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【ショートショート】命乞いする蜘蛛


木の上には大きな蜘蛛の巣があった。

その巣を大きくしようと懸命に仕事をしている1匹の蜘蛛がいた。

トカゲの俺は蜘蛛に気づかれないように、そっと木に登り蜘蛛の背後に忍び寄ることに成功した。

振り返って俺を見た蜘蛛は驚いた表情をしている。

蜘蛛は何を思ったのか急に土下座の姿をした。

そして糸を左右に垂れ流している。

滑稽だな。

命乞いをしている蜘蛛は笑えてくる。

散々自分だって蝶や蝿を食べて生きてきたくせに。

コイツはいつまでも捕食者の立場でいることができると高を括っていたのだ。

それなのに自分だけは生き延びようとしているその姿勢が惨めだった。

自分の番がやってきたのだ。

ヨダレを飲み込む。

ニヤニヤが止まらない。

舌を伸ばして蜘蛛を食べようとしたときに木の下から音が聞こえてくる。

一旦食べることやめて振り返るとそこには自分の何倍の大きさの猫がいた。

パク。

クソ蜘蛛。

蜘蛛の糸を左右に撒き散らして猫を呼び出してたのか。

猫の口の中で自分が油断していたことを後悔しても遅かった。

(424文字)

たらはかにさんの【毎週ショートショートnote】に参加させて頂きました。
     お題 【命乞いする蜘蛛】

読んで頂きましてありがとうございました。

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