他人の曲で女を口説いてんじゃねえ
【他人の曲で女を口説いてんじゃねぇ!】
し、シビれるねぇ。。。
この閉塞感満載の現代にピッタリじゃないか…
80sポップに彩られた映画
『Sing Street』に名曲と名言が溢れている。
舞台は80年代、不況に喘ぐアイルランド。
父親は解雇、母親はパート先で不倫中。
転校先は悪いヤツらが蔓延る、
教師もクズな底辺高校。
八方塞がりな主人公コナーは、大人びた女の子ラフィネに惹かれる。
彼女になんとか興味をもって欲しい彼は、自分のバンドのミュージックビデオに出演しないかと誘ってしまう。
バンドなんかやってもいないのに。
さあ大変!
急いでメンバーを探し、やっと一曲コピーしたが、カセットで兄に聴かせた反応が前述の台詞だ。
『他人の曲で女を口説いてんじゃねえ!』
兄は、弟の音楽、また人生のメンター的役割で、ことごとく名言を吐くのだ。
『上手くやろうとなんかするな!』
『結婚式とかでカバーバンドをやるオヤジがいるが、奴らは《音楽》をやってない!』
そして毎回、膨大なレコード棚から
『今のお前に必要な一枚だ、聴け』と、
とっておきのレコードを渡す。
それがキュアーとか、いちいちカッコいい。
『覚悟を決めろ!アクセルを思い切り踏め!
それがロックだ!』
時は、音楽と映像が融合するMTVの創成期。
デュラン・デュラン、ホール&オーツ、a-ha、The JAM。
ちりばめられた80sPopsが全くカビ臭くなく、洗練されたカッコ良さに心を撃ち抜かれる。
みるみる力をつけて、コナーのバンドはオリジナル楽曲とMVを制作していく。
ラストシーンは、今、この時代に生きる者達へのメッセージだ。
『Go now!
行くなら今しかない!』
町外れの港からラフィネと二人、小さなボートで、50キロ離れたロンドンを目指す。
お金もコネもない。
手には録音した音源と、希望だけ。
やがて大雨が二人を襲い、大きな客船にぶつかりそうになる。
ロンドンに無事着いたのか、
レコード会社への売り込みは出来たのか、
そこまでは描かれていない。
『すべての兄弟たちへ』
『Go now!
行くなら今しかない!』
メッセージと共に、マルーン5のアダム・レヴィーンの歌が流れ、映画は終わる。
『君がバンドやり始めた頃をきっと思い出すよ!』
この映画を教えてくれた友達が言った。
どこへ転がるかもわからないまま、ひたすら楽曲を創り、メンバーと共有し、ときに喧嘩し、漠然とライブやレコーディングに明け暮れた日々。
あれは紛れもなく青春。
あの体験があってこそ、今がある。
Go now!
いつでも『今』なんだ。
さて、これから『今』
私は『何』をするだろう。
そんなこと、決まってる❤️