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2023年10月のセルフステートメント

このセルフステートメントは、2023年10月14日のフラワーデモ横浜に向けて書いたものです。


2023年9月に、僕は報道機関から、合計4件の取材を受けました。
オファー自体は、5月末のBBCの報道以降から来ていました。

ABEMA Prime (9/7)

中京テレビニュース (9/8)

TBS報道特集 (9/9)

tvk NEWS Link (9/27)

なぜ僕に取材が集中したのかというと、「男性の性暴力被害」をXで継続的に発信しているのが僕しかいなかった、というのが実情のようです。
しかし、取材スタッフの皆さんは、口を揃えて「一過性の問題ではない」「芸能界特有の問題にしてはいけない」という問題意識を持っていました。
その真摯な取材姿勢が見えたからこそ、僕は取材のオファーを全部受けました。

また9月には、取材とは別に、一般社団法人ソウレッジの4周年記念パーティーや、「#みんなの生理」の活動再開記念展示会にも足を運び、(快楽的ではない)様々な「性の話題」についてのお話が聞けました。

ジャニー喜多川氏関連の性加害問題で、「男性の性被害」が急に大きく取り上げられていることに、僕は複雑な思いを感じました。
『女性の被害』は連日報道され、対策も積みあがってきたのに、『男性の被害』は今まで「存在しないもの」として扱われ、報道も、行政も、社会も、被害当事者がいくら声を上げても、ほとんど動かなかったという現実を見てきているからです。

また、9月の報道では、性暴力被害に対応した医療機関以外で、医療従事者に「性被害への対応」の知識が非常に少ないことが明らかとなりました。
「女性の性被害」の場合は、基本的には産婦人科を受診すれば良いのですが、「男性の性被害」の場合は、被害部位に応じて泌尿器科・耳鼻咽喉科・消化器外科をそれぞれ受診しなければならず、各科の医師でさえ、「男性の性被害」についての認識が広まっていないのが現実です。

さらに、今現役で活動している「性教育活動家」の中にも、『男女の性被害と対策』についての対応を避けている方が少なくない現実があります。
これまで歪められてきた「性の情報」を、正しく楽しくポジティブなものに変えようという活動は、素晴らしいことに間違いありません。
ですが、性暴力被害の当事者としては、どうしても『性は危険なもの』という前提を払拭できないのです。
最初から「性教育の立ち位置」が異なるのです。
それでも、ご自身の性暴力被害の経験から、性教育を学び、今活動されているアクティビストは少なからずいらっしゃいます。
性問題活動家の皆様全員に、敬意を表します。

以下の民間資格もあります。
『思春期保健相談士』(日本家族計画協会)
『性教育認定講師』(日本思春期学会)
『日本版性暴力対応看護師』SANE-J(日本フォレンジック看護学会)

取材で僕が一貫して訴えたのは、『年齢や性別にかかわらず、誰でも性被害に遭う可能性と、誰でも性加害を起こす可能性がある』こと、そして一番大事なのは、『性被害を減らす』ことではなく、『性加害を起こさないようにする』というメッセージを伝えました。
将来的には、男女の区別なく、あらゆる性問題をフラットに語り合える場が、もっと広まってほしいと願っています。


1年前と比べると、「男性の性被害」関連の報道は少しずつ沈静化し、一時期は減っていた「それ以外の性暴力報道」の報道数が回復し、「性教育」や「ジェンダー」関係のメディア報道も増えてきました。
10代・20代の世代が、ジェンダーや身体的性別を問わず、「自他の性問題」について関心を持っている人が多いという調査結果もあります。

ですが、その親である30代・40代、さらにその上の50代以上の人達が、「性」についての認識がない、あるいは、性教育を受けていない問題は、未だに改善されていません。
一朝一夕で解決する問題ではなく、継続的な活動が必要だと思っています。

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