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【鹿児島】荻尾夕起子さんに聞く◆Vol.2~離島医療のやりがい、それは頑張りが信頼で返ってくること~ #file1
前回の記事はこちら
初めての仕事は桜島初の門前薬局開設のプロジェクト
桜島に赴任し、荻尾さんがまず取り組んだのは、院外薬局、いわゆる門前薬局のない桜島の病院に院外薬局をつくることだったそうです。
桜島で取り組んでいたことを教えてください。
「私が赴任をしている間に、院外処方箋を出せるようにするという取り組みが始まりました。そこで院外薬局さんとのコミュニケーションを私が取らせてもらったんです。」
ただ開設するだけではなく、いろんな工夫をされていたそうです。
「実際に門前薬局を開設すると、患者さんには年配の方が多いので、門前薬局までの道のりで、危ない箇所をスタッフのみんなで共有し、どうすれば安全に来れるか試行錯誤しました。スムーズに処方箋箱からお渡しできるように、院内薬局と院外薬局で交流を持つという病院の方針もあり、いろいろ経験させてもらいました。」
流通の弱さはコミュニケーション力でカバーする
日常業務を行う中で不便に感じたり、不満に思ったりすることはありましたか?
「流通力が弱いのは一つの欠点だとは思っていました。先生が病院に置いていない薬を使いたい場合、取り寄せが必要ですが、流通の関係で今すぐに取り寄せられないので不安ではありました。流通が弱いからといって急に道路を通すわけにもいかないので、薬の問屋さんともっとコミュニケーションをとる必要があるなと思いました。薬剤師さんと薬の問屋さんとの間でコミュニケーションが活発になれば、流通の弱さはカバーできるなと感じています。」
島の人への健康教育が今後の課題
赴任後、課題に感じたことはありますか?
「赴任期間がもっとあれば、住民に健康に関する基礎知識や薬に関する勉強会を開く取り組みがしたかったですね。調剤業務、病院内の薬剤指導、加えて院内薬局との調整など通常業務のなかでそのような活動をどう行うかは今後の課題だと感じています。個人的に課題と思ったことは、引継ぎ力です。私たちのときにはローテーションで回っていたので、前任者が積み上げたノウハウや知識を後任の人に託していけるような仕組みづくりができるといなと思っています。」
薬剤師も1人の人間。求めてられていると感じられることがやりがいへつながる。
離島医療のやりがいとは?
「島でたった1人の薬剤師というのは実際やってみて大変だったけれど、その分患者さんから信頼で返ってきますね。『一緒に仕事ができて嬉しい』と言っていただけたり、スタッフのみなさんからも信頼されて働けます。だから、頑張れば頑張っただけ返ってくるっていうのがすごく実感できましたね。ああ。薬剤師として求められう場所があるっていうのは凄く嬉しいことだな。薬剤師やっていて良かったな。と感じました。」
住民との距離が近い桜島では、自分がした仕事に対する住民の満足度も手に取るようにわかったのだとか。
「心を込めて仕事をさせてもらったらその後に、やっぱりその仕事ぶりがどうだったのかのフィードバックがすぐに得られるのも魅力でした。」
桜島での経験は多くの学びをもたらし自分を成長させてくれた
「行ってみてすごくいい思い出になりました。離島医療に興味がある学生さんがいるなら、1回は必ず経験して貰いたいですね。」と言う荻尾さん。
「離島への赴任に対してネガティブなイメージをもつ医療者もいますが、私にとっては離島赴任は学びも多く自分も成長できてとても良い時間でした。実際に島に行った私が実際の現場の話や、楽しかった思い出などを周りの人に発信することで『ネガティブで高くなりがちなハードルを下げる役目もできたらいいな』と思っています。」
そんな荻尾さんが日常業務で気を付けていたのは、“常にフラットな状態でいること”だったそうです。
「仕事に対して一緒に働いていると機嫌が良いときと悪いときがある人もいるのですが、安定した仕事を目指していました。普段から私自身が忙しさをあまり表に出さないようにしたりとか、その時の忙しさなどに関係なくいつもフラットな状態で周りから見て信頼してもらえるような姿勢で取り組もうと思っていたので、離島でも続けていました。」
ありがとうございました。
次回、荻尾さん最終回「離島医療に本当に必要なものは何か」をお話ししていただきます。
5月20日に公開予定です!
Vol.1はこちらから読めます。
桜島について
【島の紹介】 名称:桜島
①行政区分:鹿児島県鹿児島市。
②人口:約5600人(2010年)
③概要:日本の九州南部、鹿児島県の鹿児島湾(錦江湾)にある東西約12km、南北約10 km、周囲約55 km、面積約77km2の火山です。かつては島であったが、1914年(大正3年)の噴火により、鹿児島市の対岸の大隅半島と陸続きになりました。桜島火山は有史以来頻繁に繰り返してきた噴火の記録も多く、現在もなお活発な活動を続けています。海の中にそびえるその山容は特に異彩を放っており、鹿児島のシンボルの一つとされ、観光地としても知られます。
④交通:桜島は、大隅半島側の垂水市と霧島市との間には路線バスが運行されています。しかし島自体は鹿児島市でありながら、鹿児島市中心部とは海で隔てられているため、24時間運航の鹿児島市営桜島フェリーが鹿児島市民の足となっています。
桜島について詳しく知りたい方は下記リンクもご覧ください。
私達の活動「離島医療人物図鑑」について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
この記事を書いた人
桐澤くらら:本土最東端の町、北海道根室市出身。大学1年より演劇部に所属し、役者として活動。プライマリ・ケアをテーマとしたワークショップのスタッフを務める。興味分野は家庭医療、総合診療、予防医学など。将来の夢は、総合診療医ないしは家庭医として、臨床と研究の二刀流で活躍すること。様々な分野の方と手を取り合い、自分らしく活動していきたい。
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