【沖縄県】南大東島 島ナース・下地さんが語る離島医療の魅力~生活の中の医療を経験して自分が成長できる場所~◆Vol.3 #file4
こちらの記事は
【沖縄県】南大東島 島ナース・下地さんが語る離島医療の魅力~生活の中の医療を経験して自分が成長できる場所~◆Vol.2 #file4の続きとなります。ぜひVol.2をご覧になってからこちらの記事をお読みください。
Vol.2は下記のリンクからご覧になれます。
島ナースとしての仕事
下地さんは南大東島での赴任後、現在は沖縄県庁で ”島ナース” として勤務されています。
----現在の勤務先はどのようなところなのでしょうか?
「今は沖縄県病院事業局病院事業総務課で離島医療支援看護師をしています。」
----その課に所属していて、離島に行って実際何か行うこともあるのでしょうか?
「そうですね。私がいる部署には必要な離島医療支援をするために、私みたいな看護師が3人いて、通称島ナースと言われています。
沖縄県には県立病院が持っている16か所の離島診療所があるのですが、それぞれ看護師が1人、医者が1人、事務員が1~2名ぐらいで働いています。
看護師さんの休暇や、研修の機会の確保のために、私たちが月に2週間ぐらい、だいたい月の半分ぐらいはその離島に行って、実際にいつもいる看護師さんの代替業務をしています。」
離島医療の問題、その解決のために必要なこと
----離島医療で問題に感じていること、解決に必要だと思っていることを教えてください
「私がいま離島医療を支援する立場に立ってみて、人材の確保というのがすごく難しいなと思います。
離島医療は具体的な情報などが取りづらいですし。あと看護師が島で 1人というのもあるので、そういう面で行きたがらないというか、行くことに対する看護師のハードルが高いのだと思います。
次の人材がなかなか見つけられないのは課題ですね。
人間的にも技術的にもよい人、自立している人が行ければいいですけど、組織の中でそこまで充分な人材がいるわけではないので、離島医療を継続していく上でもそこが問題ですね。
その解決のために必要なこととして、やはり教育は大事だと思います。
沖縄本島の院内の離島に赴任するであろう人たちの教育もそうですけど、沖縄県は他にも町立診療所もありますし宮古、八重山だとか基幹の病院も離島にあります。
だから、そういったところで働けるように、学生のときから興味を持ってもらえるような関わりが必要と思っています。そのためには診療所でやっている看護や医療を可視化するのが1番なのかなと思います。」
離島に住む子どもたちに医療を知ってほしい
「子供たちが医療職に触れる機会って、沖縄本島だとある程度はあると思うのですよ。例えば、かかりつけの病院にも薬剤師さんとか、検査技師さんとか、放射線技師さんとか色々な人がいます。
離島だと医者と看護師しかいなくて、しかも職業体験などにもなかなか来ないのですよね。そういった離島以外では身近だけどあまり知らないんじゃないかという仕事について、離島にいる子供たちへのアプローチがまず必要かなと思います。
あと看護学生も、沖縄県だと保健師さんの実習で離島に来たりするのですが、診療所の看護師の実習ってないんですよ。なので、若い学生のときから植え付けじゃないですけど、こういう選択肢もあるよ、と教えられるような機会があるといいのかなと思います。一番は実践。来て体感してもらった方がわかると思うので。」
病院で働いている人へ
「病院で働いている人に向けては、一応私も今人材確保のために島しょ看護研修などを組んでやっているのですけど、その研修に行ったら島に行かされるみたいなところがまだちょっとあるので…。どうやったら研修以外の方法でも魅力が伝わるのかというのは、今後の私の課題だと思います。」
離島・僻地医療を志す人たちに
----最期に医療系の学生や若手医療者の中で、離島医療に興味を持っている方に対して何かメッセージがあれば教えてください
「ぜひぜひ来てほしい、ぜひ一緒に働きたいです!大変なことの方が多いかもしれませんが、実際に働くと本当に来て良かったので。本当に苦しいこと、大変なことはとても多くて、いつも先生と2人で『つらいね…』とか言いますけど、その半分くらいは良いことがあります。自分が成長できる場だから、ぜひ来てほしいと思います。」
編集者よりコメント
今回の記事を書くにあたり、インタビューにて離島での勤務経験を生き生きと話す下地さんの様子が印象的でした。離島医療には大変な部分も多いとのことでしたが、それを上回るやりがいや魅力があることが伝わってきました。下地さんがおしゃっていたように、学生が離島で実際に医療を体験できる機会がもっと増えてくれたらよいなと思います。
最後まで目を通していただき、ありがとうございました。
南大東島について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。↓
私たちの活動について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。↓
この記事を書いた人
すずきはるえ 修士課程2年
東京都出身。現在は臨床検査技師として長野県の病院で働きながら社会人大学院生として奮闘中。
臨床検査技師は医師や看護師と比べて、将来的に機械やAIにとって変わられる職業と言われている中で、これからの臨床検査技師の役割を模索している。将来の夢は職種や地域間の間をつなぐことができる医療人になること。