零細起業の経営実務(44)フロントエンドとバックエンド
起業を志す研究者さんへ、リーゾの経験をお伝えしているシリーズ、今回は零細ビジネスにこそ必要なフロントエンド商品づくりについてお話しします。
フロントエンド商品(以下FE)とは、ひとことで言えば、「集客商品」。それに対して、本命の商品をバックエンド商品(以下BE)といいます。
大手や有名ブランドの商品であればいざ知らず、無名の零細や個人が販売している、しかも高額な商品、広告を目にしただけで注文する人はまれ。
なぜ注文しないかといえば、「よく知らない」「信用できない」から。
なので、まずは知ってもらおう!信頼関係を築こう!というのが、FE商品の役割というわけです。
FEで見込顧客を集め、商品の内容をよく知ってもらってからBEを販売する、という方法は、「ツーステップマーケティング」とも呼ばれており、特にネット通販の世界ではかなりポピュラーな方法らしいです。
でもよく考えてみると、このやり方は、身近なビジネスで、あたりまえに使われていたりするんですよね。
例えば・・・(業種 FE → BE)
居酒屋なら、サービスランチ → 夜の飲み会。
学習塾なら、無料体験 → 有料講習。
化粧品や食品なら、お試しセット → 通常商品&定期購入。
長いマンガなら、1巻目無料試し読み → 続きを購入。
ゲームアプリなら、遊ぶだけなら無料 → ガチャ課金。
などなど。
あ、商売人の策略にはまってた・・・と苦笑いする方も多いかもしれません。私自身、上から3つは経験あります。いかに効果のある手法かがわかるというものです。
また、一見BEのように見えてFEというものもあり、その一例が、ファミリー層向けの自動車。この場合のBEはなんだかわかりますか?(答えは記事の最後に)
ここでリーゾの場合をお話ししますと、知名度ゼロで宣伝費もかけられず、もちろんFEなんて知らずにやってきました。なので、もしかしてこれがFEかな?というものになりますが、
例えば・・・
・すいすいシリーズの、無料の試供品(BEは試薬の購入)
・難しい材料からの核酸抽出方法を無料で検討すること(同上)
・美食同玄米の試食出しや、50g入りのお試しスティック
・実験補助セミナー(BEは通信・通学講座)
・メダカすくいイベント(BEはミニアクアリウム)
などが該当するかもしれません。
商品ではないですが、お客様との信頼関係づくりという意味で、「すいすい通信」自体も、FEと考えることもできるかもしれません。
一般的に、FEを作るメリットとしては、
・見込顧客との接点を作りやすい
・見込顧客のリストは継続的にアプローチできる資産になる
・販促費用と割り切ることでコスト的に強気の広告が打てる
などが挙げられています。
もちろんこの3つもうなづけるのですが、リーゾ的には、
・商品の機能をを納得した上で商品を購入いただける
・誰が売っているかを知った上でご購入いただける
(その結果、クレームになりにくい)
というのがいちばん重要かなと思います。
一方、デメリットとしては、
・本命商品の顧客がFEに流れる
ことに、注意が必要だそうです。
関係ないかもですが、駅前でもらった美容室のチラシに「初めての方に限り〇〇円!(←安い)」とあるのを見て、「この店にはリピーターがつかなさそう」と感じたのを思い出しました。新規開拓もいいですが、既存顧客こそ会社の宝であることを忘れてはいけないですよね。
以下蛇足ですが・・・
メルマガで取り上げる前に復習を、と「フロントエンド」でネット検索したら、システムエンジニア用語ばかり出てきました。ググる際には、「フロントエンド商品」というワードにすると、マーケティング関係の話がヒットします。
※ファミリー層むけ自動車のBEは「マイカーローン」。大概、自動車会社(の関連会社)が融資もしてくれますよね。その金利が大きな収入になるそうです(ちなみに高級車は現金一括払が多いのでFEにはならないとか)。
(2019年4月3日配信の「すいすい通信」より)