【ショートショート】帰り道
2年前。
大好きな人に告白してフラれた。
大学を卒業するタイミングで告白した。
けど断られた。
私は大学を卒業すれさえすれば全てがうまくいくと勘違いする大バカ野郎だった。
大学を卒業するくらいじゃ何も変わらなかった。
仕事も恋も。
次の日、ご飯を食べながら涙が止まらなかった。
一体、私は4年間何をしていたのだろう。
告白したとき彼女は「私にはもったいないよ…」そう言って泣いてくれた。
私と彼女は20歳程度年齢が離れていた。
きっと色んなことを察してくれたんだと思う。
私は告白したくせに、彼女のことを受け止められるだけの器がなかったのだ。
一緒に働いていた頃、会社の帰り道に最寄駅まで二人で喋りながら帰るのが堪らなく楽しかった。
彼女を笑わせたくていつも最近読んだ本の話をしていた。
つまらない話にも興味を持って笑ってくれた。
私は転職して、彼女は会社に残った。
彼女は私と連絡を取れなくなってしまった。
今の私は転職先の仕事に徐々に慣れていく中、人間関係を学び直していた。
彼女が私を振ってくれた理由がわかった気がする。
相手のことを思いやるってこんな感覚なんだ。
人を愛するって甘やかすのとは違う。
相手を思いやるってときには厳しく接しなきゃいけないんだな。
あぁぁ…彼女は私との連絡を絶ってくれた。
僕のことを振ってくれてありがとう。
いつか笑って言えるように今日も生きていこう。
彼女が幸せになってくれると祈ろう。
別々の道でいいのだ。
別々に幸せになる。