虚構 その4…カァートォッ!
今回の登場人物:
・リクオ
→書き手?監督?(以下:リ)
・川嶋 隆志(カワシマ タカシ)
→フリーター(以下:隆)
・桜井 千智(サクライ チサト)
→チーフ・アシスタント・ディレクター(以下:千)
・枚岡 龍太郎(ヒラオカ リュウタロウ)
→次回ロケ地の友ヶ丘図書館長(以下:枚)
・岡田 圭史(オカダケイシ)
→音声(以下:岡)
・塚本 拓也(ツカモト タクヤ)
→ライティング(以下:塚)
【・今村 耕平(イマムラ コウヘイ)
→前回の南農運輸の配達員さん】
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リ:「ハイ、カット、カットぉ〜っ!隆志くーん!ちょっ、ちょぅこっち来て。」
隆:「何ですか?」
リ:「あのなぁ、さっきのんはないでーホンマに」
隆:「ないでって、何がですか?」
リ:「いや、そやからその1のラストあたりの夜、搬出を待ってる時に外へ出てきた桜井さんに対する不遜な態度の事やって!」
隆:「はぁ。」
リ:「いや、"はぁ"じゃなくて困るねんて。」
リ:「君のことキャスティングしたんも僕やけどあれだけ不機嫌そうに勝手に動かれたら話の筋がどんどん見えへんなってまうねんよ…お陰で千智さんの家までAmezoonの配達に来てはった南農の今村さんまで登場してもらう事なったやないか!」
隆:「だって物語ってそういうもんじゃないの?」
リ:「確かに…たしかにそれはそうかも知れへんけれど…」
隆:「というより、リクオさんは内装の現場監督やってた時からそうだけど段取りが本ッ当ォーに不十分で職人さんへの指示の出し方もどんどん無茶苦茶になってあたふたして全然現場のこと監督できてなかったじゃん?」
隆:「ってかむしろ途中から職人のみんなに監督されてたじゃん笑」
リ:「なんで君がそれ知ってんねん笑 痛いとこ突くのやめてくれよ〜確かにそやったけど。今回も見切り発車でこれ書き出してたら登場人物がどんどん勝手に動き出すから僕びっくりしてもうて、とりあえず今カットかけたんよ。」
隆:「ってか、桜井って誰だよ?」
リ:「桜井さーん、ちょっとこっち来て!」
千:「え?わたし?はーい笑」
リ:「桜井さん、さっきは本当にごめんね。」
千:「いえいえ、私も隆志くん?だっけ?この子がわたしが子どもの頃はじめて付き合った男の子に何となく似ていたのと沈黙の空気が何となく気まずくて、つい話掛けただけだからわたしも迂闊だったなと思ってますよ。
全然何も気にしてないですよ!」
隆:「あ、昨夜はどうも。桜井さんっておっしゃるんですね。こんにちは。」
千:「こんにちは。隆志くん。昨日は急に話しかけて失礼しました。」
リ:「いやー、本当にいっつもありがとう!
今日も仕事の休みに僕の物語制作に付き合ってもろて…」
隆:「というか、いつまで俺らだけに話してるんだよ? 周りの人たち、みんなポカンってなってるよ。」
リ:「た、たしかにそやな笑」
リ:「読者の皆さん、ご挨拶遅れてすみません。お楽しみ頂けてますでしょうか?ストーリーテラーのリクオです。何かどんどん物語が勝手に進んでゆくんで、ついカメオ出演しちゃいました笑」
隆:「何がストーリーテラーだよ笑 おんなじ"テラー"だったら、みんなディズニーのタワー・オブ・テラーに乗ってる方がはるかに楽しめるわ」
千:「笑」
リ:「もーうるさいなぁ テラーってスペルも意味もちゃうからな笑」
隆:「分かってるよっ!自分で"テラー"って言うんならもっと巧みに物語書き進めろよっ!」
リ:「…」
リ:「あかん、あかん。隆志くんのペースに合わせてたら会話とっ散らかってしまう。何よりもまず聞きたかったのは、みなさんどう思います? その1の隆志くんの桜井さんに対する態度。」
リ:「僕は、腹立ちましたねぇー、あんな何か子どもじみた感じで自分が現代人の孤独と哀しみすべてを背負ったみたいに不遜に生きて、結局近くの他人には傲慢な態度しか示されないの。ちゃんと桜井さんに謝るべきですよね?」
隆:「言い過ぎだって!あんたが俺を作り上げて独白までさせたんじゃないか!」
リ:「そうや!だから、今こなして落とし前付けようとしてるんやんか!」
千:「ちょっとぉー、おふたりさん。いつまで言い合いしてるの?」
リ:「いやー、桜井さん。ごめんごめん。お見苦しいところを…」
千:「しっかり!リクオさん。もういい大人でしょ?とにかく、わたしは全然大丈夫だけど?」
リ:「はい、すいません…とりあえず、隆志くんちゃんと桜井さんに謝って!」
