小林竜二【技術移転・Technology Transfer】

【活動分野】大学技術移転のあれこれについて記事にしております。 【免責事項】記事の内容…

小林竜二【技術移転・Technology Transfer】

【活動分野】大学技術移転のあれこれについて記事にしております。 【免責事項】記事の内容は所属組織とは一切関係のない個人的見解であり,所属する/した組織のいかなる営業秘密等を含みません.

マガジン

記事一覧

【産学連携と技術移転の話】インバウンド営業とアウトバウンド営業 -その2

はじめに 以前、下記記事にて技術移転における契約獲得のルートを営業一般の概念であるインバウンド営業・アウトバウンド営業に分けて考察してみました。  つい先日まさ…

技術移転機関の組織体制 -プロジェクト型組織はワークするか?-

はじめに 今回は技術移転機関の組織体制についての私見です。兼ねてから、もっと効果的に技術移転を成就させるための組織体制って無いものかなあ、と思案していました。技…

米国大学の技術シーズを探そう!

 今回は、AUTM Licensing Survey 2022に掲載されている各大学の技術移転機関のHPとその技術紹介ページ(Invention Disclosure)を一覧にしてみました。  各大学は、研究…

米国技術移転機関の給与を調査・分析

はじめに  今回は、2017 AUTM Salary Survey を参照しつつ、技術移転担当者の給与について考えてみようと思います。技術移転担当者には自身のキャリア形成のため、技術移…

【産学連携と技術移転の話】インバウンド営業とアウトバウンド営業

はじめに 前回の記事では、我々技術移転担当の「商材」となる発明を、発明自体の特性から日々の活動の方向付けを目的に分類してみました。  今回は、技術移転の契約に至…

【産学連携と技術移転の話】技術移転対象の発明を整理しよう

 技術移転現場では色々な発明を扱うことになり、良い表現かどうかはさておき、技術移転担当者にとっては発明が商材となります。研究者のおかげさまで日々商材が生まれてい…

【産学連携と技術移転の話】技術移転担当者としての個人売上目標を考える ~AUTM Licensing Surveyをベースに~

はじめに 今回は、米国の技術移転機関の最大の業界団体、AUTMが発行する「AUTM Licensing Survey 2022」を読み解きながら、これをベンチマークとして技術移転担当者(=ラ…

【産学連携と技術移転の話】共同発明の取り扱いに決着をつけたい

はじめに  企業と大学で共同研究の成果である共同発明の取り扱いを協議する場合、双方の立場の違いから主張が嚙み合わず、その条件決定は難航することが多いものです。こ…

【雑感読書感想】営業とマーケティング②

 今回は、「大西晋嗣(2017), 関西 TLO の目指す産学連携, 産学連携学Vol.13, No.2, 2017」を拝読しての感想文を書いてみます。自分事でもあるため過熱してしまい、各方に…

知的財産価格設定 -大学技術移転現場への適用-

はじめに 記事の内容は全て、下のPDFと同じ内容です。PDF版の方が読みやすいかもしれません。  また、本手法に基づいて、パラメータを記入していくだけで知財価格算定が…

【産学連携と技術移転の話】発明の質と営業

 今回は、技術移転目線での発明の分類とそれに基づく営業方針について思った切り口を雑文にて。  まず、技術移転の基本形とされる『研究者から発明が生まれる→それを営…

技術移転業界のキャリア -海外有力機関を調査 -

はじめに 本記事では、米英の主要TTO(技術移転機関)であるOxford University Innovation、Cambridge Enterprise、Stanford OTL、Harvard OTDの4つのTTOのメンバーの過…

【産学連携と技術移転の話】営業とマーケティング①

読書感想?と書籍紹介  ファミリービジネスのための産学連携のススメ,という本を読み,頂いた刺激と視点を元にした読書感想としての記事です.毎度のことながら,読書感…

技術移転担当者の推薦図書

 この記事ではURA/TLOへの推薦図書をまとめてみました。この分野に限らず、大学をクライアントにする案件や大学の先生を参与やアドバイザーとして迎え入れるような案件を…

