「他者に与える側の人」が幸せになっていく

アドラー心理学では、人の最大の幸せを「貢献感」だと定義している。

人は人とのつながりの中で生きる生き物であり、最も「つながり」を感じられる瞬間は他者に貢献している時なのだと言う。

私がこの概念を知ったのは心理学に夢中になってのめり込んでいた大学時代にまで遡るが、正直に言って、「貢献感こそが最大の幸せだ」と言われても全くピンとこなかった。



当時の私にとっての幸せとは「学業や仕事における成功」であり、「お金を儲けること」であり、「美女と交際して周囲から羨まれること」であり、「知識豊富な人だと思われること」であった。

すなわち、貢献の反対。「他者から自分がどう思われるか」言い換えれば、「他者にどう貢献してもらうか」を人生の最大の幸福としていたということだ。承認欲求のために生きていたと言っても良いだろう。エゴのために生きていたと言っても良いだろう。自分中心の世界に生きていたと言っても良いだろう。

もちろん、人生のある段階で思い切り自分のエゴを満たしたり、承認欲求のために生きたりすることは否定されるべきことではなく、誰もが通る道なのだと思う。

そして、一定の人は承認欲求のために生きる虚しさに気づき「貢献感」の意味と素晴らしさを知ることになるようだ。



私はおそらく運にも恵まれたのだろう。ビジネスの先輩やカウンセラーの先生、知識の深い友人、そして妻など、人間関係にも恵まれたのだろう。

人生の、割と早い段階で「他者貢献こそが素晴らしい」ということの意味を知ることができた。



承認欲求のために生きるのは、虚しいだけでなく、苦しく、削られる生き方だ。

なぜなら…

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