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不安に対抗するシンプルなルール――「新訳 道は開ける」D.カーネギーを読んで気づいた私の過ち

こんにちは、弥生です!
普段は近代の食器や陶器物にうつつを抜かす謎のレトロショップ「えこわっか」をやっています。

12月の師走時。
なかなか予定が詰まって息苦しさを感じる時期ですね。
私も確定申告に向けた諸作業を片付けながら、新しい挑戦の準備を大急ぎで進めています。

各種SNSですでに告知を出させていただきましたが、1月に大きなイベントへの参加が決まりました!


 「オールトヨタFUNフェスタ2025」
in コンベックス岡山

えこわっかは1月11日・12日に#レトロ・マルシェ スペースにて出店を行います!
素敵なご縁でお声がけをいただき、師匠からも「大丈夫だよ、できるよ!」と背中を押され、出店をさせていただくことになりました。

小さな謎の店「えこわっか」に素敵なご縁と応援をいただき、本当にありがたいかぎりです。

出店は12月頭ごろに決まったので、いろいろ腹をくくりながら、スペース出店に向けて在庫をそろえております。
忙しくあちこちを回っているのですが、たまに頭をもたげてくる、困ったちゃんがいます。

それは「不安」と「プレッシャー」。
かつて40年の人生の中で、何度この感情に足をすくわれてきたでしょう。
最も直近の記憶でも、5年以内にこの感情を持て余して大きく転んだことを鮮明に覚えています。

今回は本当にありがたいことに、失敗しても取り戻せる体制で準備を進められていますが、それでもたまに「これで大丈夫だろうか?」と思うこともあるのです。

というわけで、名著の力を借りることにしました。

ビジネス書でたびたび登場するD・カーネギーさん。
「人を動かす」はビジネス本の名著として、70年たった今でもいろんな人が引用しています。
でも一人でできる小さな仕事をしている私には今のところご縁はなさそうな本です。

しかし、今回開いた「道は開ける」は、不安とプレッシャーで道を狂わせてきた私にとっては、ぴったりの本だったのです。


1.不安は人類共通の「病」である

D・カーネギーの「道は開ける」は、70年前のアメリカを生きた多くの人々の不安にまつわる体験談をもとに、シンプルなルールと不安の対処法をまとめている本です。

70年前の世界といえば、第一次世界大戦がおわり、アメリカは好景気に沸き、やがて世界恐慌が始まって、第二次世界大戦を迎える。
そんな世界を生きた人々がたくさんいた時代でした。

今の日本から考えると、まるで想像できないような世界観です。
第二次世界大戦の日本を考えるだけで気が遠くなるのに、それよりももっと遠い「アメリカ」という国の人々。
歴史も国籍も違う場所で、まるで想像できないような生活を送っていた人たちです。

でも、そんな遠くの世界を生きている人でも、現代の私たちに共通する不安や悩みを抱え、時に体調を崩し、時に人生に絶望していたようです。

細かなシチュエーションは異なれど、感じている「生活の不安」「過ちへの公開」「仕事への絶望」「心身の不調」などは、現代の私たちと共通する部分が多くあります。

物価高騰でしんどいなあ。
思ったように利益があがらないなあ。
なんであの時、こんな投資をしちゃったんだろう?
背中と腰がめちゃくちゃ痛いんだよなぁ…

自分が今抱えている不安や、ちょっとした悩みに共通します。
本の中ではたびたび、「歴史を学んでご覧、あなたが悩んだことは過去の人たちも同じように悩んでいる」と語りかけてきます。

実際語られるエピソードを読んでいると、「私も同じ失敗したなぁ」とか「私も同じような後悔をしたなぁ」とか。
そういうことを数えるのが面倒になるくらい、たくさん見つけました。

