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【鹿児島】荻尾夕起子さんに聞く◆Vol.1 ~離島医療のやりがい、それは頑張りが信頼で返ってくること~ #file1
離島医療人物図鑑Projectに所属しております。札幌医科大学医学科5年の桐澤くららです。
離島医療人物図鑑は「離島医療に尽力する医療従事者の代弁者たれ」をモットーに活動しています。
今回は離島医療人物図鑑プロジェクト、記念すべきfile1企画として、荻尾夕起子さんに桜島で薬剤師をしていたときのことをインタビューさせていただきました。
ー薬剤師5年目に職場人事でひとり桜島へ
桜島で働き始めたきっかけを教えてください。
「きっかけは職場の事情でした。元々働いていた病院が、島に関連の施設を持っていたんですけど、薬剤師派遣業務が開始されて…、その1番目になったという感じですね。」
きっかけこそ職場の人事だった荻尾さんですが、赴任時には高校生の頃から抱く離島医療に対する想いとマッチしたといいます。
「元々学生の時から離島で働く医者になりたいと思っていて、成績が足りなくて薬剤師になったんですけど、薬剤師になってからもベースには『そこで暮らす人の人生を一緒に診れるような医療者になりたい』という想いがありました。」
≪桜島病院・・・火山のふもとにある病院であり、噴火と火山灰をいつも身近に感じるとのこと。≫
離島に赴任する前の「離島」に対するイメージはどのようなものでしたか?
「離島は医療が行き届かないこともある場所で、『人材不足の問題もあるんだろうな』というイメージはありました。それを離島やへき地の医療者はマンパワーでカバーするので『すごく体力や、気力がいる職場なんだろうな』と思ってましたね。」
それは赴任後変化しましたか?
「実際に経験を通して、元々持っていたイメージがより強く認識されたという感じはありますね。桜島は生活自体にそこまで不便はなかったのですが、救急医療における緊急時の対応がやっぱり大変でした。先生が判断して近い市内に搬送するもフェリーの出発待ちをしなくてはならないなど、時間的な焦りがありました。」
~おおらかでたくましい桜島の住民に惹かれて~
桜島はどんな島でしたか?
「病院のスタッフも住民もおおらかで医療者に対して温かい雰囲気を持って接してくれました。火山と共存しながら生きる住民の雰囲気というのは“力強い”というか“たくましい”方が多いなと感じました。」
元々いた本土の病院は業務が山積し、荻尾さんは対応に奔走する忙しい日々を送っていたのだそうですが、離島での薬剤師生活は、本土のそれとはかけ離れたものだったのだとか…。
「離島では、患者さんがいなかったりしたら『今日は働きたくないからお茶でもしましょうかぁ』と急に声かけられて、職場のみんなでアイスを食べたりというようなことがありました。」
もちろん、しっかり業務もこなす病院だったそうで、「強弱、緩急のある病院で出会う桜島の住民や医療者たちのおおらかな性格がとても好きだった」と語ってくれました。
桜島は交通の便も想像以上に良く、本土を行き来していた際のこんなエピソードも教えてもらいました。
「島の人自体が医療者に対して好印象を持ってくれていたので、バスを待っていたりすると、『病院の人だ!』と言って『フェリーまで乗っていかんね』と声をかけてくれるんですよね。時には便乗させてもらったり。すごく受け入れてくれたので、働きやすかったです。」
不安もあった離島での単独の薬剤師業務
荻尾さんが桜島に赴任する前は、桜島には薬剤師がいなかったそうです。「元々無かったものなんだし本当は必要とされてないのではないか」、「離島のただ一人の薬剤師として自分が職能をきちんと発揮できているのか」と、不安もあったのだとか。その不安は離島での赴任が始まってから少しずつ変わっていきました。
「実際薬剤師として1人で赴任してみたら色々な質問もいただけたり、病気以外の日常生活の質問ももらいました。在庫の管理だとか、薬の情報の部分など専門的な部分で多くの場面でお役に立てることがあったので、病院には薬剤師でしか対応できないことも沢山あることに気が付きました。」
次回、荻尾さんの桜島での日常業務について詳しくお聞きします。
【島の紹介】 名称:桜島
①行政区分:鹿児島県鹿児島市。
②人口:約5600人(2010年)
③概要:日本の九州南部、鹿児島県の鹿児島湾(錦江湾)にある東西約12km、南北約10 km、周囲約55 km、面積約77km2の火山です。かつては島であったが、1914年(大正3年)の噴火により、鹿児島市の対岸の大隅半島と陸続きになりました。桜島火山は有史以来頻繁に繰り返してきた噴火の記録も多く、現在もなお活発な活動を続けています。海の中にそびえるその山容は特に異彩を放っており、鹿児島のシンボルの一つとされ、観光地としても知られます。
④交通:桜島は、大隅半島側の垂水市と霧島市との間には路線バスが運行されています。しかし島自体は鹿児島市でありながら、鹿児島市中心部とは海で隔てられているため、24時間運航の鹿児島市営桜島フェリーが鹿児島市民の足となっています。
▶桜島について知りたい方は下記リンクもご覧ください。
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この記事を書いた人
桐澤くらら:本土最東端の町、北海道根室市出身。大学1年より演劇部に所属し、役者として活動。プライマリ・ケアをテーマとしたワークショップのスタッフを務める。興味分野は家庭医療、総合診療、予防医学など。将来の夢は、総合診療医ないしは家庭医として、臨床と研究の二刀流で活躍すること。様々な分野の方と手を取り合い、自分らしく活動していきたい。
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