜しくね。
1か月ぶりに明日は日の温かみを感じれるらしい。
北に暮らす私には待ち遠しい。
なによりも楽しみなのだ。
こんな時期に思いだすことがある。
そう、彼女を始めて見かけたのはと寒くて一人では
気持ちまで沈んでしまいそうな今頃
仕事帰りに夜、山の上の喫茶店に君はいた。
店窓から180度ガラスのマウントビューは映画のワンシーンの様。
私はこの景色が好きだった。
仕事の帰りに秘密の喫茶店でのコーヒー。
お店は場所が悪いのかお客はほとんどいない。
何時しか景色に目を向けず私はいつも来ている彼女の横顔を
見ることが楽しみで通うようになる。
話しかけるまでには季節が変わってしまった。
思い切って「こんばんは」と切り出す。
「ここまで何で来るのですか?」
「下まで自転車で」
「その後、歩いて」
「あ、あ、そうなんですか」
坂の下から自動車で来る自分が恥ずかしくもなり。。
「こんなこと言うのもあれなんですけど・・・
僕は車で来ているんです。」
「今度から乗りませんか?」
「でも自転車ですし」
「大丈夫!車トラックですから」
「笑」
次から私達は坂の下で待ち合わせをし彼女の自転車を
車に積んで、お店に。
程よい距離を保ちながら、
ある日、
「お付き合いでいいですか?」
「だめですか?」
「え、いや、いいですよ(笑)」
その日、いつも通り彼女を送った帰り、
車の前に街灯に映る小さな人影、
私は車からおりて目の前の少女に
「どうしたの?」
その子は「おかあさんを宜しくね」
「えっ」
驚いて周りを見回すとその場にはいなかった。
翌日彼女に
「昨日・・・・・」話す。
彼女はボロボロと涙を流し
「ありがとう、ありがとう」
こらえ切れ無い様だった。
私はすぐに理解できた。
その後何も聞かずお付き合いを
あれから10年僕の横には彼女はいない
結婚した事は聞いている。
子供はいないそうだ。
あの子もいつも彼女に寄り添っているだろうか。
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