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理想のタイプ

「どんな人がタイプ?」と聞かれたことは、誰でも一度はあるはず。これ!と決めている人やその日の気分で答える人もいると思う。

私はビシッと答えることのできない理想のタイプ難民だったので、尊敬できる人とか、面白い人とか、誠実な人とか、なんとも抽象的な答えを行ったり来たりしてきた。
(結婚するとパタリと聞かれなくなるんですよ、奥さん!って当たり前か)

「そのとき好きな人がタイプ」という答えは、ある意味核心をついている。けれどもこの問いは、パートナーシップでなにを大切にしていますか?という質問でもある気がしてきて、ちょっと粘って考えてみた。

どうしても今の夫を参考にした答えになるけれど、
私の理想のタイプは「ものを大切にする人」かもしれない。

「ものを大切にする」とは、エコだとか物持ちがいいとか几帳面とは違い、自分の身の回りのものを愛情をもって丁寧に扱うということ。
整理整頓されているのとも少し違う。
その人の使っているものから『おれたち大切にされてるよな〜』ときこえてくるような、そんな感じだ。
趣味の釣竿だけをずーっと磨いているのと違うことは、言うまでもない。

使っているカバンを無造作に投げない
花の水を替えるとき優しい顔をする
ちょっとした手間も惜しまず自転車の手入れをする

一事が万事。
クセは隠すことができないから。

夫は料理上手じゃないけれど、彼の作る簡単な料理はとても美味しそうにみえる。実際にちゃんと美味しい。
彼が長く使っているカバンは、くたびれてはいるけれどつやつやしている。
彼が洗ってくれる水筒は茶渋がものすごいけれど(笑)、なぜか使い心地がよい。
そして、私の肩を抱く腕はいつだって優しい。

これっていっときの恋の魔法かな?と思い、心は変化に備えていた。
けれど、結婚し子供が産まれてもその魔法は消えていない。
これからも一緒に歳をとり、くたびれても味のあるおばあさんになるのは悪くないなと思っているところ。

あなたの理想のタイプ、思い浮かびましたか?

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相良 梨月
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