誰も教えてくれなかった女性の働き方【ビジネス・ゲームの基本】編
『ビジネス・ゲーム 誰も教えてくれなかった女性の働き方』を要約します!
外資系と言えば、「男性も女性もバリバリ働いている」ってイメージがある方も多いと思うのですが、私の前の会社では、部長以上の女性社員がほとんどいませんでした。それが男尊女卑だという先輩もいれば、そもそも女性社員が少ないなど、色んな説がありましたが、そんなことを話していた飲み会で、女性社員の先輩がおススメしてくれた本。
1977年にアメリカで出版され、100万部を超えたベストセラー『Games Mother Never Taught You』(母が教えてくれなかったゲーム)を、日本の状況を補足しながら改訂されています。もう40年以上経っていますが、本質的には納得する部分が多く、面白かったです。
こんな方に読んでほしい!
・男性が多い会社でやりずらさを感じている女性社員
・これから就職する女性
・キャリアップを目指している女性
では、早速いきましょう。
ビジネス・ゲームの遊び方を学べ
周りに、十分な能力や意欲を持ちながらも、それにふさわしい仕事内容や地位、収入をもらっていない女性はいませんか?それは一体なぜでしょう?
一昔前まで、会社という組織には、男性しかいませんでした。そして、彼らは独自のルールを持って生きていました。1964年に、アメリカでは公民憲法第7編が制定され、女性をはじめとするマイノリティ差別を禁じるようになりましたが、法律がいくらできたところで「男性社会だった会社という組織の本質」は変わりません。
そこで筆者は「ビジネスはゲーム」と定義し、「ビジネスはゲームである。つまり、ゲームのルールや遊び方を熟知している人ほど得をする。しかし、そもそもこのゲームは、圧倒的に男性に有利にできている。だから女性たちよ、このビジネス・ゲームのルールを知り、どう戦っていくかを教えてあげよう」と言っています。
なぜ男性の方が有利かというと、「メンタリティの違い」で、男性は幼いころから野球やサッカーなどのスポーツに参加することで、組織の中の対人関係の基本を知らず知らずのうちに身をつけ、努力しても実らないことがあっても動揺せず、対人関係のトラブルも対処できるようになっていく。
一方で、女性は幼いころから「競争する」文化に接することないため、ビジネス・ゲームをどのようにプレイしたらよいか分からないまま、ゲームに参加することだけを認められた。だから、自分の予想に反した状況が起こった時に、すっかり気が動転し、途方にくれてしまうことが多い。
つまり、男女平等と謳いつつも男性に有利にできている環境をビジネス・ゲームと呼び、そのゲームのルールを戦略的に学ぶことで、有能なプレイヤーになれということです。
会社は軍隊。ヒエラルキーを理解する
会社と軍隊は似通った性質を持っている。これを聞いて驚く人もいるかもしれないが、共通点としてあげれる3つは、「①目的が明確、②大きな組織がいくつものセクションに分割されており、それぞれに管理する人間が配置されている、③組織の中ではチーム・スピリットが要求され、自分の上司に逆らうことができない。」と聞くと、納得できるだろう。
軍隊の組織ピラミッドでは将軍を頂点に、中将、小将、大佐、中佐、と続き、縦社会が明確に分かれています。そして、入隊したばかりの新米二等兵は、上司を敬い、従順に振舞うのは相手の性格や業績、能力などではなく、単に「階級」によるものであることを学ぶそうです。
さらに、この上下関係(縦のつながり)を、軍隊では「命令の鎖」と呼びます。軍隊においては上官の命令や権威に逆らうことは罰則の対象となり、上官への絶対服従はマストです。
つまりこれを会社に言い換えると、あなたの上司がとんでもないイやな奴であっても、そいつが上司である限り、あなたは尊敬し、服従しなくてはいけないということ。この抽象的かつ非人格的なヒエラルキーの構造で、生きていく覚悟をしなくてはいけません。
さらに、ビジネス社会における「命令の鎖」について、男性は本能的に身に着けていますが、女性は意識して修得しなくてはいけないけません。
会社での「命令の鎖」の秩序を無視することは、ある役職の権威や重要性を否定することになります。直属の上司との人間関係を良くして、効率を求めるよりも、秩序を優先した方がより良い結果を生むことが多いといえるのです。
自分の階級を理解し、仕事を全うする
軍隊では、自分に与えられた機能や仕事を全うすることが、最重要任務です。受けた指令のために自ら自殺行為をするような戦争映画とかありますよね?それと似ていて、会社でのあなたが大切にすべきことは、自分に与えられた仕事を効率よくやること、なんです。
女性が陥りやすい誤解のひとつに、自分の責任の範囲外を超えて仕事をしてしまい、実は会社の「食い物」にされてしまうことがあります。女性は善意や助け合いの精神から、余分に仕事を引き受けてしまいがちなので、注意しましょう。自分に属する階級の仕事をきちんとこなしてこそ評価されます。
