ショートショート 釜揚げ師走
「ジィジ、うどん生きてるみたい」
「わかるかチビ、うちは釜揚げだからな」
「からあげ??」
「かままげ(笑)茹であがったうどんをそのまま食べると、トロトロして食感を味わえるんだ」
「わかんなぁ〜い。でもツルツル〜」
「失敬(笑)」
この時期、孫はうちに預けられる。
二人ともどうしても忙しい。
「忙しい季節だな」
「しらすだね」
「しらす??」
「ジィジ、しらす知らない??お坊さんすらも忙しいからしらすって言うんだよ」
「師走かな(笑)」
「パパもママが忙しいのはしらすだからって、先生言ってた」
小さくため息を吐いて紅白からチャネルを変えた。
俺はうどん屋のためやっぱり苦労した。
娘には普通の生活してほしかった。
順調に結婚もして、仕事もしているが、やっぱり忙しいらしい。
「パパもママもうどん屋さんならいつも一緒なのにな」
「わかった、チビ。師走にうまい、釜揚げうどんの作り方教えてやる。二人を驚かせてやろう」
孫は目を輝かせ、頭にタオルを巻き始めた。
(410文字)
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お題 釜揚げ師走
楽しく書けました。
やっぱり書いている時間は良いですね。
最後まで読んで頂きありがとうございます。