総合表現サークル"P.Name"

立命館大学生を中心として、演劇から文芸まで幅広い表現活動をする団体です。メンバーは活動にあたり、P.Nameを名乗って活動し、自由に企画を立案実行できます。 Pen,Play,Performance,Project,Producer,そして匿名を表すピー音にPは由来します。

総合表現サークル"P.Name"

立命館大学生を中心として、演劇から文芸まで幅広い表現活動をする団体です。メンバーは活動にあたり、P.Nameを名乗って活動し、自由に企画を立案実行できます。 Pen,Play,Performance,Project,Producer,そして匿名を表すピー音にPは由来します。

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お試し版P.Name歌会記録

 皆様はじめまして。総合表現サークル"P.Name"会員のささどと申します。  2024年6月29日に、"P.Name"のDiscord上で、歌会を開催いたしました。この記事はその記録でございます。  歌会とは短歌に関する集まりで、参加者それぞれ短歌を提出、それを相互に批評するという会のことです。  主催のわたくし自身歌会の経験はなく、参加者たちはそもそも短歌実作の経験もほとんどない者が多く、探り探りの実施にはなりましたが、楽しんでいただければ幸いです。 開催要項 日時:2

    • アジテート・ノーツ vol.1|アルジャーノン、忘却とアーキタイプ。あるいは三島由紀夫。【<華果>AGITATION 1】

      総合表現サークル“P.Name”代表の紀まどいです。 この企画は、総合表現サークル“P.Name”内の、思想強い、かつ歌ってみたに関心がある2人が「歌ってみたユニット」を組み、好きな歌をカバーするという企画です。そして、自分が歌った歌に関する思想を1,000文字程度の文章に起こし、「アジテート・ノーツ」と名付けて公開します。 今回私たちが歌ったのは、Orangestarさんの「Henceforth」、カンザキイオリさんの「あの春を返して」、そしてヨルシカさんの「アルジャー

      • 弱者たる君へ|小説/作:ポポネ

         どうにも、冬という季節は心身ともに冷え込むものだ。ふと通り抜ける北風に、体を震わせ、手をこすり合わせる。いかに努力をしようとも、私一人しかいないのであれば、意味もない。溜息か、それとも寒さを誤魔化すためのものか。吐き出した息は仄かに白く色付いて、彼方へと伸びていった。手元を健気に温める缶コーヒーが、私を勇気づけている。  あの日も、こんな日だった。身震いする寒さに恰好つけて、笑顔で君を見送った日。私の弱さが、ただ誰かを傷つけるのだと、そう悟った。  私には、誰もいない。

        • 走れオレ|小説/作:紀まどい

           オレは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の〆切を除かねばならぬと決意した。オレには政治が割とわかる。オレは、しがない政治学徒である。エッセイではシュンペーターだのを引き合いにだしてホラを吹き、ツイッターをこの時期までやっているしょうもない同級生たちと絡んで暮らしてきた。けれども原稿を会誌に載せられないということに対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明オレはこの会誌に私小説を乗せてやろうと企み、野を超え山を越え、十里は離れた過去の記憶を思い起こしていた。  オレには常識も、空気

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        • 小説
          25本
        • 記事
          12本

        記事

          想月記|小説/作:現野未醒

           私のことなど、きっともうあちらではお忘れになって、清らかなままにお過ごしになっていることでしょう。こちらは、もう秋の夜長に白く大きな望月の昇る季節となりました。  貴女が月へ帰ってから、どれほどの月日が経ったのでしょうか。私は相変わらず、月を見上げる度、貴女のことを想っております。きっと、永遠に想い続けるのでしょう。こんなに美しい名月の夜には、女々しくも、貴女のいらっしゃる月を眺め、こうして届かぬ想いに胸が痛むほど、貴女のことを想っております。  私は、忘れることはないので

          想月記|小説/作:現野未醒

          ミルキーゴースト|小説/作:虫我

          0  何にだって寿命はある。  寿命、生まれてから死ぬまでの期間と云い換えてもいい。それはもちろん人間に限らず、犬や猫などの動物や、植物にだってある。枯れない花はない。そんなものは造花だけだろう。それに造花でさえも、長い目で見れば、いずれ朽ちる。時間の尺度を永遠的に捉えれば、終わりのないものは存在しない。つまり裏を返して考えてみれば、すべての物質には寿命があると云うことができる。  では、食品はどうだろうか。動植物の例に当てはめて考えてみれば、バラ肉や魚の切り身はもうすでに死

          ミルキーゴースト|小説/作:虫我

          如月と春|短歌連作/作:ささど

          十本の短歌を書き下ろし。 それぞれの歌には、とある共通点が隠されているとか。 作:ささど この作品は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」学祭号に収録されています。 今年1月3日から1月7日の間、学祭号書き下ろし作品を順次投稿しています。