ピラミッドの中で生きていくためには、あなたの属する階級が持っている権利をしっかり守り、不当に口出ししてくる人間をシャットアウトしなくてはいけません。
また、会社では「チームで目的を達成すること(=勝つこと)」が求められます。これも女性には不慣れです。なぜかと言うと、いわゆる女の子の遊びである、おままごとや○○ごっこ、縄跳びの類は、仲間同士で競い合ったり、かけひきをしたりという機会を持てないからなんですが、ここで落ち込んではいけません!「勝つこと」を意識する際に最も大事なのは「負けても必要以上にがっかりしない」ということなので、あなたが仕事で失敗をしてもマイナスにとらえず、次のチャレンジで改善すれば良い、と割り切って仕事をこなしていくことが大切です。男性は「過程」を気にしないので、あなたが仕事を頑張っても結果が伴わなかった場合は、批判を受けてしまうかもしれません。でもそこでも負けず、批判、困難、失望などにどう対応するかを学び、セルフ・コントロールができるようになれば、会社で力を発揮しやすくなります。
さて、ここまでで、ヒエラルキーの隠れた本質「命令の鎖」を知り、チームの中で自分に与えられた責務を全うしてこそ、スタートラインに立てることが理解できました。では、これからどのやって階級の上に昇っていくかをお話していきます。
賢いプレイヤーになるため鉄則
仕事を始めたばかりの女性が、職場で様々なカルチャーショックを受けたり、妨害にあったりすることは珍しくありません。賢いプレイヤーになるために、「周りの男性(あたなより年上と同年代の両方)がどのように行動しているかをしっかりと観察することが重要」と筆者は言っています。
ただ、オフィスの環境はそれぞれに異なるので、基本的な6つ教えてくれていて、「①自分の仕事を理解し、必要な知識や技術を身に着ける、②どんなことがあっても、オフィスで感情的な行動は取らない、③会議などの公式な場では上司に逆らわない。その代わり、別のアイデアを出したり、インフォーマルな雰囲気で他の選択肢を持ち掛けてみる、④あなた以外の人が称賛されても怒らない、⑤全ての仕事を自分でやろうとしたり、会社の誰からも好かれたいなどとは思わない。あなたの仕事の結果が誰のためのものであるかをはっきり理解する、⑥ミスを犯したら、がっかりしないで、それから学ぶ態度を持つ。」を努力していきましょうとのこと。
女性のための頭脳プレイ
男性社会の会社では、異性である女性はどうしても外国人扱いされてしまいます。また、ビジネスの世界では男性は女性に対して決して好意を持っていおらず、男性だけで回っていた組織に女性が入ることは不愉快であり、歓迎されません。女性は、それを考慮して対応しなくてはいけません。
具体的な例として挙げられているのが、
・会社の誰かと初めて会う際は、有力な男性社員に紹介してもらうこと
・お昼ご飯に誘われなかったり、パーティーに呼ばれなかったりなどの意地悪を受けても、ひたすら友好的に振舞い、どの人に対しても暖かく接すること
・誰かがあなたに仕事上必要な情報を与えない場合は、上司のいる前で明らかにすること
・「命令の鎖」を理解し、上司も含め組織上大事な人とは個別に知り合いになれるように努めること
このような地道なことをこなしていくと、プロフェッショナルな人間関係を築いていくことができます。しかし、甘く見られないようにガードは常に高くしておくことが必要です。
また、敢えて女性を使うのも手だと筆者は言っています。男性は、女性を「母親」「姉妹」「妻」「娘」「娼婦」「ガールフレンド」のどれかに当てはめる傾向があるそうです。そこで、年配の男性が上司ながら「妹」を演じることで「父親」の心を芽生えさせたり、若い男性の部下には「母親」を演じたりなど、相手の頭の中にあるステレオ・タイプを利用して、自分に有利な形に人間関係を持っていく、心理戦もできます。
まとめ
・子供時代の過ごし方から、会社は男性に有利な環境になっている。
・会社は軍隊と同じで、縦社会が本質。命令の鎖の秩序を守れ。
・自分の上司との人間関係が将来を大きく左右する。
・自分の与えられた仕事を全うするために努力し、結果を出す。必要以上の責任をしょいこまない。
・男性の考え方を理解したうえで、女性として演じることもゲームのうち。
個人的感想と補足
会社では「結果」が全てであり、ビジネスに「勝つ」ということは男性女性関係なく、ビジネスマンとして当たり前なのでは?と思いましたが、男性が多い会社で生きていく以上、会社のカルチャー的に、男性にしか分からない言葉や心理が浸透していくのは仕方ないよな~と感じてしまいました。(女性が多い会社は反対のことが起こる)
ただ、「能力があれば認めてもらえる」と思っていても、「男女の考え方の違い」を理解しておかないと、「マイノリティ側が不利な状況になる」ということを考えさせられる本でした。
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