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自称「精神科医」と「精神科専門医」の違いに注意!その精神科医、本当に専門性ありますか?

日本の医療は、世界でも最高水準にあります。
医療の質は高く、MRIやPETなどの医療機器も世界で最も普及しています。
国の施策として、誰もがどこに居ても医療にアクセスできる体制を作り上げてきました。また、規制も極めて大きい領域です。
一方で、いびつな面もあります。

その一つが、「診療標榜科」です。
これ、実は、届け出、自己申告制なのです。

私は精神科専門医であり、医師になって以来、ずっと精神科にて診療に従事してきました。ですので、一般的には「精神科医」と名乗ることはごく自然だと思います。
一方で、プライマリケアにも対応はしますので、ガイドラインに従って、高血圧や糖尿病、アレルギー性疾患についても、一定の対応はします。CTやMRIの読影もしたこともあります。これは、精神科病院に入院中の方で、容易に外出して他のクリニックなどを受診できない患者さんをサポートしないといけない点からも、やむを得ないこと、想像できると思います。
では、私が、明日から「内科医」「糖尿病内科医」「アレルギー科医」「放射線科医」です、と名乗ることは可能でしょうか。
実は、可能です。診療科は自由に名乗れます。

https://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/dl/tp0521-1a_0053.pdf

厚生労働省が認めている診療科区分であれば、いつでも、医師は「自称」できるわけです。医師免許を取得して、2年間の初期研修が終われば、誰でも、何科医であることを自称する事には、全く規制がありません。
では、専門医とは何か?
専門医制度は、一般社団法人 日本専門医機構の下に、各診療科を最も代表する学会が、各診療科の専門医制度を構築・認可・更新などを運用しております。これによって、その診療科における「標準的」な診療技術の担保を行っているわけです。
精神科領域においては、日本精神神経学会、が担っています。
ここで、あえて、「標準的」としたのは、専門医は2年間の初期研修を行った後、専門医過程に進んで最短で3年で取得できるからです。ですので、医師として6年目で〇〇専門医、となることが可能ですが、その診療科であれば、なんでもお任せあれ、という水準には至っていないことが殆どではないかと思います。あくまで、専門家の端くれを担うに至った、というのが実態だと思います。
例えば、医師として6年目の外科医が、本当に高度で専門的、と皆さん思って、手術を頼むでしょうか?

というわけで、本題の「精神科医」ですが、医師であれば、いつでも誰でも、「精神科医」と名乗れるわけです。
最近は、オンラインで、安易に診断書や薬を出す医療機関が増えてきました。精神科医が対応します、とHPやサービスサイトに記載していますが、残念ながら「精神科専門医」ではないケースが多々見受けられます。
すなわち、精神科にて3年間の診療に従事して、専門医の試験すら通っていないのです。2年間の初期研修を終えただけだったり、医師として専門性を高められず、医療機関で活躍できない(=医師として稼げない)から、安易にオンライン診療に従事している医師も増えています。安易に休職の診断書を出して、向精神薬を投与して、オンライン診療に伴う手数料と診断書料を稼ぐ、というビジネスモデルであり、その質には閉口せざるをえないことを、後日診療を担う精神科専門医として、産業医として、日々経験しております。

担当医や、医療機関の運営者・管理者が精神科専門医であるかどうかは、最低限、確認してください。

下記にて、検索できます。
その際には、氏名にスペースを入れてください。

https://www.jspn.or.jp/modules/senmoni/

メンタルヘルスは、人生を左右します。
その時に、非専門医が運営する、医療機関に人生を託すようなことは、お勧めしません。私の家族や友人が、そのような医療機関を受診するようであれば、きちんと諫めます。
もちろん、カウンセリングサービスもしかりです。
非専門家がどうやって、専門家を選定し、マネジメントできるでしょうか?
ましてや、ヘルスケアの専門家でない方が選定したり、マネジメントしているサービスも横行しています。
単なるサービス業であれば、良いでしょう。飲食店であれば、せいぜい「おいしくなかった」「コスパ悪かったね」で済みます。でも、メンタルヘルスは人生を左右します。時には、仕事を辞め、学校に行けなくなり、自死を選ぶ人がいます。なにしろ、皆さんが暮らす日本は世界でも屈指の自殺大国ですし、様々な調査研究でメンタルヘルスのコンディションが悪い国なのですから。
必ず、運営会社の経営陣含めた体制をチェックしてみてください。

是非とも、この記事が皆さんのリテラシーアップに役立つことを願っています。

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