
憎しみの先に希望はあるのか
音楽家なら絶対観たほうがいい!
と直感し、慣れない都会まで行って来ました。
紛争が続くイスラエルとパレスチナ。
対立する二つの国から選抜して、平和を象徴するようなオーケストラを創るオーディションから話しは始まります。
歴史の話しではなく、今もって家族の誰が殺され、家が壊され、国自体が消滅する現実に生きる中で、音楽が一筋の光と成りうるのか。
最初から最後まで、胸の奥が締め付けられました。
音楽で世界平和を叶えることは容易なことではない。
政治的な意図が交差するなか、プロジェクトは進みます。
『自分を殺そうとするやつを理解出来るか!』
若い団員達の、お互いを罵り合い練習さえままならない状況に、マエストロは合宿を行います。
音楽以外に、様々なワークを体験させていくのです。
マエストロは国が違う彼らを、二人で一つの譜面台をシェアして使わせます。
奏でる二つの音は、明らかに違う響き。
溶け合わない音楽に、マエストロは語る。
『何故、お互いの音を聴かないんだ?』
お互いの宗教や文化を理解し合い、対立する二つの国の若き団員が、徐々に歩み寄めていきます。
『平和のほうがいい人はイエスに』
線を引いたイエス側に、遂に全員が移動し、お互いを抱き締めるまでになるが…
実は、このマエストロこそが、ユダヤ人大虐殺に関わる両親を持つナチの生き残りであり、誰よりも血塗られた過去に苦しむ過去を持っていたのです。
だからこそ、今回のプロジェクトに抜擢されたという。
彼の尽力によって、やっと《チーム》になったオーケストラだが、公演直前にテロリストらしき人物に団員を殺され…
今、私のいる日本ではあり得ない環境で、リアルな生き死にの中で、私は冷静に演奏が出来るのだろうか。
家を爆撃され、家族が殺される中で、正常でいられるのか。
国の事情とはいえ、敵対するその国の人と一緒に演奏出来るのだろうか。
それぞれに帰国する空港のロビーで、一人がボレロを奏で始める。
言葉を超えた感情が、彼らを突き動かし、一つの音楽に溶け合い、ロビーに響き渡ります。
何故、争うのか。
何故、憎しみ合うのか。
音楽は答えは出せない。
解決も出来ない。
それでも、私もやる価値を感じています。
きっと、世界中の音楽家が同じように感じているはず。
自分にも何かが出来るはずだと。
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■リユカアーティストオフィシャル
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