隆:「分かった、わかったよ。お前の気の済むように代わりに謝ってやるよ。」
リ:「お前言うなっ!年上やぞ!」
隆:「ういうい。とりあえずちゃんと謝るからちょっと静かにして。」
隆:「桜井さん、昨日はせっかく話掛けて頂いたのに不遜な態度を取って申し訳ありませんでした。夜勤明けでうちに帰ってから、あーやっちゃったなぁと思って反省してました。」
リ:「ほんまかぁ〜?」
隆:「うるせぇなぁ。」
千:「いえいえ、とんでもないです。隆志くんこちらこそ突然ごめんなさいね。けどね、少しだけあなたより長く生きてるわたしが言えることはね、ここに出てくるみんな、というかみんなの哀しみや孤独を感じる重さ、それって天秤に掛けてみたところでたぶんそんなに変わらないのよ。だからね、そんなにひとりで抱え込まなくていいんだよ。」
隆:「はい、あ、お気遣いありがとうございます。」
千:「いいえ!だから、そんなに気にしないで!」
リ:「ほんまやで!せっかく僕が隆志くんに恋のキッカケ作ろうと思って、千智さんキャスティングしたのに〜」
隆:「ネタバラシしようとするなよ笑 それって俺のためでも何でもなくて、自分が人が孤独から恋をすることによってどうなるのかという過程を描いてみようって下心があっただけじゃんか」
リ:「お、ぉう。」
隆:「俺今日も夜勤早出だから、もう帰っていい?」
リ:「分かった分かった!呼び出して悪かったな!んな、また!たぶんどこかで出演してもらうと思うわ」
隆:「うす。んじゃまた、よろしくお願いします。」
リ:「お疲れー。はぁーっ。さて。」
……
リ:「枚岡館長〜」
枚:「はいはい。リクオさん、桜井さん、こんにちは。」
リ、千:「こんにちは!」
リ:「すみません。お昼時にお呼びして。」
枚:「いえいえ。いやね、さっきまで隣県の他館から数名の方が当館に視察にこられていたんですが、予定より少し早めに終わりましたのでちょーど良かったですよ。何やら当館をお使いになって物語を書き進められるそうで。副館長の福山から伺っております。」
リ:「館の使用許可の決裁から何から何まで、お忙しいところ、本当ありがとうございます。ところで、、折言って相談なのですが…」
枚:「はい、何でしょうか?」
リ:「次回では、枚岡館長にちょっと恋のキューピッド的な役を演じていただきたくて…読者の方からするとちょっと嫌な上司に映るかも知れないのですが…」
枚:「ほぉ、それは面白そうですね。」
リ:「もう何と申しますか、枚岡館長には演技していていただくというよりは、いつも通りに働いていただく形で問題ありませんので!」
枚:「なるほど、いつも通り公務に励むということですね。何も畏まらなくたって福山から概要は聞いておりますよ。」
リ:「そうですか、それはそれは。」
枚:「いやぁね、私ごとですが長年奉職した市役所から当館に出向して3年目の今年が定年でして、こんな経験今までなかったことですので、少し緊張しますが、実は楽しみにしております。思い出の1ページにもなりますし。ある意味では定年の記念として貴方から頂くトロフィーみたいなものですな。そう思ってお引き受けする所存です。」
リ:「それはそれは!とんでもないです。こちらとしても楽しみにして頂いているという事で…ありがたいことです。」
枚:「何やら貴方は、はじめて物語を書いてらっしゃるそうですが、あの湯川秀樹先生も"本の中の世界"という著書でこう記されていたそうですよ。」
「"本を読んでいるうちに、いつのまにか本をはなれて、自分なりの空想を勝手に発展させることができたら、これまた大いに楽しいことである"」
枚:「貴方は、ちょっと"先人たち“の引用やオマージュが中々多いようには見受けられますが、若気の至りというやつだ。どんどん書き進められること私も応援していますよ。」
千:「(リクオさん、引用多いのバレてましたね笑)」
リ:「(シーっ!聞こえるからっ!)」
リ:ゔぅん。咳払いをした。
リ:「枚岡館長、叱咤激励、本当にありがとうございます。では、次のシーンからどうぞ宜しくお願いします。」
枚:「はいはい!任せてください。」
千:「音と照明はおっけい?」
岡、塚:「オッケーです!」
リ:無言で頷く。
リ:「シーン32
ヨーイッ、アクションっ!」
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つづくぅ?
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