特に共感したのは「不眠」と「自己増殖させたプレッシャー」。
ここからは私の体験談も踏まえ、具体的に本の内容にフォーカスをしていこうと思います。

2.不眠の怖さは「不安に捕らわれること」である

D・カーネギーが収集した体験談は以下の通り。

D・カーネギーの生徒、アイラ・サンドナーは慢性的な不眠症で自殺寸前まで追い込まれてしまった。
理由は、彼女が眠りすぎるほど眠ってしまう人間だったこと。
目覚ましが鳴っても目を覚まさず、毎朝仕事に遅刻してしまうほどだった。
また起きられないのではないかと不安になり、友人に相談したところ「寝る前に目覚まし時計」のことを考えていればいいと助言を受けた。
目覚ましのチクタクという音が気になり、眠ることができなくなってしまったのだ。

D・カーネギー「道は開ける」より要約

この体験は私が会社員時代に起きたことと瓜二つでした。
私も朝起きることが難しく、上司や会社から再三「定時に出社しなさい」と折を触れて注意をうけていたのです。

私も彼女と同じように「起きれないのではないか」という不安に苛まされ、いっそ眠らなければ会社に間に合うのでは!?と思い、椅子に座って寝るという謎の解決法を編み出したのです。

そんな思い付きがうまくいくわけがありません。
毎日体調が悪くなり、健康法を本で読み漁り。
「飯食わなかったら健康になるらしい…」という、妙ちきりんな結論にたどり着きました。

寝ない・食べない。

修行僧が修行でするような、そんな過酷な生活が体にいいわけがありません。
頭は回らなくなり、神経質になり、親しくしてくれた人を遠ざけることになりました。

しまいにはベッドから起き上がれなくなり、退職に至ることになりました。
もう10年以上前のことです。

そこから地元に戻り、「休んでいい状況」になってから、昏々と気が済むまで眠り続け、腹が減れば食事をとり、長い時間をかけて回復をしていきました。

当時は神経質で不安に敏感。
失敗を恐れて行動ができず、強い劣等感と高いプライドに囚われていた時期です。
日々、これ以上悪いことが起きませんように――と、祈るばかりでした。

だけど、これは誰のせいでもなくて自分が愚かだっただけだなぁ、と本を読んで思ったのです。

時分に起きている問題をちゃんと見つめて、適切な行動を起こしていれば、ひょっとしたら違った未来があったのかも。

とはいえ、そう思えるようになったのは、古物商として開業して、失敗も成功も少しずつしながら、自分の行動に責任をもてるようになったからかもなので、どっちの未来がよかったのか?なんて論じる価値がない程度のIFなのかもしれません。

2.目の前の仕事を大きく捉えすぎてしまう失敗談

これも全然規模感は違うけど、同じような体験をしていました。

キャメロン・シップの体験談
広告ディレクターに昇進したキャメロン・シップは、ワーナーブラザーズの広報活動がすべて自分の肩にかかっているのだと思い込むようになった。
スーツを新調し、威厳が出るよう話し方も変え、食事も手早くすませた。
そして、ものごとの決定権を存分に行使するため、ファイリングシステムを作成し、仕事に忙殺されていた。
しかし1か月もたたないうちに体調に異変を感じ、医者へとかかることに。
医者は多くの検査をして、彼女に言った。
「あなたへの処方箋は『悩まないこと』です」

D・カーネギー「道は開ける」より要約

自分の仕事を過剰に大きく見積もり、自分ひとりで背負う錯覚をしてしまうこと。
これは私の些細な人生の中でも何回も起きました。
そして、自分の思い通りになるように、決定権を握ろうとする行動も何度も起こしました。
そして、そうやって背負い込んだ仕事は、すべて上手くいきませんでした。

私は小狡いところがあるので、「ここを握れば、ここまで掌握できる」みたいなウィークポイントを見つけることが、人よりもほんの少し得意です。
それは小さな仕事だったり、ポジションだったり、意思決定権を持つ人の存在だったり。
本来であればこの勘は、順調に仕事をしているときは「強味」の一つとして使っています。
が、私も弱い人間なので、稀にこの穴を悪用しようとすることがあります。

