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零細起業の経営実務(36)「試食」の販促効果
起業を志す研究者さんに、リーゾの経験をお伝えしているシリー
ズ。農学研究なら出口が食品になることも多いはず。今回は、試
食が販促にどのように有効なのか、を考えます。
念願の「美食同玄米」を商品化したものの、試薬と同じように、
ウェブサイトに出しても、アマゾンに出してもぜんぜん売れず、
落ちこんだ時期がありました。
なぜ売れないんだろう?と考えた結果、そもそもリーゾのサイト
を見るのはお仕事モードの研究者さんで、食品を買いに来たお客
様ではないことに気づきました。
そこで、こだわりの食品を探すモードのお客様の目に留まるよう、
イオンモールつくばの農産物直売所「えるふ農国」に置いていた
だくことにしたのですが、社長に「そんなもん売れねえよ」と言
われてしまいます。
見た目は変わったお米だけど、食べていただければ良さがわかる
はず。だったらとにかく食べてもらおうと、一念発起。お百度参
りのつもりで、毎週土日×1年間、小さな玄米おにぎりをたくさ
ん作って試食提供すると決め、やり通しました。
もちろんいきなり売れるようにはなりませんでしたが、1年経つ
頃にはリピーターのお客様もつき、完売して次作分の予約が入る
までになり、今に至っています。
ここまでのお話は、すでに知っている方も多いと思います。
最近の試食提供では、ふつうの美食同玄米おにぎり、しょうゆ味
の美食同玄米焼きおにぎり、そして美食同玄米甘酒と、「複数種
類食べてもらう」という新たな試みを行っています。
3種類出すと、たいていのお客様は3つとも召し上がりますから、
試食人数は1種類のときとほとんど変わりません。
でも、販促効果は、1種類のときより明らかに大きいと感じてい
ます。
それはなぜなんでしょうか?
まず、複数種類を試食すると、商品への接触時間が長くなること
は確かです。もぐもぐしながら、POPやリーフレットを読んだり、
販売員の説明を聞いたりして商品知識が深まり、親しみがわく、
という効果が期待できます。
もうひとつは、たくさん食べたことで、「ひとつくらい買わない
と悪いかな」という気持ちになることが考えられます(これを、
「報恩の心理」と言うそうです)。つまり、試食前の選択肢は
「買う/買わない」だったのにいつのまにか「どれを買うか」に
切り替わるということです。
自分がお客さんだとしたら、買うか買わないかと考えるより、買
うならどれがいいかしらと考える方が、絶対に楽しいですし、販
売員さんとの会話も弾み、いいお買い物ができますよね。
これで思いあたるのは、ある物販イベントで隣になったお菓子や
さんで、通りかかるお客様を呼び止めては、いろいろなフレーバ
ーのシフォンケーキを、「こっちの味も食べてみて!」とどんど
ん試食させちゃうんです。
試食だけで満足されちゃうのでは・・・と心配になりましたが、
試食されたお客様は、かなりの割合で、「これとこれ。あ、これ
もお願い」という感じで、複数個をお買い求めになってました。
通りかかる前は、たぶん、買うつもりはなかったはずなのに、す
ごい!です。意識してやってらっしゃるのかどうかはわかりませ
んが、試食中にお客様の選択モードが切り替わるのを実感しまし
た。
試食ひとつでも、学ぶところは多々あり、商売の道は奥が深い。
修業はまだまだ続きそうです!
ちなみに、しょうゆ味の焼きおにぎりは、スキレット&魚焼きグ
リルを使うと、ひっくり返し要らずで簡単に作れます。冷めると
濡れせんべいチックな歯ごたえと味で、おやつにも酒のつまみに
も好適。あとひく味です。
甘酒は、商品ではないですが、わけありの美食同玄米と麹で作る
レシピを提案して販売しており、大好評!です。
(2018年4月4日配信のすいすい通信より)
「すいすい通信」
https://rizo.co.jp/merumaga.html