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あいにくコロナ禍だったもので

「大学時代はどんなことしてたの?」
「いやー、あいにくコロナ禍だったもので…」

定番のごまかし文句です

わたしが大学2年生のとき、新型コロナウイルスが世界中に猛威を振るいました
街行く人の顔はマスクで見えず、
オンライン授業はつまらなかったことを
覚えています
ただの大学生にも少なからず影響はあったし、
コロナ禍でなかったら出会えていた人もいるかもしれないと思います


「趣味は "動画鑑賞" です」
と自己紹介し、好きなYouTuberについて話し始めるゼミのメンバー

バンドの一員としてステージに上がり、
見せつけるように歯磨きをする緑髪

実は慶応も受かっていたなどと、同じ学歴なのに少しでもマウントをとろうとする同級生

「禁煙しなきゃ」
と言って19歳にしてアイコスを吸う先輩

よく通る声で昨日のセックスの話をする
学祭実行委員


なんか嫌でした
今振り返ると、みんな青かったと思います

見渡す限りそんなやつばっかりに見えて、
だんだん孤独を選ぶようになっていきました
気持ちの浮き沈みにも悩まされ、
心療内科に通いました

「このコロナ禍のせいもあると思うよ」
と言ってくれる両親には何も言えませんでした

コロナ禍によって、様々な要因で追い詰められてしまうひとが多かったことは知っています
でもわたしの場合は、選んだ孤独で、
自らを苦しめてしまったように感じています
他人を批評する刃が、
自分に向かうのが怖かったのかもしれません

今でも大学時代にもやをかける免罪符になってくれるコロナには、不謹慎ながら、
サンキューと伝えたくなるときがあります


「大学時代はどんなことしてたの?」
「飲みサーで毎晩飲んでました」

「大学時代はどんなことしてたの?」
「推し活まっしぐらです」

「大学時代はどんなことしてたの?」
「家で漫画ばっかり読んでました」


「大学時代はどんなことしてたの?」
「毎日死にたいと思ってました」
より、どれもよっぽど素晴らしいと思います


仲間でも、娯楽でも、趣味でも、
孤独を豊かにするものに出会うことは
何にも変えがたく、尊いものです

大好きなものにはなかなか出会えないけれど、
それなりに好きなものにいくつか出会うことが
元気になる第1歩だと思います

わたしも、わたしのつたない文章も、
いつか誰かにとっての「それなり」になって、
誰かの孤独を癒せたらいいなと思っています

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