それは、アテ勘だけで、自分の実力よりも大きな仕事を完遂しなければいけないと思い込んだ時。かつ、相談相手も指導者も存在しないときです。

ルールの穴や弱い部分を突いて、自分の裁量権を拡大してしまうのです。

とある演劇公演の制作をしていた時がこれに当てはまります。
自分は公演をひとりで背負っているのだと勘違いをし、自分が動きやすいように外堀を埋め、ルールの穴を感情で突き通しました。

ルールを破ると手痛いしっぺ返しがきます。
それは、組織的な懲罰ではありません。
誰にも相談できなくなること。
そして、自分の思い込みを否定する人間を得られないことです。

当時の自分ははたから見ても、なかなかの横暴を極め、神経質でカリカリした人間に見えていたことと思います。
そして、そうやって精神を摩耗して出来上がった公演には、一切の達成感を感じることすらできず、心は離れてしまったのです。

記憶が鮮明なので直近の事例を出しましたが、私は40年のささいな人生の中で何度も同じような体験をしています。

どのパターンでも、強すぎる責任で視野が狭くなり、失敗や嘲笑を恐れて人に相談することが出来なくなりました。
そして、仕事を大きく見積もりすぎたあまり、大きなリターンを期待して、毎回疲れてがっかりするのです。

本中の女性のように体調を崩さなかったことだけは、不幸中の幸いでした。
しかし、一番大切にしたかった人間関係を破滅的にしてしまったことに違いありません。
本を読みながら、自分が意味のない感情にとらわれていることに気づき、「なんて自分はおろかなんだろうなぁ」と笑う他ありませんでした。

3.道を歩こう。自分らしく、適切に。

こんな感じで、この本には数多くの「不安」にまつわるエピソードが取り上げられています。

決して説教くさくならず、事例とルールや備考のように書き添えられる文章は、一つ一つのエピソードに客観性を与え、適切な助言が行われているように思いました。

D・カーネギーは数多くのルールを提唱していますが、私が今ぴったりくるのはこれだなと思いました。

習慣化した不安に壊されてしまう前に不安に打ち勝つには……。
ルール二 取るに足らないような些細なことで自分を見失ってはいけない。「小さなことにこだわっている間に、人生は終わってしまう」。この言葉を胸に刻むこと。

D・カーネギー 新訳 道は開ける 

大きなことをしようとして、いつも失敗したり、体調を崩してきました。
けど今回は、過去に自分が犯した過ちをよく理解し、同じ失敗をしないように気を付けながら、頑張ってやりきろうと思います!

そう!

イベントがでかいだけで、私のスペースはいつもの1.5倍程度!
でかいものはそろえた! 商品数もかなりそろった!

あとは値段をつけて、年明けの市場で素敵なものをみつけたら、店に並べるだけです!

売れようが売れまいが、どちらでも良いのです。
今、このイベントに向けて仕入れを考えて試行している数々の取り組みは私の中の貴重な経験になっているから。

当日店が閑古鳥なら、積読本を消化しましょう。
そして、忙しいかったなら、笑顔でお客様をお迎えしましょう!

私がやれることはそれ以上のことでも、それ以下のことでもありません。

肩肘はらず、力をいれず。
伸びきったソックスのような心持で、準備を粛々と進めていきます。
もし、当日お時間がございましたら、お茶のみついでにブースにお立ち寄りいただけましたら幸いです。

イベント準備中に、無駄に時間はいっちゃったら、何度でもこの本をもう一度手繰ろうと思います。

だから明日のこと考えてはいけない。明日の悩みは、明日になれば勝手にやってくるのだから。一日には、一日分の苦労だけで十分なのだよ。

D・カーネギー 新訳 道は開ける


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弥生
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