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銀河哲道の夜(5)

3日くらい前から取り沙汰され、SNS界隈で爆発的に話題になっているClubhouseというアプリ。

本日めでたく私も招待を受けてアプリを使えるようになった。少ししか使ってないが、一言で感想を言うと、

楽しい。

Clubhouseの使い方やレビューとかは他の多くのレビュワーに任せるとして、別観点でいつものように勝手に思ったことを話す。

Clubhouseは米国シリコンバレーで人気の音声チャットSNSで、音声版ツイッターなどと呼ばれている。

音声版ツイッターなんて面白そう!と思う人、音声版なんて流行んないっしょ、ツイキャスでよくね?と思う人など、いろんな感想を抱く人がいると思う。

わたしも、最初にClubhouseのことを友人から聞いた際、画像オフのZoomと何が違うねん、と思ってしまったわけで、アプリとしてはそこまで魅力的に映らなかった。

まぁそのあと詳しく話を聞くと、知らない人でも複数人で喋れる、会話を聞ける、といった点がウリのようで、そこは面白そうやん、と、心が揺らいだが、時間があったらインストールしてみるか、程度の感覚であった。

問題はこの後である。帰宅してアプリダウンロードしてアカウント作って早速使ってみるか!と思った矢先、見慣れぬ英文がわたしを襲った。

読んでみると、

「招待が必要だよ」

ということだった。

なんとこのアプリ招待制なのである。

しかも一人のユーザーから二人までしか誘えないというね。招待制なら最初からそう言えや友人。

さらにこのアプリ、調べると、起業家やインフルエンサーの間では既に大人気のようなのである。


めっちゃ欲しい。


一転してそう思ってしまったわたしは、まんまとClubhouseのマーケティング戦略に絡め取られてしまったのであった。

お気付きの通り、このアプリは、プロダクトのコンセプトもさることながら、その販売戦略が秀逸なのである。

招待制をマーケティングとして活用する際、それこには2つのパターンがある。

ひとつ目は招待する側にインセンティブを持たせるやり方。例えば「ア●ウェイ」の顧客獲得手法がそれで、招待する側に「報酬」というインセンティブ(意欲)を加えることで顧客を爆発的に増やすことができる(MLM、マルチ商法)

そしてもうひとつが、今回のClubhouseにも当てはまるやり方。招待される側にインセンティブを持たせる方法である。

ここで効いてくるのがインフルエンサーで、シリコンバレーや日本のイケてる人たちの間では「もう既に」流行ってるよ、という口コミがもの凄く刺さる。(アーリーアダプターやマジョリティー獲得段階へブーストするやり方で、とんでもない威力がある。)

なんでもそうだが、かっこいい人たちはもうやってる、と言う謳い文句は、(事実でなくても)昔から群衆を惹きつける絶大な効果があるのだ。(若者の間で「今、静かなブーム」みたいなね)

後日その友人に、招待してくれよー、と頼んだらもうないって言われた(嫌われてるんか)ので、別のグループで聞いてみたらようやく招待コードをもらうことができた。

今思えば、招待してくれる人を必死で探してしまった自分に気づいて、招待制おそるべしだったが、案の定、メルカリなどでは招待枠が売買されるほどの熱狂ぶりらしい(いずれ禁止になるだろうが)。

他方、不特定多数が参加して誰でも発言できるということは、それこそ2chの音声版になる可能性大で、悪用リスク・ユーザー品質維持とかも考えると、この招待制というのはまさに一石二鳥な方法だなと思った。

もはやSNSがインフラとなったこの時代に(多分コロナも合間って)、敢えて招待制とすることで、それまで有象無象だった他の音声チャットアプリを一気に切り離してその地位を確立することが想像される。

そんなClubhouseだが、現在(2021年1月30日)iOSだけにしか対応していないようだ。これもある意味で、「iPhone限定」という顧客全体のパイで見れば市場を狭めてしまうような状態を、ポジティブな「限定」にうまく変化させている点がすごい。

声「だけ」、招待された人「だけ」、iPhone「だけ」。

この「だけ」という限定性を、それこそ巧みな戦略でポジティブに転用しているClubhouseの流行は、「なんでもできる」のネット時代から、「これだけできる」が流行る時代への変遷を表してるなぁ、、、なんて勝手に思ったのであった。

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