ルビを振ってくれないか
共感してくれる人がいるかどうかわからないが、人の名前を見ることが好きだ。
テレビ番組の出演者や漫画・ゲームの登場人物など、実在するしない問わず名前を見たくなる。
数百人規模の会合の出席者名簿なんかは、もはやご馳走である。
特に何か理由があるわけではない。
純粋に名前を楽しみたいだけ。
「あ、この人の名前カッコいいな」とか「画数多くて書類の記入とか大変だろうな」とか、人様の名前を勝手に楽しんでいるだけ。もはや名前フェチである。
実はそれが、名前を覚えるのが得意な理由なのでは、と最近は思う。
ただ、最近は読めない名前も増えてきた。
いわゆる『キラキラネーム』である。
なんとなく予想して、当たることもあれば、まったくの見当違いということも。
キラキラネームの話も過去に書いたが、法令である程度定めておくことは確かに大切だと感じるようになった。
しかし、今日お伝えしたいのはキラキラネームのことではない。
たとえば、こんな名前。
「金城」
はい、何と読みますか、って話なんですよ。
武は「かねしろ」、ブルーロックの作者も「かねしろ」。
でもKiroroは「きんじょう」だし、第一期ウルトラシリーズの脚本家も「きんじょう」だ。
さらに、「金」は「かな」とも「こん」とも読むし、「城」は「き」とも「ぎ」とも読む。「かなしろ」や「かねぎ」の線もあるのだ。
なんとも、全国の金城さんの気苦労が垣間見える命題である(ちなみに、本記事は基本的に「かねしろ」で変換している)。
同様に、「金谷」も難しい。
「金」は前述のとおりだが、「谷」も「たに」なのか「や」なのか、はたまた「がや」なのか「がい」なのか(「熊谷」みたいな)。
ここまで読んでいただいた人の中には「いや、本人に聞けば良くない?」と考える人もいるだろう。というか、ほとんどがそうだろうと思う。
で!も!
初対面で聞けますか、って話なんですよ。
たとえば、名刺交換のとき、「○○と申します~」と名乗ってくれる場合がほとんどだと思う。
しかし、それを聞き逃してしまったら?ましてや、クソ難聴野郎ことアルロンである。周囲の喧騒も相まって聞き取れないことも多い。というかほとんどである。
あれ、「かなや」さんだっけ、「かねや」さんだっけ、と一人悶々と考え込み、大切な仕事の話がまったく頭に入らない恐れが多分にある。
かといって、自己紹介タイム終了後に「すみません、お名前って『かなや』さんでしたっけ、『かねや』さんでしたっけ?」なんて聞くのは野暮というもの。
ビジネスシーンではもちろん失礼にあたるが、婚活パーティーでそんなことをしたらその時点で選択肢から外されるだろう。知らんけど。
失礼のないように、と思えば思うほど、人の名前を正確に把握したくなり、それができないと不安になるのである。
親切な名刺だと、ルビが振ってあったり、ローマ字で表記してあったりするので助かる。
あと、メールアドレスが名前のローマ字表記であることが多い。「金谷太郎」さんなら「kaneya.taro@~」みたいな。
しかし、下の名前がたとえば「裕香」だとして、ローマ字表記が「Yuka」だとした場合、“「ゆか」なのか「ゆうか」なのか問題”が発生する。
「u」の音を伸ばす性質が仇となってしまった。
これまでの話をまとめると、「金城裕香」さんの読み方が最大級にシビアということになる。
「かねしろゆうか」? 「きんじょうゆか」? 「かねぎひろか」?
全国の「金城裕香」さんには、ぜひ名前という名前にルビを振っていただきたい。
シンプルに読めない漢字だけでなく、“読めるけれどパターンが複数あって絞り込めない”ものにもルビを振ってほしい。ただそれだけを僕は願っている。
お互いの円滑なコミュニケーションのために。