見出し画像

大人の味は回らない

若いころの寿司屋の思い出。
大人に憧れた私は身近の人間にもそう印象があったようで、
帰郷した友人達と会うことになり、粋な寿司屋に行こうと。
「回りはダメだぞと」町で老舗の寿司屋、
きれいなカウンターの高そうな寿司屋。
お客は大人のカップルやスーツの大人、
大将と会話をしながらお酒を交わしているようだった。
お店のおかみさんらしき奥さんが「なににしますか?」
メニューがなかった。周りは僕任せという感じで、
困った私は「お任せします、各自握ってください」と
「こういう店来たことある?」まあ、会社で1.2回な大丈夫だ!
回りもほとんど行ったことがないのに、
各自、下駄の上に8貫程度盛られて
お寿司が出てきた。
イクラ、エビ、マグロはわかるが知らないネタも目の前にあって、
仲間も同じことを思っていたんだろう、他も無言で食べる。
メジャーなネタから食べられ、最後に見たことの無いネタが皆の目の前に
残った時、「これ?なに?なあ?」と私に聞いてきた。
知らないと言えない私は・・・「大人の味だな」とつい。
周りも「そうか」
口にしてみんな大人の味だなとうなづいた。
食事の途中、大将が「これ出した寿司の大エビの殻を天ぷらにしたものだから美味しいよ」とその際、私の耳元で「お疲れ様」と私はほっとした。
#小説 #回転寿司#寿司#ネタ#新年会#忘年会#大人

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?