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零細起業の経営実務(51)知財・法務セミナー報告

起業を志す研究者さんに、リーゾの経験をお伝えしているシリー
ズ。今回は、中小・零細のための知財・法務です。学びたてホヤ
ホヤの内容を、リーゾ独自の視点でまとめてご報告します。

先日、「Open Innovation創出のための法務・知財戦略セミナー」
に参加してきました。主催者は、関東財務局。講師は、内田・鮫
島法律事務所の弁護士さん2名。定員は20名で、参加無料。場
所は、つくば駅近くにオープンしたビジネス支援施設兼カフェの
「つくばスタートアップパーク」です。

ちなみに内田・鮫島法律事務所の鮫島氏は、ドラマ「下町ロケッ
ト」で恵俊彰さんが演じた敏腕弁護士のモデルになった方。知財
の力で中小零細を救う神様みたいな方です(ご本人の登壇はもち
ろんありませんが)。

セミナー内容は
(1)企業法務の基礎
(2)知財法務の基礎
ということで、まずは企業法務、特に契約のかわし方について、
中小・零細が気をつけなくてはいけないことを学びます。

中小・零細が大企業から開発を委託されたり、あるいは大企業と
共同開発をする場合、大企業が提示する契約書は、一言で言えば
高飛車なものになりがちで、そのままだと不利になることがあり
ます。

たとえば成果の権利が「すべて乙(大企業)に」となっていたら、
用途、分野、機能の種類などに切り分けて、「これ以外は甲に」
とするとか。

また、「実施や他者への許諾(ライセンシング)には乙の許諾を
要する」となっていたら実質使えないので、使えるように文言を
変える(甲は・・・でき、乙はそれを承諾するものとする)とか。

要するに『大企業は意地悪だ』と考えて契約書をよく読め、そし
て賢く戦え、ということだなとざっくり理解しました。

知財法務については、まず特許を取ることには、参入障壁を作る
だけでなく、他社とのアライアンスが組みやすくなったり、ファ
イナンス(資金調達)がスムーズになったり、という効果があり
ます。

強い特許(基本特許)を押さえるのが基本中の基本。でもそれを
し損なっても、応用特許をたくさん出すことで、他者が参入でき
る余地を限りなく狭くするという戦略が取れます。

・・・と、言いつつですが、なんでもかんでも出せばいいかとい
うとそうでもなく、あえて特許出願しないことが正解となる場合
もあります。

出願すべきか否かの判断基準としては、
・他社が出しちゃう可能性はあるか
・出さない場合に秘密を守りやすいか
・賞味期限が長いか短いか
・ライセンスビジネスをしたいかどうか

などがありますが、比較的重要なのは

・『検出可能性』があるかどうか

です。これは、特許権を取得したとして、他社が特許侵害した際
にそれを見つけて立証することができるかどうか?ということ。
一般に「物」の特許は検出可能性が高く、「製造方法」は低いと
されています。低いものは、ノウハウとして秘匿するべきです。

というような講義を聞いたあとで、同じテーブルの人たちと組ん
でワークショップで実践編をやりました。企業法務については、
あるシチュエーションで大企業の提示する契約条項を読み、自社
に有利なように変更するという課題。知財については、ある発明
について、特許を出すべきかどうかを考えるという課題。

中小・零細の経営者さんの中には、弱いふりをしながら相手の裏
をかくような作戦を考える方もいらっしゃり、とても新鮮で勉強
になりました。

最後の交流会で参加者を見渡すと、国、県、市の関係者や支援機
関の人が半分くらいを占めていた感じで、本来学びに来るべき中
小・ベンチャーの経営者は少なめな印象でした。

ところで、Open Innovationの意味がわかっていなかったのです
が、日本語で言えば「外部連携」で、他の企業とのコラボで新し
い取り組みをすること、らしいです(わざわざ英語で言わなくて
もいいのに!)。

このセミナーは、これから新潟、東京、浜松でも開催されるよう
ですよ。詳しくはリンク先をご覧ください。

2020年1月8日配信のすいすい通信より
https://rizo.co.jp/suisui106.html

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