DPAとSchoepsのペンシル型コンデンサーマイク6種を一気に聴き比べる動画を作りました【保存版】
PAやレコーディングで使用される、DPAとSchoepsのペンシル型コンデンサーマイクの聴き比べができる動画を作成しました。※末尾に<編集後記>を追記しました
はじめに無指向性(Omni)のDPA 4006-TL、2006A、4090の比較を、続いて単一指向性(Cardioid)のDPA 4011A、2011C、Schoeps CMC64の聴き比べを収録しています。また、「DPAの2000番台ってどうなの?」という声に答えるべく、DPAの4000番台のマイクと2000番台のマイクの聴き比べもできるようにしておきました。
低音が聞こえやすいヘッドフォンもしくはスピーカーでの視聴をおすすめします。
視聴動画、およびデータシート
白金ピアノスタジオ
チャンネル登録お願いします。⇒ https://bit.ly/3dO57zd
Microphone (Omni): DPA 4006-TL, 2006A, 4090
Microphone (Cardioid): DPA 4011A, 2011C & Schoeps CMC64
Stereo Microphone Setting: A-B stereo
Microphone Preamps: Audient ASP008
Piano: Yamaha Grand Piano "C7"
Mics (No EQ & Dynamics)
Filming & Recording by 木村 玲 / Ryo Kimura (Shirokane Piano Studio)
https://www.facebook.com/shirokanepiano/
ピアノは白金ピアノスタジオのYAMAHA C7を、マイクプリアンプはAudient ASP008というモデルを使用しました。
マイクの位置を揃えるために何回も演奏した
マイクの聴き比べの代表的なやり方に、一度に複数のマイクを立てて、それを切り替えながら試聴する方法があります。
この方法はリアルタイムに聴き比べができるのが利点ですが、マイク位置を完全に同一にすることはできず、その誤差が音質評価に影響を与えてしまいます。
そこで今回は、マイクの位置をできるだけ同一にするべく、マイクスタンドを固定し、マイクごとに1回1回演奏をして録音し直すという手間を掛けて、試聴音源を作成しました。
動画を見ていただければわかるのですが、曲の途中でマイクの音色を切り替えています。これを実現するために、すべての録音を同じテンポで収録する必要があり、ヘッドフォンでガイドのクリックを聞きながら演奏しています。
今回使用したマイクを簡単ではありますが順にご説明いたします。
クラシック録音の王道マイク「DPA 4006」
クラシック音楽の録音を手掛けるプロの録音エンジニアにの方にとって、王道的な定番マイクが、DPA「4006」というマイクです。2本ペアで50万円以上する大変高価なマイクですが、今回はお借りしてテストをすることができまました。
無指向性のマイクで、周囲の音すべてを余すことなく収録することができます。豊かな低音、そして誇張のない正確な音が特徴です。4006にはいくつかのタイプが存在しますが、今回は「4006-TL」を使用しています。
4006の約半額で購入できる2006
4006にはなかなか手が届かないという方におすすめなのが「2006」というモデルです。4006同様に無指向性のマイクですが、4006の約半分の価格帯で手に入れることができます。音色のキャラクター的には4006にとても類似しますが、決して4006の廉価版ということではなく、2006ならではの伸びやかな音色があります。
コストパフォーマンスに優れた小型・軽量の音楽収録用マイク4090
先端が尖ったフォルムの小型マイクが4090です。こちらも無指向性のマイクです。今回紹介するマイクの中では一番リーズナブルな価格帯のマイクです。アマチュアの方にも扱いやすいモデルですが、DPAのクオリティを十分に体感することができます。
単一指向性の高品質マイク4011
世界中のレコーディングスタジオ、ライブ収録用とスタンダー ドとなっている単一指向性のマイクが4011です。開放的でピュアな音を狙い通りに確実に収録することができます。
ステージに最適な単一指向性マイク2011C
短いフォルムが可愛らしい単一指向性のコンパクトタイプのマイクが2011Cです。ピアノの内部やドラムセットなど、狭い場所にも自在にセットすることができPAにも最適です。
クラシック録音の御用達マイク、Schoeps
クラシック録音において、DPAと並び定番とされているのがSchoeps(ショップス)です。NHKのクラシック番組などで必ず目にすることができます。
大変高価なマイクで、かつとてもデリケートなマイクなので丁寧に扱う必要があります。CMC6というプリアンプにMK4という単一指向性のカプセルをつけたものを「CMC64」と呼称します。音をリアルに、そして音の“言霊”をつかむような、独特な質感があります。
いかがでしたでしょうか。DPAのマイクをここまでたくさん、一度に聴き比べできる動画も珍しいと思いますので、録音に関心のある方、ぜひ感想をお聞かせください。
<編集後記>2021/3/13追記
DPAのマイクはおしなべて品質の高さを感じた。レベルを揃えることに苦心したが、実際はマイクごとに出力の違いはかなりあり、2006A、4011Aは出力高めで、自ずとSNも良くなる。
定番の4006には王者のような座りの良さがあり、ヘッドフォンへの返りの音もとても弾きやすい。ペアで50万円オーバーは、おいそれと手が出せる価格ではないが、所有されている方は皆「一生使えるので、むしろコスパは高い」とおっしゃる。登板が多ければ元を取れるのかもしれない。
なお、無指向性マイクと指向性マイクでは適切なマイキングが異なると思われるので、同じ位置で音質を比較することに本質的な意味はないのかもしれないが、各マイクの傾向を知る資料にしていただければと思う。
今回、マイクからピアノの弦まで距離は約80センチ。指向性マイクはもっと近づけることで、マイクごとの個性がより強く出ると思われる。
関連記事、ノイマンのマイクの聴き比べ動画もあります
先月公開した、ノイマンのペンシル型マイクを聞き比べする動画もございます。こちらもあわせてご覧いただければうれしいです。
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