都合のよい甘い個体
「アメちゃん、いる?」
と 君は歌うように言った
返事を待たずにくれた「それ」を
大事に大事に舌の上で溶かしたけれど
やっぱり最後は噛んでしまった
エメラルドグリーンの球体が
粉々になって 粘度をそなえて
歯にまとわりついていく
最後はなんとも嫌な気持ちになるのに
どうしてもやめられないんだよ
頭の骨に響く噛み砕く音が大好きで
そうだ 今度君が
あの言葉を口にしようとするタイミングで
頭の中この音でいっぱいにして
聞こえないふりをしよう
だからもう一個ちょうだい
今度はその琥珀色の涙型のやつ
2016.1