去年書いた詩とかSS10選
今年もよろしくお願いします。去年は文章ばかり書いてる年でしたが、それ以外には、インスタ始めてから詩を気軽にあげられるようになったので、去年は知らない方にも、詩を一番読んでいただけた年だったと思います。
年末に去年書いた詩とssをカウントしたら、きちんとまとめ直した分だけで98篇もあったんで、このなかから10篇選んだらどれになるかなぁ?というわけで選んでみました。
詩なの?SSなの?なんだこれ?っていうようなのも混ざってますが、詩を綴るというのは、心の底に転がる風景を拾い上げて、ひとつひとつ大切に、瓶に詰めていく問答なのだと思います。わたしの宝物はいつもとりとめがない。
ではどうぞ。
【2019/0604追記】
この記事からいらした方へ。下の方に載せてます。
番外
どこかの令嬢…いや皇女だろうか、みるからに俺たちとは身分の違う、美しく丸焦げになったような(永遠の)少女が、黒街《クーロガ》の路地で行き倒れていた。
ゴロツキどもは一瞬雷に打たれたみてぇになったあと、口を揃えてこう言った
「下にー」
「下に」
「図が高い…」
「図が高い…」
「ハハー!」
「ハイルお嬢…!」
うちの猫さま麗しい、と言いたいだけで書いたss。こういうのとか、ただの写真のキャプションになっちゃってるのは、今回順位さげてあります。
10位
緑が爆ぜる。
あんまり線香じゃない花火。
組織の形状とか、火花の散る姿とか、木の枝とか、全部なんか似てますよね。生きるための工夫でこういうカタチになるのかな?美しい。
9位
皆ボクを目指して歩くの好きだねぇ。マゾかねぇ。導《しるべ》なんて、気休めだ。ゴールは北じゃないからね。ゴールというより帰るだけだよ。
家に、夕飯の湯気の立つ"家"に。
ーーそう言って"北極星"のジジイは、地球から土産に持って行った"萩の月"を星の軌道に盛りつけ、つまみ食いしながら、俺に茶を入れてくれた。
北極星も皆に目指されて大変だと思って。
8位
おおロミオ、ロミオはどうして蔦なの。
おおジュリエット、ジュリエットはどうして給湯器で2人もいるの。
とても気に入っています。
7位
西の町の雨はいつ吹くんだい。
あの汽車には"銀のバザール"に繰り出す星々が乗ってる。
遠い汽笛。ボクはカエルの王子、空の金貨は雲の向こう。
ボクの池には水面にぷかり、腹の膨れない、歪な銅貨。
カエルは劣等感の詩によく出てきますね。
6位
旅人は林檎を齧り終えると、その辺の道端に埋め「ここが帰る家です」とニっと笑い、西行きの雲に飛び乗った。
わたしはそれからこの林檎に水をあげ続けている。
何年目かの春。林檎の樹、白い花が咲いた。
いつになったら帰ってくるんだろう。
花は頭にゆうるり、止まって、髪飾りになってしまった。
西に向かう話は、とてもよく書いていますが、書いてる時毎回(西は左じゃない…)って思い出すのに、道を歩いてるとすぐ忘れて左に向かう。西通りとかいう、紛らわしい名前を地名につけないでほしい。
5位,4位
連作です、2篇まとめてどうぞ。
北北東の風の中、通りすがった竜が哀れんで問う。
「願い事は?」仰ぐと全て遠かった。灰の中、半分埋まりながら泥を吐く。
「晩飯おごってくれりゃーいいよ」
そうかい頑張れよ。
と三つほど握り飯がチェックのランチマットに包まれてふってきた。
俺はパン派だよまったく。
刺さるみてぇな青の天蓋。西極《さいはて》へと急ぐ雲ども。俺はぽつり、地平の線上に立ち尽くす。気づけばどこかで見たような竜。面白そうに俺を見下ろしこう言った。
「願い事は?」
今回ばかりは考えた。なんだっけ。叶えて貰えるもんなら、もう…。結び目のない大地で独り、考えて、考えてーーー。
「んー」
「やっぱ飯奢ってくれるぐらいでいいや」
竜はヘンなヤツだな。と笑いながらはち切れそうなランチボックスを1つ振らせて、またな。と
雲が撫ぜるように、吹いて投げて、飛んでった。竜の奢りは、バスケットいっぱいの白パンだった。
願い事は、自分で。
3位
往来はあちこち灯ってみえるのに、ボクのマッチは、使い捨て。
醜いカエル印のマッチ。最後の一本雪に湿気て灯らず登った。
ボクのマッチは町のきっとどこかを灯してて、ボクはそれに気づかない。
わたしの陰の部分。
2位
(賞に応募するので、いったん下げました。)
2019/06.04追記
賞は逃しましたが、選考にひっかかったログの中に、わたしの詩人名が載っています。入選という扱いだそうです。うれしい。再掲しても大丈夫そうなので、また載せておきます。
***
孤独と一人は違うのに、一人は孤独と決めつけやがる。
くだらねぇ。仰げば全部誰かの天辻。
7丁目の雨が吹く先、どこかの街の室外機。
お前のため息は濾過されてんだ。
雲はちぎって喰ってやれ。
それは誰かの"人恋しい"だ。
小さな星に一斉にそよぐ
遠く近く、せせこましく瞬く、俺ら。
***
ひとつ空の下、繋がっている。
1位
みんなお腹いっぱい、寂しくない。笑ってられる世界がいいのにな。
道具たちも喋ってくれたらいいのにな。
魔法が使えたらいいのにな。
ヒーローが颯爽とピンチを助けてくれたらいいのにな。
ドラゴンに乗って、空を駆けるもう一人の"わたし"はいつもベランダで洗濯物の途中、空を見上げるわたしを、気流を操りながら、嬉しそうに見つける。
——ああ突風だ。耳をかすめ、通り抜ける。屋根と隣家、トタンの青。
こういう作品を、いつか描こうと決めた詩。
あ。こちらが絞る前の98篇です。
以上10選+猫でした。みんな、詩を書こうよ。
あ、最後までお読みくださった方へ。あけましておめでとうございます。今年もどうぞ、よろしくお願いいたします。
チロタ→秋田犬 ミカダさん→ボーダーコリー を資料として横に置いて描いたんですが、まぁ、頑張った……。