エッセイストが生み出した小説たち【noteクリエイター紹介~番外編(3)】
どうも、創作大賞のおかげで小説を書く楽しさに目覚めたアルロンです。
同時に、書くことの大変さも思い知ったので、小説家ってすげー。
さて、【noteクリエイター紹介】番外編(創作大賞編)の第3弾です。
今回は、これまでと趣向を変えまして、小説部門の紹介をしていきたいと思います。
過去に紹介したことのある人の作品もありますが、そんなの関係ねぇ。
というわけで、さっそくご紹介です。
※番外編なので、二つ名はつけません。あしからず。
「夢と鰻とオムライス」/花丸恵さん
まずは、ファンタジー小説部門から「夢と鰻とオムライス」。作者は、番外編(2)で紹介した花丸恵さん。
高校生の瞬太は、父や兄と衝突したことから家を出ていき、夏休みの間は叔父(父の弟)である光一と過ごすことになる。
叔父との生活の中で不思議な体験をする瞬太を描いた、ジュブナイル現代ファンタジーといったところか。
タイトルにあるように、鰻やオムライスなど美味しそうな食べ物や飲み物がたくさん登場することでも話題になった作品だが、別の部分でも花丸恵さんの力を見せつけられた。そこが、今回紹介しようと思った大きなポイントだ。
そのポイントとは、「主人公の抱く劣等感」だ。
瞬太は歯科医の家系で、父方の祖父(故人)と父・太一が歯科医、兄・慶太は歯科医を目指す浪人生。
祖父や父がかわいがるのはいつも優秀な兄の方で、一方の瞬太は蔑ろにされて育った。そこに心を掴まれた。きょうだいがいる僕にも、少なからず似た経験があるからだ。
この作品は、人物描写がとにかくリアル。じわじわと漂う人の感情が流れ込んでくるような、絶妙なリアリティーがある。だからこそ、瞬太に感情移入してしまったし、光一の言動に救われたし、最後は父や兄のことも理解できた。
その瞬太の心の変化に寄り添うように、前述したようなグルメたちが作品を彩っている。読むとお腹が空くこと必至だ。
エッセイのコミカルさとはまた違う、高校男児の青春ストーリー。夏休みの読書感想文課題図書にぴったりである。
「ごきげんとり」/ミーミーさん
続いては、ミステリー小説部門から「ごきげんとり」。作者は、第5弾で紹介した【虎視の文豪】ことミーミーさん。
シングルマザーの真巳子は、婚活パーティーで知り合った乾 克夫と結婚し、娘・亜巳とともに克夫の地元である根子町に引っ越してくる。
しかし、乾家や根子町にはある秘密があり、それがだんだんと明らかになっていくホラーチックなミステリーである。
この作品のポイントは、「答え合わせのスッキリ感」とでもいえようか。
あらすじを読んで、まず固有名詞にヒントがあるなと。読み進めていくうちに、登場人物の名前に共通点があることに気づく。そして、主要人物の思惑や根子町の例祭の実態が明かされ、「ああ、そういうことだったのね」となった。
ドキドキハラハラしながらも(僕はホラーが苦手)、脳内で鮮やかに映像が浮かんできて、ページを進める手が止まらなかった。戦慄的なストーリーなのに、読後感はなぜか爽やかで心地が良かった。
ミーミーさんは、とても心温まるエッセイを書かれる人である。エッセイとのギャップに驚きつつも、物語の収め方にミーミーさんの優しさを垣間見た気がした。
これを読んで、ミステリー小説がもっと好きになったし、自分でも書いてみたいと思った。
「文車妖妃のメソッド」/ヤス(ウエダヤスシ)さん
最後は、お仕事小説部門から「文車妖妃のメソッド」。作者は、noteクリエイター紹介シリーズ初登場のヤス(ウエダヤスシ)さん。
memo社の賞コンテスト「文章大賞」の審査員となった加藤は、クセの強いほか審査員たちとともに文章大賞の審査を進めていくが、その中で自分にしか見えない幽霊女と出会う。個性豊かなキャラクターたちと文章メソッドとが織りなす、コンテスト審査員目線のお仕事小説である。
本作のポイントは、なんといっても「“文章の書き方”という命題」だろう。
いわずもがなnoteの創作大賞を題材にしているのだが、「noteの創作大賞を題材にした小説を、noteの創作大賞に応募する」という斬新な発想が見事。
ジャンプ漫画の「バクマン。」を彷彿とさせるテイストには、「創作大賞の審査って、実際こんな感じなんだろうな」と妙な納得感がある。それは、ヤスさんが築き上げてきた“文章の書き方”にかなり説得力があるからなのだろう。誰よりも文章を書き続け、誰よりも文章を愛しているヤスさんだからこそ書ける作品。いや、ヤスさんにしか書けないのかもしれない。
また、「memo社」「文章大賞」をはじめとする、固有名詞にもこだわりを感じた。こういう言葉遊びも読者を惹きつける重要なポイントだと思うので、流石の一言である。
説得力が必須なお仕事小説の、新たな光を見つけた気がした。
というわけで、3者3作品をご紹介しました!
いやー、やっぱり皆さんすごい!
いずれも応募期間終了後に読んだのですが、めちゃくちゃ執筆欲が出ましたね。「僕も面白い物語を書きたい!」ってなりました。
御三方ともエッセイも素晴らしく、日々勉強させていただいています。僕はまだまだ切磋琢磨できるレベルではないのかもしれませんが、遠い背中を追いかけてガムシャラに走り続けていこうと思います。素敵な作品をありがとうございました!
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました! アルロンでした!
【余談】拙作、もしかして万が一興味のある人がいるかもしれない可能性が微レ存なので、リンク貼っておきます。
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