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既に1、2、3、4人以上子どもを持っている人は平均的に何歳で出産してるのか

こんにちは、少子化研究者の茂木良平です。スペインのポンペウ・ファブラ大学というところで、少子化を専門に研究しています。

今回は、先日発表した新しい論文の紹介です。

子ども1人欲しいな、3人欲しいな、と漠然とした理想子ども数や希望子ども数がある方が多いと思います。 その理想・希望子ども数を実現するためには、様々な要因が影響するのですが、既に1、2、3、4人以上子どもを持っている人は平均的に何歳で各子どもを持っているのでしょうか?


図1:40歳時の子ども数別にみた平均出生年齢の推移
データソース:Harmonized Histories

図1は、40歳時の子ども数が1人の女性、2人の女性、3人の女性、4人以上の女性に分けて、それぞれの子どもの平均出生年齢を女性の生まれた年代別に比較した図です。X軸は年齢を、Y軸は女性の生まれた年代を表しています。

ドットが平均年齢で、色に応じて第何子の平均出生年齢かがわかります。青は第一子、オレンジは第二子、緑は第三子、紫は第四子です。ドットの両側に延びてる線は、各平均出生年齢がどのくらいばらついているかを示しています。正確に言うと、パーセンタイルと呼ばれるもので、線の左縁は25パーセンタイル(最小値から25%の位置にある年齢)、右縁は75パーセンタイル(最小値から75%の位置にある年齢)を指しています。

一番上のパネルは40歳時点で子どもを1人持っている女性が、その子ども(第一子)を産んだ平均年齢を、上から二番目のパネルは40歳時点で子どもを2人持っている女性が、第一子を産んだ平均年齢、第二子を産んだ平均年齢、、と続きます。

データは、ベラルース、ベルギー、ブルガリア、チェコ、エストニア、フランス、ジョージア、ドイツ、リトアニア、ノルウェー、ポーランド、ルーマニア、ロシア、スペイン、イギリス、オランダ、スウェーデンのヨーロッパにある17の国とカナダのデータを用いて分析しています。

このグラフは、既に1、2、3、4人以上子どもを持っている人は平均的に何歳で各子どもを持っているか、というライフタイミングの過去の傾向を示しています。

このグラフから読み取れることは主に以下の2つです。

  1. 40歳時に子どもを3人以上持っている人は、2人以下の人に比べて、子どもを産む年齢が早く、またそのばらつきも小さい。

  2. 40歳時に子どもを3人以上持っている人は、様々な社会変化にも関わらず、昔と似たようなタイミングで子どもを産んでいる。一方、2人以下の人は第一子を産む年齢が遅くなったり、ばらつきが大きくなったりしている。

あくまで過去の平均的な傾向ですので、今10代、20代、30代の方の未来を決定するものではありませんが、指針になると思います。また、平均的な傾向なので、このグラフは例えば30歳で第一子を持った方が絶対に子どもを3人持てないことを示すわけではないことには注意が必要です。

政府は理想・希望子ども数を実現できる人を増やすために、様々な支援をするべきだと私は考えますが、こうした平均的な傾向を個人個人が理解しておくことも大事かと思います。

もしご興味ある方は、ぜひ論文にも目を通してみてください。英語で書かれていますが、500字程度の短い論文で使っている手法はただの平均値を出しているだけという非常にシンプルなものですので、とっつきやすいかと思います。

https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/23780231241238142

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茂木良平(少子化研究者)
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