Apple CentralwOrld┃大樹(剛)とガラスファサード(軽)の組み合わせ
Apple Central World/Foster + Partners (Structure: A49)
大樹(剛)とガラスファサード(軽)の組み合わせ
1. 建物概要
BTS Siam(サイアム)駅と Chit Lom(チットロム)駅の中間にあるアップル・ストアになります。
バンコク最大級のショッピングモール「Central wOrld」の一角の植栽に囲まれて佇んでいます。
Foster + Partnersの設計ですが、調べるとA49(タイ最大の設計事務所の一つ)も名を連ねているので、全体コンセプトはFoster、ディテールデザイン、構造設計、設備設計はA49、といったところでしょうか。
2. 構造計画
日本でこのような剛+軽の構造を設計するには、剛の部分に地震力を伝達するために床を繋ぎますが、タイでは考慮しなくて良いため、大樹周りを象徴的な吹抜けとすることができるようです。
中央に吹抜けを作りつつ、外周360度を細い丸柱(1階)及びガラスサッシ(2階)でまとめて、とても軽やかな印象です。
art4dというタイの建築雑誌のHPで図面を見ることができます。
大樹は鉄骨トラス+木で仕上げてるようですね。
3. ディテール
ディテールの話に移ります。
建物全体の印象を左右するガラスファサードのエッジは、仕上の木の中に飲み込まれ、綺麗に納められていました。
階高が結構あるので、風圧力をそれなりに受けそうですが、
支持材および接合部は躯体と仕上の間に隠されています。
吹抜け螺旋階段は大樹からのキャンチレバーです。
踏み板の形状は根本は三角形。
先端に向かって板状にすぼまっていきます。
根本の三角形が味噌ですね。踏み板キャンチレバーの梁成を少しでも稼いで剛性を確保しています。
構造設計者の必死さが伝わってきますが、
滑らかな金属仕上と相まって、軽快で美しいフォルムですね。
粋なデザインです。
ちなみに踏み板上で足踏みして揺らしてみましたが、
あまり揺れませんでした。
それほどまでに根本の三角形が効いているのでしょう。
4. その他
その他にも、
床立ち上がり式のエレベーター
(オーバーヘッドのフレームは2階床からの片持架構!)
表裏一体のAppleサイン
(ガラスをサンドイッチして、外にも内にも見せるサイン。どうやってくっついてるの…)
床拭き出し空調
(展示製品の机の下に目立たず納まってます)
などなど、細かいところまでとても綺麗な作品でした。
構造設計は恐らくA49によるものと思われますが、Fosterの高い要求にしっかりと答え、かつ、意匠、設備によく配慮された構造デザインだと思いました。