見出し画像

化粧品のクチコミと薬機法の「広告」該当性

オンラインショッピングサイトには、化粧品の商品ページにクチコミが掲載されているものがあります。

ところで、「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等」21ページによれば、「使用経験又は体験談的広告は、客観的裏付けとはなりえず、かえって消費者に対し効能効果等又は安全性について誤解を与えるおそれがある」として、化粧品の効能効果に触れた体験談を広告として使用することは、原則として禁止されています。

また、「薬事法における医薬品等の広告の該当性について」によれば、化粧品に関わる表示については、以下の3要件をすべて満たすことで、薬機法上の「広告」に該当するとされています。

①顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昴進させる)意図が明確であること。
②特定医薬品等の商品名が明らかにされていること。
③一般人が認知できる状態であること。

さて、オンラインショッピングサイト上のクチコミの中には、化粧品の効能効果に触れたものが存在するように思います。たとえば、「○○という化粧水を使ったらニキビが消えた」といったクチコミです。

もしオンラインショッピングサイト上のクチコミが薬機法の「広告」に該当するとすると、上記のような効能効果に触れたクチコミは薬機法違反となり、同時に、当該クチコミを掲載しているオンラインショッピングサイト運営者も薬機法違反の責任を問われるおそれがあるのではないかと考えます。

そこで、オンラインショッピングサイト上のクチコミの薬機法上の「広告」該当該当性について検討してみると、当該クチコミが要件②③を満たすことは明らかだと思います。もっとも、(1)クチコミ投稿者がオンラインショッピングサイト運営者とは別主体であること、(2)否定的な内容のクチコミもあり得るところからすると、①の要件を満たすかについては、微妙なところだと思います。

ただし、クチコミが購入ボタンの近くに存在する場合、オンラインショッピングサイト運営者の意図として、クチコミを購入決定の材料とさせる意図が強いと考えられますので、①の要素が強くなる=広告該当性が高まるのではないかと考えます。

その観点で国内大手オンラインショッピングサイトのサイトの作りを比較してみると、以下のようになっています。

1.楽天:商品購入ページとクチコミページが別になっている。

2.Amazon:商品ページと同一ページ内に商品レビューが掲載されている。ただし、掲載箇所は下段のため、「カートに入れる」ボタンをクリックするためには、スクロールして戻る必要がある。

3.ヤフーショッピング:商品ページと同一ページ内に商品レビューが掲載されており、スクロールに追随して「カートに入れる」ボタンが常に右側に表示されている。

クチコミの広告該当性については、公定解釈がなく、現状グレーだと思いますが、私見では、国内大手オンラインショッピングサイトの中では、後になるほうが広告該当性が高いのではと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?