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零細起業の経営実務(3)起業直後のto doリスト


起業したい、するかもしれない研究者さんのために、リーゾの経験談をお伝えしています。
前回は、会社の設立について書きましたが、今回は、設立登記「直後」にしなくてはいけないことあれこれをまとめます。

会社を設立したら、『このたび会社を作りました。これから事業を始めますのでよろしく』という感じの届出を、いろいろな役所にしなくてはなりません。

(1)税務署
まずは国の税金関係です。つくばの場合は、土浦税務署になります。
提出物は、重要な順に4つあります。
・法人設立届出書(登記簿謄本、定款の写し、設立時の貸借対照表、株主名簿、を添付)
・青色申告の承認申請書
・給与支払い事務所の開設届出書
・源泉所得税の納期の特例承認に関する申請書

最初の1つ以外は任意ですが、下記の理由で提出をお勧めします。

2番目の、「青色申告・・・」を出しておくと、赤字分を7年間繰り越せる、つまり黒字になっても当分税金がかからずにすむ制度を使えるので、設立直後に赤字決算必至の零細企業には必須です(各種帳簿を揃えることが条件になりますが、前号で紹介した会計ソフトを使えば難なくクリアできます)。
  
3つ目の、「給与支払い事業所・・・」は、誰も雇わないにしても、社長である自分が給料をもらうために必要です。私も、「リーゾさん」からお給料をもらう身です。
蛇足ですが、会社を自分とは別の人格(「法『人格』」とはよく言ったもの)と考える習慣をつけておくと、お金がらみの公私混同を避けられます。

4つ目の、「源泉所得税の・・・」は、原則毎月納める源泉所得税を、年2回にまとめて納められるようになるための書類です。マンパワーが足りない零細にはこれもありがたい制度なので利用をお勧めします。
  
他にも任意の届出が2つほどありますが、ほぼ関係ない(リーゾは出してない)ので省略します。
  
(2)都道府県税事務所
法人住民税のうち、「法人県民税」を徴収するのがここ。つくばの場合は、土浦の合同庁舎の裏にあります。
ここでも、専用の書式にて『法人設立届出書』と、登記簿謄本、定款の写しを提出します。
 
(3)市役所
同じく「法人市民税」を徴収するのがここ。
ここでも、専用の書式で、『法人設立届出書』と、登記簿謄本、定款の写しを提出します。

ちなみに、法人住民税は、事業税と違って、赤字なら払わなくていいということはありません。資本金の額で一律に決まる「均等割」(茨城の場合、県民税と市民税を合わせて7万2千円)を、毎年納めます。ビジネスの世界に参加するための年会費と考えればよいと思います。

(4)日本年金機構(旧・社会保険事務所)
法人の場合、社員がひとりだけでも、社会保険の加入が義務付けられて、設立したら5日以内に加入の手続をしなくてはならないことになっています。
(注:「なっています」というのは、実際には加入していない法人もいっぱいあるためです。加入しないと不利益があるのかどうかはよくわからないので、自己責任で判断してください。ちなみにリーゾは加入しています)
「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」を提出します(郵送で可)。

詳細は下記ウェブサイトにあります。
http://www.nenkin.go.jp/n/www/sinsei/index2.html

(5)労働基準監督署とハローワーク
労働基準監督署は「労災」保険を、ハローワークは「雇用」保険を扱います。
社長ひとりでやっていく場合には不要ですが、人を雇用したら10日以内に届出が必要です。リーゾは2人体制になった開業の時点で加入しました。

まず、労働基準監督署に、「保険関係成立届」「概算保険料申告書」及び「納付書」を提出します(必ずこちらが先)。
次にハローワークで雇用保険の手続をしますが、不正受給を防ぐためということで提出書類が何やかやと多いので、事前に調べて準備してから出かけてください。

詳細は下記ウェブサイトにあります。
<労災保険関係>
http://www.rousai-ric.or.jp/tabid/104/Default.aspx
<雇用保険関係>
http://www.yamashita-sr.com/roudouhoken-sinki-koyou.htm
(某社労士事務所さんのサイトですが、厚労省のよりわかりやすいです)

蛇足ですが、ハローワークの経営者向けの窓口から、ガラス越しに失業給付手続の列に並ぶ人たちを見て、「数ヶ月前はあっちにいたのになあ」、と複雑な思いがしたのを覚えています。

役所関係は以上ですが、忘れてはいけないのが
(6)銀行
で、会社の口座を開設する手続をしなくてはなりません。ここでも、登記簿謄本(なぜかコピーではダメ)が必要です。2行、3行と開設すると、それぞれ登記簿謄本が要ります。前号で、10部くらい取っておきましょう、と書いたのはこのためです。
会社の口座を作ったら、設立時に資本金を入れた個人名義の口座から、会社名義の口座に移すのも忘れずに。

いろいろな役所に届出を出して回っていると、自分の会社が社会の中に居場所をもらったという実感がわいてきて、うれしくなるものです。

きちんと手続や届出をしておくことで、補助金を受けやすくなるなど法律が会社の成長をサポートしてくれることも多く、数年経ってからありがたみを感じたりします。お金がかかるものなので気が重くなりがちですが、これも参加費のようなものと割り切って、手続することをお勧めします。

ここまでは、いわば誰にでもできる作業とはいえ、起業における大切な一歩。
ここまでやったら、いよいよ「ビジネス」の世界に踏み出しましょう!

(2015年3月4日配信のすいすい通信より)

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