【産学連携と技術移転の話】インバウンド営業とアウトバウンド営業 -その2

はじめに 以前、下記記事にて技術移転における契約獲得のルートを営業一般の概念であるインバウンド営業・アウトバウンド営業に分けて考察してみました。  つい先日まさにインバウンド・アウトバウンドという表現をタイトルに含む技術移転に関する論文を見つけまして、この記事はその感想文です。  読んでみてどういう内容だったかというと、これまで発行されてきた技術移転に係る戦略と障壁について述べている過去論文を分析し、各障壁に対してインバウンド戦略・アウトバウンド戦略はどうあるべきかというの

技術移転機関の組織体制 -プロジェクト型組織はワークするか?-

はじめに 今回は技術移転機関の組織体制についての私見です。兼ねてから、もっと効果的に技術移転を成就させるための組織体制って無いものかなあ、と思案していました。技術移転機関では、おおよそどこの機関においても担当者個人に比較的大きな裁量が与えられているようです。これは大変ありがたいことで、特に大学組織に並立している技術移転機関は、ともすると大学のお役所構造に取り込まれがちなため、割り切った組織運営はとても大事だと思っています(別にお役所構造が悪いとは言ってないですよ)。  さて一

米国大学の技術シーズを探そう!

 今回は、AUTM Licensing Survey 2022に掲載されている各大学の技術移転機関のHPとその技術紹介ページ(Invention Disclosure)を一覧にしてみました。  各大学は、研究成果の中で特に産業化を目指しているもの、産業化の可能性があるものについて技術移転機関(TTO)を介して産業界への広報活動用のページを設けています。  新規事業・新製品・新技術を探索する場合、これらリンクを調査すると、おおよそ米国にある産業化に資する技術シーズを網羅的に

米国技術移転機関の給与を調査・分析

はじめに  今回は、2017 AUTM Salary Survey を参照しつつ、技術移転担当者の給与について考えてみようと思います。技術移転担当者には自身のキャリア形成のため、技術移転機関の経営者にとっては人事設計の参考になれば幸いです。 ダイレクタークラスと現場クラスの平均給与を見てみると…?  まずはシンプルに、2017 AUTM Licencing Surveyから技術移転機関のダイレクター(TTO Director)とライセンスアソシエイト(TTO Licen

【産学連携と技術移転の話】インバウンド営業とアウトバウンド営業

はじめに 前回の記事では、我々技術移転担当の「商材」となる発明を、発明自体の特性から日々の活動の方向付けを目的に分類してみました。  今回は、技術移転の契約に至るルートを「インバウンド or アウトバウンド」というマーケティングの概念を通じてみてみようと思います。そのうえで、ルートの成果に影響するドライバー毎に施策に触れてみます。 技術移転に至るルートの整理 まずは下の表を見て頂きたい。技術移転契約の相手方は、製品・サービスを提供している企業になる訳ですが、この企業との連

【産学連携と技術移転の話】技術移転対象の発明を整理しよう

 技術移転現場では色々な発明を扱うことになり、良い表現かどうかはさておき、技術移転担当者にとっては発明が商材となります。研究者のおかげさまで日々商材が生まれている訳ですが、ストックされている商材をしっかり整理・把握せずにいるのは良くないし、場当たり的に目に入った発明だけを積極的に扱うというのはあまりにも雑でしょう。  ということで今回は、技術移転担当者が日々の活動を方向付けられるような分類を考えてみました。あくまで私が日々業務を行う上で使っている分類でしかないですが、なんとな

【産学連携と技術移転の話】技術移転担当者としての個人売上目標を考える ~AUTM Licensing Surveyをベースに~

はじめに 今回は、米国の技術移転機関の最大の業界団体、AUTMが発行する「AUTM Licensing Survey 2022」を読み解きながら、これをベンチマークとして技術移転担当者(=ライセンス・アソシエイト)の個人売上目標について触れてみました。個人的には、技術移転には①大学発技術の社会実装という公益的目的、②TTOとしての利益の追求という私益的目的の二つがあると考えており、今回は②のみに着目した一面的な記事であることをご容赦頂ければ幸いです。  まず、同サーベイのデ

