#2000字のドラマ 『痛みはいつか誰かの』
私がアルバイトをしているコンビニには、毎回レジ横の募金箱に釣り銭を全て入れて店を出ていかれる常連さんがいます。その人は、目尻の皺がチャーミングで、トレードマークのハンチング帽がよくお似合いのおじさんでした。
大学が夏休みになり、お昼時のシフトに入っていた日のことです。慌ただしく入店してきたのは、あの常連さんでした。おじさんは、私たち店員に笑顔を向けながら「外は暑いねー。」と言って、小走りでレジの前を通り過ぎていきました。ものの30秒程で幕の内弁当と缶コーヒーを手に取ると、ま