映画コラム「素直な悪女」
(ドイツ語版ポスターになります)
「素直な悪女」
原題:「Et Dieu... créa la femme」
英語版:「And God Created Woman」
フランス映画 1956年
監督:脚本:ロジェ・バデム
主演:ブリジット・バルドー
クルト・ユルゲンスクリスチャン・マルカン
ジャン=ルイ・トランディニアン
ジョルジュ・フージュリー他
個人的な結論から言えば、主人公ジュリエット(ブリジット・バルドー)は「悪女」ではなく、ただ 「素直」なだけな女である。
彼女が「悪女」に見えるのは 彼女の周りの妬みや嫉妬から生まれた偏見と、彼女の自由奔放な性格によって生まれる誤解から「悪女」に仕立てられただけの むしろ「素直」であるが故、裏切られては傷つき易い、可哀相な女に見えて仕方ない。
フランスの海辺の小さな田舎で 孤児として育ったジュリエットは 町の小さな本屋で仕事をしているが、彼女の持つ美貌に周りの女性や男性からのヒガミや やっかみさえ買ってしまう。
彼女の唯一の理解者は お金持ちの年老いた紳士とその奥様だけ。孤児であるジュリエットの保護者でもある。
それすら
お金持ちに媚びたパトロンと誤解されてしまう。
寄ってくる男は 皆 ただ彼女と遊びたいだけの男達。その中で、本当は兄のほうが好きだったに関わらず、プレイボーイな兄とは正反対の真面目な弟の男と結婚しても 彼女の育ちから 誰にも理解されない部分も多い。
彼女からすれば、真面目な男との退屈な結婚生活に馴染めず、揚げ句の果て、男の兄と本気で駆け落ちをする決意を 約束しても、待ち合わせの場所に来なく、裏切られてしまう。
印象に残るシーンは ジュリエットが可愛がっていた小鳥を籠から出し、自由に逃がしてあげるが、
また 一人ぼっちになったジュリエットは必死で小鳥を探す。
自由になった小鳥は二度と戻ってはこない。
誰にも愛情を注がれなかった「孤独」が、このシーンで表現されています。
この映画で女優としての名声を手にしたブリジット・バルドーは プライベートでは非常にスキャンダルだらけでした。
(⬆18歳で結婚したバルドーとバディムのウェディングスタイル)
ロジェ・バディムはブリジットの最初の夫で有り、彼女の魅力を最大限に見せる映画が「素直な悪女」でした。脚本は、バディムがバルドーの為に創作。
それまでの彼女の映画はコミカルな物が多く 可愛さが全面に出ていて、シリアスではない。
私個人は コミカルでコケティッシュなバルドーが好きだったりします。
⬆️「軽蔑」より。
髪をブルーネットから金髪に変えたのも バデムのアイディアです。
それ以後、金髪がバルドーのトレードマークになり、おまけに きちんと整った髪と言うより 何かクシャクシャにした髪型は 90年代から未だに、最近のモデル等も真似をしていますね。
今では世界中のファッションiconとして
女性の憧れですね❤
ブリジット・バルドーと言う女優を色で表すと「デニムのブルー」を感じます。
綺麗なドレスよりデニムの似合う女性は憧れでも有ります。
本来、彼女は赤が好きで彼女のイメージカラーは「赤」なんですが、私個人は赤も好きですが、バルドーにはデニム色のイメージも持っています。
彼女に関しても 簡単に書ける女優では有りません。 また、女優ブリジット・バルドーとして書いてみたいと思います。
椎名りつ子
2017.3.15
【追記】
これ、邦題は「素直な悪女」で、まさしく
監督のバディムが描いた事にふさわしい、謎めいたタイトルで綺麗ですが、
フランス語を直訳した英語タイトルは「、、、そして、神は女を創りたもうた」て、
うーん直訳過ぎて謎も何もなく、マジ、ジュリエットと言う美しくも自由奔放な女が男を振り回している女って意味だけで、そこにはジュリエットの過去も人間としての感情もなく、ただ、女はこうだ。
みたいな?w
日本語タイトルのほうが好きだわ。(笑)
⬇YouTubeへ行きます。
「素直な悪女」予告編
別の記事にも書いたかも知れませんが、この映画の
1番の見所はジュリエットが自由気ままにマンボーを
踊るシーンですが、このシーンに監督のロジェ·ヴァデムは
一切何も「あーしろ、こーしろ」とは言わず
本当にアドリブでバルドーを踊らせたのです。
これは、バルドー自身の自叙伝にも書いてありますが
何も監督がどのようにすればいいのか、を指示しないと
本当に難しくて、本人は本気で悩んだシーンです。
椎名りつ子
2019.10.20
*2010 .10.14に書いた記事をブログ移行の為、再編集致しました。