働くところ 【エッセイ】

 職場の流し台がずいぶんと汚くなっていた。
 流し台を掃除するルールは確かになかったなと
 そんなことを思って見ないふり気づかないふりをした。
 そんな自分と同じような人がここにはいるだろうかと
 汚くなるというのは一瞬で汚くなるというものでもなく言ってしまえば僕が汚くなったと思う前の汚い状態があるわけでこの汚さも誰かが見過ごしていたのかもしれない。
 潔癖を謳う同僚の1人を思い浮かぶ。
 思い浮かべただけ
 友人の中の寝室はお風呂に入った後にしか入りたくないという1人を思い浮かぶ。
 思い浮かべただけ
 何もしてなくても汚れていくこの世界を思い出す。
 掃除なんて何でしないといけないのだろう、汚いと思ってから掃除をすると埃がまって掃除してない時より鼻にはダメージを与えてくるのに、
 
 汚いことを割と許容できる範囲が広い人間だと思う。汚いのが許せないとは思わないし、潔癖などでは決してなくお風呂に入っていようがいなかろうが寝室には入る。
 そんな人間。
 
 職場の流し台は綺麗になっていた。
 そんな人間。

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