【産学連携と技術移転の話】共同発明の取り扱いに決着をつけたい

はじめに  企業と大学で共同研究の成果である共同発明の取り扱いを協議する場合、双方の立場の違いから主張が嚙み合わず、その条件決定は難航することが多いものです。この点については既に様々検討や議論がなされて論文化されたりしていますが、実はこの問題、現場レベルで見ると本当に真剣に考えている人は稀だと思っています。実際、同業界の人々とこの話題についての議論を何度も試みましたが、「大学と企業は立場が違う。大学の立場を理解・尊重してもらうように頑張る」という思考停止な論しか出てきませんで

【雑感読書感想】営業とマーケティング②

 今回は、「大西晋嗣(2017), 関西 TLO の目指す産学連携, 産学連携学Vol.13, No.2, 2017」を拝読しての感想文を書いてみます。自分事でもあるため過熱してしまい、各方に失礼な箇所もあるかと思いますが、ご容赦下さい。また、初めに申し上げると私はTLO側の人間なので、そちらに偏った(むしろそちらに厳しいような?)ものになっています。  いつもながら、感想文といいながら、どんどんと本(論文)の内容から離れていくことがある点、ご容赦下さい。  上の点は、「結

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知的財産価格設定 -大学技術移転現場への適用-

はじめに 記事の内容は全て、下のPDFと同じ内容です。PDF版の方が読みやすいかもしれません。  また、本手法に基づいて、パラメータを記入していくだけで知財価格算定が完了するエクセルシートを作成しています(最下部、付録ご参照下さい)。ご興味の方には提供可能ですので、お問い合わせください。 序文 本レポートは、大学から生まれた知的財産権の売買やライセンスを行う大学技術移転業務に従事する者が適切な取引価格の設定を行えるよう、実践的な知財価格設定手法をまとめたものである。本レポー

【産学連携と技術移転の話】発明の質と営業

 今回は、技術移転目線での発明の分類とそれに基づく営業方針について思った切り口を雑文にて。  まず、技術移転の基本形とされる『研究者から発明が生まれる→それを営業しに行く』という業務フローを考えたときに、その発明を、発明が生まれた際の「事業化までの計画の明確さ」と「技術の注目度」の2軸で切ってみます。 ①導出計画が不明確 × 技術の注目度が高い発明  技術移転担当者冥利に尽きる発明。発明者としては明確にどこの企業といつまでに何を作る、といったところまで検討出来ていないが

技術移転業界のキャリア -海外有力機関を調査 -

はじめに 本記事では、米英の主要TTO(技術移転機関)であるOxford University Innovation、Cambridge Enterprise、Stanford OTL、Harvard OTDの4つのTTOのメンバーの過去キャリアを調査・分析し、Findingを得ようと試みた。後述の通り分析の精度の問題はあるものの、ある程度の示唆は得られたのではないかと思い、第一弾として記事にしたものである。同じテーマで深堀調査を行うと、さらなる気づきが得られる手ごたえも感じ

【産学連携と技術移転の話】営業とマーケティング①

読書感想?と書籍紹介  ファミリービジネスのための産学連携のススメ,という本を読み,頂いた刺激と視点を元にした読書感想としての記事です.毎度のことながら,読書感想といいつつ自分の言いたいことを書いているだけになっていて,感想内容と本の内容が乖離している点,ご容赦ください笑.  この本は,産学連携を成功(=企業の技術と大学の技術を融合したユニークな製品の開発と上市に成功)した経営者と,その経営者と大学の仲人として活躍したコーディネーターが活動について語っている本です.ファクト

技術移転担当者の推薦図書

 この記事ではURA/TLOへの推薦図書をまとめてみました。この分野に限らず、大学をクライアントにする案件や大学の先生を参与やアドバイザーとして迎え入れるような案件を担当している企業等の皆さんにとっても、いくつかについては有用なものではないかと思っています。   以下で,下記5分野についての推薦図書をご紹介します。 大学の経営について 技術戦略について PMOについて Valuationについて 知的財産について 大学の経営について  技術移転の仕事は、その成果