7/1 ひとつの業務にも顧客ニーズ指向
RyuK(リューケー)です。簡単な自己紹介だけ先にしておくと、メーカーで働いている他の人よりも少しだけ日本の将来と日本の製造業の発展を強く願っているただのサラリーマンです。
今日は、マーケティングで言われる「顧客ニーズ」のお話。
「顧客ニーズ」という指向性は、言葉のまま「お客様を目の前にしたから切り替える」ものではなくて、ひとつひとつの業務に対しても顧客ニーズの意識が必要なんです。
そもそも顧客ニーズというのは、マーケティングにおいて世の中の困りごとやこんなサービスがあったらいいのにな・・・というニーズのことで、この顧客ニーズをベースに製品やサービスを開発する事をマーケットインと呼びます。
対比する言葉として、自社の製品やサービス=シーズをベースに、市場に売り込みやリリースをしていくことをプロダクトアウトと言います。
基本的に会社にいると「今ある製品をいかにして売るか?」に意識が置かれやすく、プロダクトアウト的な考え方になりがちですが、世の中で求められる製品を作るためにはマーケットインの考え方を持つ必要があります。
マーケットインの考え方を持つためには、常に顧客ニーズを意識した働き方をしないとなかなかアンテナに引っかかりません。
この顧客ニーズは、市場の変化にアンテナを張りながら、このように環境が変化すると、あのお客さんのこの業務が大変になる。すると、お客さんはこんな課題を持つであろう、と推測が立ちます。この推測を基にお客様にヒアリングや実際に入り込んだ中で調査を行うことで、求められる事が明確になればまさにそれが顧客ニーズとなるのです。
さて、ここまで話すと、普段の仕事の中でも顧客ニーズが溢れていることが容易に想像ができるのではないでしょうか。
例えば、コミュニケーションが苦手な設計者が、お客様から過去に実績のないCAE(解析)を求められた事を想像しましょう。おそらくその担当者は、「この解析は実績がないので厳しいです。」とできるだけその業務を受け付けないようにするでしょう。
しかし、顧客ニーズは「CAEがデキるデキない」を求めているのではなく、解決しなければいけない課題があり「解決手段としてのCAE」を求めているのです。
設計者はCAEがスキル的にデキるかにこだわりがちですが、まずは顧客ニーズの視点にたち、解決すべき課題は何か?をよくヒアリングする必要があります。
ヒアリングすることにより課題が明確となり、手段としてのCAEの目的が明確になり、結果としてCAEの前提条件(境界条件や変化させるパラメータなど)が見えてきて、さらには結果が出た後のギャップによる紛争を防止できるのです。
そして、ここでもうひとつ大事なこととして、お客様の顧客ニーズを解決する上での自身又は社内ニーズの確認です。これは、この仕事がなぜ実績がないから厳しいと考えたのか?という自問自答をし、素直にお客様に話す必要があります。
具体例としては以下のようなことが想像できます。
①純技術的なハードルが高く、クライテリアの設定が難しいものである。
②そもそも担当者自身の知識が浅く、難しいと思い込んでいる。
③CAE担当者があまり優秀ではなく依頼しても結局自分の時間を奪われてしまい、最優先業務が対応できなくなる。
④CAE担当が年上の厳しい方で、担当者の言語レベルが低く、プアなインプットをすることで、説明に苦労する可能性があるから。
以上のような事を想定すると、お客様への説明の仕方は次の通り。
①→過去の手法の説明と、今回の新要素の説明。精度が低下する理由の説明を行う。
②③④→素直にその分野に明るくない事を明かしつつ、社内のCAE担当と協議する旨を伝え、必要があれば一緒に打ち合わせましょうと会話する。
このように、お客様は解決したい課題がありつつも、その課題がいかに難しいのか?を社内に説明する必要があり、現時点での達成可能レベルを明確にしたいと考えています。
この顧客ニーズを解決するためには、自身又は社内のニーズをお客様に明かすことで解決されるケースがあります。
このように顧客ニーズは、マーケットインに基づく製品やサービスという上流工程だけではなく、ひとつひとつの業務にも顧客ニーズの指向を持って進めていくことが、大切です。
個人的にはこの考え方をするようになってから、仕事がスムーズに進むようになったためオススメしたい指向性です。
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