          如月と春|短歌連作/作:ささど

          学友会登録のご報告

          総合表現サークル“P.Name”は、立命館大学学友会調査企画部様への新規登録団体申請をしておりました。この度その申請が受理され、2023年度第13回中央委員会の審議を経て承認されました。同年8月7日、我々総合表現サークル“P.Name”は、立命館大学学友会中央事務局調査企画部登録団体となりましたので、その旨をご報告いたします。 キャンパスを越えた集い、インターネットの積極的活用、会員の自己実現の尊重といった我々の活動は、新型コロナウイルスの流行や新キャンパスの学生活動の発展

          学友会登録のご報告

          幼い日をしまって / チあき

           この小説は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。  真也がそのぬいぐるみと出会ったのは、なんでもないような夏の日だった。彼の母からのプレゼントだった。その日が誰かの誕生日だったというわけでもなく、もしかしたら母の、本当にただの気まぐれだったのかもしれない。  自分がいくつだったのかすら、そのうち忘れてしまう。犬を模した布製のキャラクターが真也の胸にそっと抱かれる。ただ、この陽

          幼い日をしまって / チあき

          あとがき

           この記事は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。  本誌「P.ink」は「総合表現サークル”P.Name”」の刊行する文芸誌、ひいては活動内容を報告する情報誌である。一月の創刊より早くも半年が経過し、活動範囲の拡大に伴って掲載内容も拡大された。それこそ、総合表現である。本誌は弊団体の特色を映す媒体として確立されつつある。ひとえに、意欲的な会員の積極的行動の賜物である。  私は

          #OICの短冊 まちライブラリーに寄贈

           この記事は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。  OICはその位置する茨木市との連携を強みとするキャンパスである。図書館を擁するB棟には「立命館いばらきフューチャープラザ」なる如何にも弊学らしい名がついて、茨木市民に解放された施設が乗り入れている。  そのうちのひとつ「まちライブラリー」さんに今回、当会の冊子を寄贈した。  この際、当会からとある企画を打っている。当会から寄

          #OICの短冊 まちライブラリーに寄贈

          生死の主導権は「表現力」 #TRPGプロジェクト

           この記事は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。  今年度の目玉企画のひとつとして、一般会員であるSiriusから提案された(マジでありがとう)企画が、#TRPGプロジェクト である。    TRPGとは、テーブル・トーク・ロール・プレイング・ゲームの略である。それそのものの詳細はググっていただけると信じる。  ロールプレイングゲームである以上は、それだけでもはや当会、特に演

          生死の主導権は「表現力」 #TRPGプロジェクト

          地球の子 / 紀政諮

           この小説は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。 ○  会場は自由席だった。植民百年を誇るように全て木で出来た椅子の、いちばんいい席をひろう。フードを深く被る。座面に置かれたパンフレットをとる。使い捨て鉛筆をつまみ、アンケート欄をひらこうとした。  かたん。意味もなく、照明が落ちる。 「本日は立盟しずかのうみ中央学館、開館百周年記念オープンセミナーにお越しいただきありが

          四、 客演も!? 演劇局が本格始動

           この記事は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。  この部分の記事、演劇局長自身に書かせればよかった……。後悔している。いけない。困難は分割しなければならない。いや元々そういう意味ではないけど。  当会の演劇局長といえば、誰を隠そうササキソラニンである。佐々木Ĉieloの芸名で当会の制作に多大なるはたらきをし(特に #ハロウィンプロジェクト におけるボイスドラマ「トリップ・オ

          四、 客演も!? 演劇局が本格始動

          あの夏、お前からAV借りた。 / 虫我

           この小説は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。 1  カーテンは閉め切っていた。ヘッドホンから流れる名前の知らない曲が、外界の音を遮る。現時刻が昼なのか夜なのか分からない。ただ机上のモニターと手元のタブレットだけが、真っ暗な部屋の唯一の光源だった。  ペンを動かし、背景のパースが崩れていないかを確認する。左端の描き込みに納得がいかず、その箇所をアップにする。ペンを走らせ、ま

          あの夏、お前からAV借りた。 / 虫我

          ダンボールシェルター 後編 / 志宇野美海

           この小説は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。 五   帰りの会が終わると皆わらわらと帰りだす。私は無理やり教科書を鞄に詰めた。不器用だからか、適当な性格だからか、なかなかうまく鞄に教科書が入ってくれない。いつも押し込んでしまうので時間がかかるわりに教科書の扱いは別に丁寧ではない。今日も、皆より遅れて教室から出ようとしている。月明と害虫が教室の入り口で話している。二人で帰

          ダンボールシェルター 後編 / 志宇野美海