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彼との幸せを彼なしでも。
__小さな幸せ
私は小さい頃からそれを見つけるのが下手くそだった。
気づけば文句ばっかりで、悪いことばかり数えて、
今日はあんなことを言われた、今日はこんなに大変だった、私は可哀想だ、大変だ、
ずっとそうやって生きてきた。
それが良くないことは自分が1番わかってるし、
幸せを自分が1番見つけたかった。
悪い事。嫌だった事。全部全部、忘れたかった。
いつからか、それは私の存在意義を自身に問うものへと変わっていった。
消えたい。
ずっと、誰の記憶にも残らずにそうなることを望んだ。
なぜ、息をしているのか、なぜそれを止め続けられないのか、憎く思った。
産まれてくることなんか望んでない。なんで私は生まれてきたんだろう。なんで私はここに息をして立っているんだろう。
なんて、思ったりもした。
ずっと、抱え込んで笑顔で。
でも、彼を見て、思った。
小さな幸せは、自転車のペダルを踏んだだけで、本ひとつ開くだけで、一歩外へ出るだけで、見つけられるんだなと。それもいとも簡単に。
___そんなんで良かったんだ。
一番最初に出た言葉はそれだった。こんなんで良い。一日に一個。それだけで幸せって呼んでいいんだと。
悪いことの分、幸せはあるのだと。
別に完璧なんか、誰も求めてないんだと。
悪いことを数えるうちに、自分への信頼と自信を無くしていくうちに、
__私は、誰よりもできて、誰よりも幸せな完璧な誰かを演じすぎてそれになろうとしていた。
幸せは道端に意外と落ちているもんだよ、
きっと誰よりも大変な貴方がそれを平気な顔で言っているような気がして。
私はあなたについて行きたいと思った。
胸を張って、
幸せだと。
言えるように。
今でも時々、苦しくなる。
なぜ消えていないんだ。なんで生きてるんだ。って昔の悪魔が私に言いに来る。
本当の私はそういうやつなんだと思う。
でも、彼と、
精一杯幸せを見つけて対抗してみるんだ。
幸せって言えたらどんなにいいか。
それがどんな感情なのか、
少しだけ探してみる。
少しだけ、怖かった冒険をしてみます。
いつか、彼なしでも幸せと胸を張って言えるように。