ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん。
どのサブスクでもエウレカセブンが見れないこの時期に、私はポケットが虹でいっぱいの感想を書きたいのです。
俺が一番好きなアニメ、エウレカセブン
この世で一番面白いアニメ、エウレカセブン
最もヒロインがかわいいアニメ、エウレカセブン
俺はエウレカセブンが大好きなんだけど、シリーズの中で唯一見てなかった作品があります。
それがエウレカセブンの劇場版一作目、『ポケットが虹でいっぱい』。
なぜ見てなかったかというと、レビューで結構酷評されていたからです。酷評まで行かない感想にも歯切れの悪いコメントが散見され、絶賛している人はごくわずかでした。"なんか面白くないらしいし、エウレカが変な感じになってたりしたら嫌だし見るの怖い"と思って避けていました。
でもずっと見なきゃ見なきゃと思ってはいました。あとアフターサンとかも見なきゃ見なきゃと思ってます。ドライブマイカーも見なきゃ見なきゃ。
見ました。
最高。
というか、ハイエボリューションでやってたこともうここでやってたんだという感想です。レビューではよく意味がわからないと書かれていました。たしかにハイエボリューションを見る前だったら意味がわからなかったかもしれない。けど見たからわかる。説明します。
以下、完全ネタバレの解説です。
まず物語は幼いレントンとエウレカがドミニクを先生と呼び、ワルサワという街で暮らしているところからはじまる。もうテレビシリーズと違いすぎる。エウレカといえば並行世界という認識だから受け入れられるけど、テレビシリーズから直でこれだと混乱するのはわかる。
で、エウレカとレントンはなんだかんだ離れ離れになって、14歳になったレントンがなんだかんだニルヴァーシュに乗って救出。いつもの空中キャッチ。
エウレカはイマージュ(テレビシリーズにおけるコーラリアンとほぼ同位置)が送り込んだスパイロボットで軍の最重要機密であり神話再生計画=エウレカセブンの鍵。
ちなみにレントンもエウレカセブンの鍵。
ハイエボリューションにおけるエウレカセブンはレントンを失ったエウレカがシルバーボックスを使って生きているレントンを取り戻そうとして作った世界の残骸でした。二つはかなり共通した意味を持っていてほぼ同じなので後で説明します。
面白いのはポケ虹ではテレビシリーズのラスボス的キャラのデューイがもう死んでいて、ロリコンで性犯罪者(容疑)でした。(容疑)って書いたのは後にネバーランドというワードが出てくるため、当然意識しているであろうマイケルジャクソンへの配慮であって、デューイのではないです。
デューイは戦災孤児を拾って面倒を見ていたのですが、その戦災孤児たちがなんとレントンを除く月光号のメンバー。
月光号メンバーは異次元世界への干渉を目的とした実験に巻き込まれ、別世界に一度飛ばされ、戻ってくると常人の3倍のスピードで体が歳をとってしまう体質になってしまっていた。その別世界のことを彼らはネバーランドと呼んでいました。彼らはネバーランドを時が止まった世界だと考えていて、もう一度ネバーランドに行くために軍に逆らい、人を殺し、エウレカとレントンを利用する。
月光号メンバーはテレビシリーズでは考えられないくらい最悪な行動もするし、より幼稚で、いい奴の代表ハップが一番きもくて悪いという、テレビシリーズファンからしたらアレルギー出ちゃうのはこの部分が一番だと思います。
一応月光号のメンバーは体質のため大人の見た目をしているけど実際に生きた年は17年なので、幼稚な行動はある程度仕方ないと思えるけど、それにしてもきもかった。
ただ俺はレントンとエウレカとアネモネとドミニクしか好きじゃないから大丈夫でした。
ネバーランドの月にはエウレカとレントンの名前をハートで囲った刻印があり、テレビシリーズの世界線だということがわかります。
つまり見た目が大人で中身が子どもの月光号メンバーが神話再生計画=エウレカセブンを実行しようとしている。
ここまで説明したら、京田知己のことも説明させてください。エウレカセブンシリーズ多分全てで監督を務める人物です。
京田らによって制作されたこのエウレカセブンはそもそもエヴァンゲリオンをかなり強く意識して作られた作品だと思います。エヴァがキリスト教であるのに対してエウレカセブンは仏教だったり、ロボットが意志を持つ一個の生命体であったり。他にも多分色々あります。
エヴァンゲリオンのメッセージは、アニメばっか見てないで現実見ろ。だとさせてください。エヴァの説明はしません。長いから。
聴いてないけど、これ聴いたらわかるんじゃないでしょうか。
対して、この『ポケットが虹でいっぱい』と、ハイエボリューションシリーズのメッセージは、「アニメ見てばっかじゃなくてアニメ作れ」です。
ポケ虹本編、結局レントンエウレカは未来のある今の世界を選択し、時が止まった世界を目指す月光号メンバーとは対立します。
「甘えん坊なのね。どうして自分たちで神話を作ろうとしなかったの。あの子達みたいに。」
アネモネがホランド達に向かって言ったセリフです。ハイエボリューションを見て、京田監督のフィクション論がこの作品には込められていることを知っていれば、なかなか直接的なセリフです。
テレビシリーズ至上主義者、置き換えればあらゆるものの原理主義者たち、またはその素質を少しでも持っている我々に向けられたメッセージ。
つまり、ポケットが虹でいっぱいにおけるエウレカセブン、ハイエボリューションにおけるエウレカセブン=エウレカセブンのテレビシリーズ。
この作品を見て「テレビシリーズが好きだったから変わってて嫌だった」って感想が生まれるのは"人の神話に期待してないで自分の神話を作れ"っていう作中のメッセージのことを考えると皮肉に感じる。まあそのメッセージ自体響かない人にとっては当たり前の感想ではあるのかもしれない。また、「夢を見るには記憶が必要」というこれまたアネモネの言葉があって、現実をしっかり生きないと神話は作れないということも言っている。"現実も大事、夢も大事、でもお前の夢も見せてくれ"俺はそう受け取りました。
フィクション論なんてどうでもいいからエウレカとレントンのボーイミーツガールが見れたらそれでいいという方、ポケ虹見た方がいいです。
ハイエボリューションでは厄介なオタク役をデューイがやっていて面白いよ。
ねだるな