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場末ノZ(11)

○映画館
映画を見ているマリアと湊太。
 
○ショッピングモール・屋内
賑やかな館内を、笑い合いながら歩くマリアと湊太。
 
○同・フードコート
ふと、辺りを見回すマリア。
沢山の家族連れが食事をしている。
と、ヤンママが子供を怒鳴りつける。
その横を飲み物を持った湊太が通り、マリアのテーブルに座る。

湊太「なんか気分悪いね」
マリア「私はちょっと羨ましいな。あそこまでむき出しで怒られたことってないから」
湊太「ねえ。教会ってどんな感じ?」
マリア「孤児院のこと?」

マリア、少し黙る。

湊太「ゴメン……別の話しよっか」

○観覧車・中(夕)
向かい合わせで座るマリアと湊太。

マリア「家とか家族とか兄弟とか、そんな気持ちはなかったな。いつか卒業してダンサーになる。それしか考えてなかったから」
湊太「そっか。卒業か」
マリア「うん卒業。孤児院も、学校も、この町も、全部卒業して本当の自分になる。はずだったんだけどな」

マリアの眼下に海と倉庫が広がる。

マリア「何やってんだろ……」
湊太「何やってんだろうな。お互い」
マリア「東京出なよ。君ならきっと」
湊太「だからコラボしようって言ったろ」

湊太、マリアの横に座る。

湊太「人生のコラボ。一緒に出ようマリア。こんなクソッタレな田舎から」

湊太、マリアを抱きしめる。

湊太「見てみたいんだ俺。本当のマリアを」

マリア、寂し気に微笑む。

○マリアのマンション・寝室(夜)
薄明りの中、セミダブルのベッド。
シーツに包まり感情をかみ殺すマリア。
シーツから男の手が伸びて、マリアの首をなぞる。
男の手がマリアの首を静かに締める。
マリアにのしかかる塚越の姿が現れる。
マリア、顔を歪めるも声は上げない。
マリアと向き合い、首を絞める塚越。
耐えるマリア。
やがて塚越が先に声を上げて、達する。
手を放し、倒れこむ塚越。
マリアは無表情のまま息をつくだけ。
 
○同・リビング(夜)
部屋の隅に大きなぬいぐるみ。
塚越、ぬいぐるみの向きを調整する。
シャワーを浴びたマリアが来る。
マリア、ぬいぐるみを一瞥する。
塚越、動じること無くマリアを見据える。
寧ろマリアが目を逸らして、ソファに座る。

塚越「SとかMとか、やっぱガラじゃないか」
マリア「そうですね」

塚越、部屋に置かれている水ダンベルで遊ぶ。

塚越「でもゾンビ君と話してる時のマリアのむき出しの感じって凄くいいと思うよ。あれを見せて欲しいんだよね。お客にも、俺にも」
マリア「ただ苛々してるだけです。支配人」
塚越「だからジョーさんでいいって……」

塚越、水ダンベルを壁に叩きつける。

塚越「言わせるなよ。何回も。何回も」
マリア「すみません」

塚越、マリアの頬を軽く張る。

塚越「何回も。何回も。何回も。何回も」

塚越、マリアの頬を軽く、何度も張る。
無表情のマリア、鼻血が流れる。

塚越「それじゃ一緒だろ。この町の連中が俺に見せるツラと同じだ」

塚越、マリアを無理矢理犯す。

塚越「それじゃダメなんだよ! それじゃ!」

マリア、無表情のまま塚越に犯される。

(つづく)

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